第244話 辿り着いた先は。

飛ばされたアキラとシモは・・・


「シモちゃんや防壁を張るのじゃ。」

「わかったのよ、おじいちゃん。」

シモとアキラは魔力で防壁を張り、異空間をやり過ごす。

「おじいちゃん、ここはなになのよ?」

「ここはじゃな、世界の狭間といえるのぅ、この間を通っていろんな世界に行けるのじゃ、だが、この狭間には空気もないし、異常に圧力がかかり、普通の者は越える事が出来ずに消滅してしまう。」


「シモもきえるのよ?」

「大丈夫じゃ、ワシラはちゃんと防壁を張れておるしのぅ。

それにワシもおる、ちゃんと出口に出れるが・・・」

「どうしたのよ?」

「うむ、行ける先が地球しかないのでな、シモちゃんは一度ヨシノブの故郷に行ってもらう事になるのぅ。」

「おとうさんの故郷?見てみたいのよ。」

「よしよし、じゃあ行くかのぅ。」

アキラは刀を振るい、空間に亀裂を作る。

そして、吸い込まれるように二人は外に出るのであった。


二人が出た先は富士山頂であった。

「高い山なのよ!」

シモは山の上からの景色に驚き、楽しんでいる。

しかし・・・

「あれ?おとうさんの気配が無いのよ・・・」

ヨシノブの気配が感じられない事にシュンとなる。

「うむ、この世界にヨシノブはおらぬからのう。」

シモはアキラの袖を引っ張る。

「おじいちゃん、シモお家に帰りたいのよ。」

「すぐには帰れぬが、必ず帰してあげるからのぅ、じゃがまずはヨシノブに連絡してやろう。

奴も心配しておるじゃろう。」

「・・・うん。」

シモは暗い空気のまま、山を降り、電話をかける。


「ワシじゃ、リョウ、富士山まで迎えを寄越せ。」

「爺ちゃん!異世界にいたんじゃ!」

「うるさい、後で説明してやるからまずは迎えに来い。」

「わ、わかった。」

リョウはすぐに迎えを手配し、埼玉に作った新しい家に迎え入れる。


「爺ちゃん、隣の子供は?」

「ワシの孫じゃ。」

リョウは首を傾げる、こんな親戚はいなかったはず・・・

「違うよね?誰の子供?」

「ヨシノブの子供じゃ、早く連絡をとらんか!」

「い、いや、今聞いたよね、でも、すぐに電話してみるよ。」

リョウはヨシノブにテレビ電話をする。


シモは家に来てから半べそをかいていたが、ヨシノブと連絡がとれると嬉しそうに話していた。

そして、時間一杯までヨシノブと話していた。


その間、リョウはアキラから事情を聞いていた。

「なるほど、じゃあ何としても家に帰してあげないとね。」

「うむ、それもあるが、折角じゃからのぅ、リョウよ、シモちゃんに針をうってくれんか?」

「えっ?」

「お前の鍼治療なら気脈の流れを良くできるであろう、シモちゃんの魔力向上になるはずじゃ。」

「ちょ、ちょっと爺さん、あの子に入れ込みすぎじゃないか?」

「見よ、あの子は才能に溢れておる。桐谷流を継げる程にな。

あの子がお前と歳が近ければ嫁入りも考えたわい。」

「流石に歳が離れてるよね。」

「残念じゃわい。」


「まあ、ヨシノブの娘だしね、出来ることはちゃんとやるよ。」

この日からシモは暫くリョウの元で過ごすことになるのだった。

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