第288話 帰宅の術は?
翌日、一行は酒呑に案内されるまま、道を進む。
「この先にこの世界を監理する方がおられます。」
案内されたのは鳥居と床に絵が書かれてある場所だった。
「これは?」
「世界を越えるといえばわかりますか?ここは数少ない、監理する方の所に向かえる道にございます。」
「なるほど、かなりの霊力が集まっているね。」
リョウは絵を見て、これが魔法陣であることに気付き、破格の魔力が集まっている事に驚く。
「世界を越えるにはかなりの魔力がいりますからね。
あと、適性も必要です。
この魔法陣を見て息苦しく感じた方はこの先に行くことは止めてください。
息ができなくなります。」
リョウは周囲を見回す、すると平気そうなのはリョウとアキラ、そしてシモ、タマの3人と1匹だけだった。
「つまり、魔力に耐性がある者だけが行けるという事だね。」
「ええ、それも普通でないぐらいですね。」
「ダイキ、ヒロキ、リナはここから来た道を帰ってくれ。酒呑さん頼めますか?」
「主の友人ですので勿論案内いたします。」
「お願いします。」
「シモ、元気で。」
「リナも元気で頑張るのよ。」
シモとリナは別れを惜しんでいた。
「リョウ、お前は帰って来れるのか?」
ダイキは少し心配そうに聞く。
「大丈夫じゃないかな?それにシモちゃんの面倒を見ると約束したからな、送り出すとこまではやらないとね。」
「そこまで言うなら、止めないが気をつけろよ。」
「おお、任せとけ。」
リョウとダイキも別れを惜しみつつ、3人は別世界へと向かうのだった。
「ここは何処だ?」
魔法陣を抜けた先は大きな部屋になっていた。
「来たか、リョウ。」
「その声はスサノオか?」
リョウは以前、遺跡で聞いたことのあるスサノオの声に反応する。
「地球の人がここまで来れた事に驚きだが、遠き友人を歓迎しよう。」
話的にスサノオからは友好的な雰囲気を感じていた。
全員を見回しているようだが、シモだけは少し長めに見ていた。
「えーと、スサノオ、ここからこの子を元の世界に帰せないか?」
リョウはシモを帰す方法を聞く。
「普通なら帰せるのだが・・・」
スサノオは言いにくそうに言う。
「何かあるのか?」
「ああ、この子の世界を監理する者をに預けて、送らせるのが通常なのだが、今あの世界を監理する者はおかしくなっている。」
「おかしくなっている?」
「うむ、地上の事に関わりすぎなのだ。
本来何があっても見守るのが仕事なのだが・・・」
「何かやっているのですね?」
「うむ、また日本人を喚び出し、別の日本人と戦わせておる。」
「別の日本人?」
「ああ、ヨシノブと言う者だ。リョウ達も縁があるのであろう。」
「うにゅ!おとうさんがどうなっているのよ!」
シモは話についていけず、タマとじゃれていたが、ヨシノブの名前に反応する。
「おとうさん?」
スサノオは少しクビをかしげるがシモを見る目はどことなく優しさに満ちていた。
「ヨシノブはシモちゃんの保護者なんです。」
「なるほど、安心致せ、ヨシノブは無事だ。」
「ほんとうなの!」
「大丈夫だ。何なら映像も見せてやろう。」
スサノオは部屋に映像を映し出すが、現れたのはこんごうが轟沈する姿だった。
「おとうさん!こうしちゃいられないのよ!早くおとうさんの所に行かないと!」
「落ち着け、今は無事だ。
これは少し前になるな。
よく見ろ。」
暴走しそうなシモをなだめつつ、新たな映像を見せる。
そこには無事に逃げてマインズ王国にいる姿があった。
「おとうさん、おかあさんなのよ!無事なのよ。」
シモは安堵のため息をつく。
「そうだ、無事だ。だからな、暫く手続きを待て。正式に書類を作って・・・」
「どれぐらい待てばいいのよ?1分?2分?」
「落ち着け、だいたい2年か3年かな?」
スサノオが提示した待ち時間はあまりに長かった・・・
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