第271話 戦力あっぷなのよ。

ヨシノブが攻撃を受ける少し前、シモは平和に過ごしていた。

「じゃあ、いくよ。」

リョウは針により、シモの気脈の流れを良くしていた。

「うにゅ、気持ちいいのよ。」

「それなりに痛みがあってもおかしくないんだけどなぁ。」

気持ちよさそうに眠そうなシモを見ながらリョウはぼやくのだった。


その結果・・・

「凄いのよ!身体が軽いのよ!」

シモの動きが更に良くなる。

「それはよかった、爺ちゃんこれでいいのか?」

「ふむ、問題ない。シモちゃんや、全力でワシに打ち込んでみよ。」

「うにゅ?いくのよ!」

シモは全力でアキラに打ち込む。

「ほう・・・中々じゃのう〜」

アキラは刀で受け止める。

「さすがお爺ちゃんなのよ!更に早くするのよ!」

「フォッフォッフォッ!良いのう〜久しぶりに血が滾るわい。」

シモの剣撃は激しさを増し、アキラ以外の誰もついていけない。

二人共気の済むまで打ち合うが・・・


「うにゅ、シモはまだまだなのよ・・・」

シモが落ち込む。

「おお、シモちゃんや、ワシは年の分、練習出来ていただけじゃ、シモちゃんも練習すればもっと強くなるぞ。」

「本当なのよ?」

「本当じゃとも、精進すれば天下無双も夢じゃない、ワシが保証してやろう。」

「シモ頑張るのよ!強くなっておとうさんに褒められるのよ♪」

シモは気合満タンで修行に取り組むのだった。


横でリョウは・・・

「いや、既に世界最強クラスだろ?何で爺ちゃんと打ち合えるようになっているんだ?」

あまりの強さに驚くばかりであった。


そんな中でも、アズサは積極的にシモに日本を案内する。

アズサも無邪気に慕ってくるシモを妹のように可愛がっていたのだった。

「リョウくん、明日シモちゃんに京都を案内したいんだけど、リョウくんも来る?」

「もちろん行くよ、一応保護者として守ってあげないとね。」

力はあるがこの世界の常識に難があるシモを放ってはおけなかった。


翌日、

「うにゅ?木造の建物が一杯なのよ!」

京都の神社仏閣を見て、はしゃいでいる。


「ここはね、昔、首都だったのだから歴史ある建物が一杯なのよ。」

アズサはシモを案内している。

「なるほどなのよ、だから色んな人がいるのよ。」

「色んな人?」

その言葉にリョウは違和感を持つがこの時は外国人の事だと思っていた。


その夜、

「リョウ兄、お友達が出来たのよ!」

夕食を終えたあとシモがリョウに言ってくる。

「友達が出来たのかい?それはよかった、京都で知り合ったのかい?」

「うにゅ、お昼にあったんだけど、訪ねて来てくれたの、一緒に遊んだら友達になったのよ♪」

「そうかい?じゃあ、今度会わせてくれるかな?」

「今度?今、会わせるのよ?」

「今かい?この宿にいるのかな?」

「いるのよ、ちょっと待っててなのよ。」

リョウはシモが呼びに行くのかと思ったら・・・


「鬼さんこちら手のなる方へ♪」

シモが手を叩くと・・・

「主よ、お呼びですか?」

体格の良い鬼が出てくる。

「リョウ兄、紹介するのよ、酒呑さんなのよ。」

シモは何食わぬ顔で鬼を紹介してくる。

「シ、シモちゃん、この人(?)は?」

「酒呑さんなのよ、結構強い人だったのよ。」

「紹介にあずかる、酒呑童子と申す、以後お見知りおきを。」

「こちらこそ、シモの父親の親友で現在シモを保護している、桐谷リョウです。

君はシモに従っているとの事でいいのかな?」

「はい、圧倒的力により、敗北した我としましては以後主としてお仕え致す所存。」

「そ、そうか、部下かぁ〜」

「友達なのよ。」

「あはは・・・」

人から非常識と言われるリョウも、非常識の塊のシモの前だと乾いた笑いしか出てきていなかった。

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