第237話 ルーデルの破壊力
後方から来ていたマルドラド王国兵2万は突撃命令が出る前に既に把握されていた。
その為、ルーデルが偵察と称して、空に上がっていた。
「おやおや、こりゃいけねぇなぁ〜」
上空から敵軍を眺め、戦闘になる予感がしていた。
「ちょうどいい、俺の実験の糧となってもらおう。」
爆撃の鬼たるルーデルは考えていた。
シモ達が銃弾に魔力を込めて威力を上げるなら、爆弾に威力を込めたらどうなるのだろうかと・・・
頭の固いヘルマンに相談したがいい返事は貰えなかった。
しかし、諦めるルーデルではない、独自に試行錯誤を行い、こっそり、コツコツと爆弾に魔力を込めていき、自信作を完成させていたのである。
そんな中、丁度いい獲物が近づいているのである。
「どうか、奴等がバカでありますように・・・」
ルーデルは不謹慎にも、マルドラド王国の攻撃を願っていた。
そんな中、基地のヘルマンから連絡が入る。
「航空隊に告ぐ、基地に敵が近づいている。直ぐに迎撃されたし!」
「了解!直ぐに向う!」
「ラジャ!」
真面目なエーリヒとロタールは素直に連絡を受けてからF35に乗り込み出撃する。
「あーヘルマン、俺は既に敵上空に偵察中だ、爆撃許可を求む。」
「ルーデル、爆撃許可を出す。すぐさま敵を殲滅せよ、エーリヒ、ロタールは到着次第攻撃をするように。」
爆撃許可が下りた事でルーデルは鼻歌交じりに本陣と思われる所の上空につき、秘蔵の爆弾を投下する。
「この一撃が歴史をかえる!」
ルーデルは嬉しそうに爆弾を落とすのだった。
魔力を充分に込めた爆弾は凄まじい破壊力だった。周囲は爆風で薙ぎ倒され、爆心地は跡形もなく吹き飛んでいた。
それもその筈、ルーデルが精魂込めて作った爆弾は従来から十倍に威力が増し、その上、物理防御と魔法防御、両方を行わなければ防げない代物になっていた。
地上で生き残った者は大混乱である。
この先の砦を落とす予定なのに、指揮系統は初撃で全滅、大混乱におちいったところにルーデルの追撃が行われる。
軍は追撃に対処できず、個人での敗走にうつるのだった。
これによりまともな戦闘をすることなくマルドラド王国軍は撤退するのだった。
「これはいい、俺の勝ちだ!」
ルーデルの勝利の咆哮は誰にも聞かれない空の上だった。
敗走を見届け、基地に戻ると・・・
「ルーデル、あれはなんだ?」
ヘルマンが出迎えている。
「あー、えー、爆弾?」
「お前魔力込めたろ?」
「そうとも言うな。」
ルーデルはヘルマンと話しながら牛乳をコップにつぐ。
「威力が上がりすぎる恐れがあったから止めるように言ったのだが?」
「威力を恐れちゃ強くなれないぜ、ヘルマン。」
ルーデルはヘルマンの小言を軽く受け流し牛乳を飲む。
「そうだが・・・どうすんだこれ?」
基地の向こうに見えるクレーターにヘルマンは頭を抱えるのだった・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます