第269話 マインズ王国の認識

「ルクスよ、ヨシノブ達は訓練に集中しておるようだが、敵はそれ程に強いのか?」

ルーズはルクスを呼び、状況を聞いていた。


「父上、心配なさらなくても大丈夫です。

たしかに敵は強く、我等だと為す術もないでしょう。

ですが、前回、ヨシノブは対話を求めて不用意に近付き過ぎただけにございます。

油断なく対処すれば問題ないかと。

訓練に集中しているのは子供達が自身の不甲斐無さに後悔しているだけにございます。」


「うむ、ルクスの判断を支持するが、ヨシノブに足りてない物はないか?

なるべく用意するようにするのだが?」

「ヨシノブは自身の力で必要な物を用意できます。

・・・そうだ!貴族服を用意してはどうですか?」

「ルクス、笑顔が黒いぞ。」

「あいつも貴族のパーティに参加させてやりましょう。」

「はぁ、イタズラでパーティを開こうとするな。」

「違います、折角この国にいるのですから貴族との友好ももっと進めるべきです。」

「それなら良いが、本心は?」

「のんびりするなら貴族社会に揉まれてしまえと思ってます。」

ルクスは半分、イタズラ心であった。


ルクスが招待状を持ってやって来る。

「パーティ?」

「そうだ、ヨシノブもこの地にいるのだから参加してくれるよな?」

「いやめんどく・・・」

「参加するよな。」

ルクスはゴリ押ししてくる。

「何を企んでいる?」


「お前も苦労しろ。」

「はい?」

「お前が用意した化粧品と菓子の事だ!

何故か俺に話を持ってくる婦女子が多すぎる!」

「ルクス、モテモテじゃん♪」

「誰のせいだ!だれの!」


「それでも王子様なんだから、適当にあしらえばいいだろ?」

「馬鹿を言うな、目の血走ったお歴々の方々の相手なんて出来る筈が無いだろ!」

「お歴々と言うと?」

「母上の御友人だ・・・」

ルクスの目から光が消えている。


「そ、それは大変そうだな・・・あっ、でも、お菓子なら若い女性も・・・」

「お前は一桁の歳の女の子に囲まれて嬉しいか?」

「・・・か、可愛いとは思うよね。」

俺は目をそらす。


「こっちを見て言え、リーナが友達に自慢するから、その歳ぐらいの子供が多いんだぞ、どうしろと言うんだ。」

「あー、まー、がんばれ?」

「何を他人事にしてやがる。

今回のパーティでお前が犠牲になるんだよ。」

「やだよ!犠牲になると知って行けるわけないだろ?」

「いや、来てもらうね。これを見ろ!」

そこには近隣からの飛行機の騒音を訴える申し出だった。


「こ、これは・・・」

「結構、音がうるさいよな?これは謝罪がいるよねぇ〜」

「ず、ずるいぞ、それなら別で訴えをくれれば・・・」

「セットだね、それに他の貴族もお前と交流を取りたいんだ。

これを機会に顔をだせ。」


ルクスは悪態をつきながらも、ヨシノブに貴族達との交流をとらす事が目的だった。




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