第247話 連絡

宴の翌日、俺は大聖堂をたずねて、地下の魔法陣にむかうのだった。

以前に訪れた時とは違い、魔法陣は光を失っている。

「パウル、始めるぞ通信機の準備はいいか?」

「大丈夫です、いつでもいけます。」

俺は魔法陣に魔力を注ぎ込む、すると魔法陣は鈍く光りだす。

「くっ、結構魔力がいるな・・・」

俺は起動にごっそり魔力を持っていかれる。

疲労で膝をついてしまう。


「ヨシノブさん!」

「「おとうさん!」」

サリナとオットーとパウルの声が響く。


「大丈夫、それより通信は?」

ガーーーー、ピィィィィーーーー!


「あれ、また起動してる?」

スピーカーの向こうから声が聞こえてきた。

「トートさんですか?」

「ひぃ、だ、だれ!なんで私を知ってるの!」

「俺です、ヨシノブです。ご無沙汰してます。」

「あっ、ヨシノブさんでしたか、元気にして・・・じゃなくて何で通信してるんですか?」

「聞きたい事がありまして、勇者召喚の魔法陣から連絡してます。」

「勇者召喚の陣にそんな効果が・・・あっ、本当だ、私が渡した力と繋がって通信出来るようになってる!」

トートが少し慌てる声が聞こえる。


「そんな事より話はいいですか?」

「そんな事って結構大事なんだよ・・・」

「実は俺が預かっている子供が地球に行ってしまったんです。

どうにか帰る方法はありませんか?」

「聞いてないし・・・

えーと、帰る方法はね、禁則事項で・・・って、地球に行っちゃったの!」

「驚きはいいですから、帰る方法は?」

「いや、ちょっと待って、どうして地球に行けたの?世界の狭間がある筈よ、その前に簡単に世界の壁に穴は開かない筈なのに。」

「ルールとかいう神を騙る奴を始末したら穴が出来たと聞いてます。」


「ルールを始末?えっ、殺したの?どうやって!腐ってもあの子、神の1人よ!」

「止めはアキラという地球人がやりました。」

「アキラ・・・あの鬼人が来てたの!」

「鬼人って、わかる気はしますが・・・

来てましたよ、大量に魂を使った召喚術とかって聞きましたが?」

「あっ、本当だ履歴が残ってる・・・」


「そんな事より、帰る方法です、何かないんですか!」

「ちょ、ちょっと待ってね・・・えーと、申請書はこれで承認は・・・なるほど。

ヨシノブさん、わかりました、地球の神様に許可をもらってうちの主神の許可があれば帰って来れますよ。」

「それはお任せ出来るのですか?」

「・・・うちの主神の許可は責任を持って取ってきますけど、地球の神は厳しいかもです。

以前から迷惑をかけてまして、あまり話を聞いていただけなくて・・・」

「なら、俺達が取ればいいんですね。」

「出来たらそうしてもらえたら・・・

許可がとれたら、私に電話をしてください。

ヨシノブさんの電話から私に繋がるようにしました。」

「ありがとうございます。」

この事により、トートと連絡がつくようになったのだった。


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