第223話 友人リョウに電話

訓練の厳しさが増す中、俺は友人に電話をする。

電話の相手は桐谷リョウ、アキラの孫で現役アイドルが婚約者でありながら、日本有数の名家に婚約者も作っているハーレム野郎だった。


「リョウ!爺さんを引き取れ!」

「いきなりなんだよ。爺さん?最近見ないと思ったらヨシノブのところにいるの?」

「来てるよ、こっちで俺は修行させられてるよ。」

「うわぁ〜ご愁傷様です。ってお前異世界にいるんじゃなかったのか?」

「あれ?俺言ったっけ?」

「いや、別口で聞いた。あっ、生きてるなら香典返せよ。」

「やかましい、返してやるから爺さんを引き取りに来い。」

「香典は諦めるよ、爺さんをよろしく。」

「諦めるな!それより爺さんを捨てるんじゃない!」

「だって、爺さんがいないとこっちは平和なんだよ。」

「代わりに俺が被害にあっているんだけど・・・」

「・・・頑張れ。」


「頑張れじゃない!なんとかしろよ。

俺はお前と違って一般人なんだよ。」 

「俺だって一般人だ。」

「剣士として育てられてたじゃないか、爺さんの後を継いでやれよ。」

「やだよ、なんで修羅の道を行かないといけないんだ、俺は平和に一般人として暮らすんだ。」

「何が一般人だ、金持ちのヒモになってるのだろ?」

「なっ!誰がヒモだ!」

「リョウ。」

「くぅ~そんな事を言うやつは爺さんにやられたらいいんだ。」

「さっさと引き取れよ。」

「やだね、そもそも手段はないし。」


俺は冗談を止めて、真面目な話にうつる。

「そっちで調べれない?」

「帰還方法か?」

「そう、他にも日本人がいるんだけど帰す術が不明なんだ。」

「だけどなぁ、異世界から帰る方法だろ?

難しくないか?」

「天照大神が二人なら帰還させれるって言ってたから、神話とか、その辺りに何かないか調べて貰えないか?」

「わかった、調べてみるよ、お前には借りがあったしな。」

「助かる。」

「見つからなくても恨むなよ。」

「爺さんがこちらに残る事になったら恨むぞ〜」

「爺さんは後回しでいい、それより子供達の事が先だ。」

「正論には違いないが、本心は?」

「帰って来なくてもいいかなぁ・・・、ヨシノブが世話をしてくれ。」

「やだよ!孫のお前が面倒みろ!」

「帰ってきたら俺が修行させられるだろ!」

「今俺がさせられてるよ。」

「なら、苦しみもわかるだろ?友の為に犠牲になってくれ。」

「い・や・だ!」

「そこをなんとか!」

「無理だな、絶対に返してやる。」


俺とリョウは冗談も交えつつ、帰国の手段の捜索を頼むのだった。


「リョウくん、電話の相手は?」

リョウに話しかけてきたのは国民的アイドルでもあるミウだった。

「ヨシノブ、爺さんが異世界に行ったみたい。」

「おじいちゃんが?」

「そう、引き取れとか言ってきたけど、嫌だなぁ・・・」

「もう、そんな事言って。」

「まあ、ヨシノブの頼みだし、子供達だけでも助ける手段探さないとな。」

「おじいちゃんも助けないと。」

「爺ちゃんなら何とかするよ。」

リョウは独自で異世界の帰還方法を探しはじめるのだった。

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