第208話 ショウとタケフミ
大地に着いた俺はすぐさま基地を建築する。
居住区に食料倉庫、発電所、燃料庫、ヘリの格納庫、そして、何かあった時の為に、予備もいくつか作る。
「こんなものか・・・ショウくん、しらせも停泊させておくから、何かあれば逃げ込んでくれ。」
しらせがおいてある港まで廊下を繋ぎ、乗り込みやすいようにしていた。
「はい、3ヶ月、耐えきろうと思います。」
「何かあるようなら連絡をしてくれ。
毎日定時連絡も頼むぞ。」
「はい、ヨシノブさんも何かあれば救援お願いします。」
「わかった。」
俺は基地をショウに任せて、シモとリミ、ルクスとルナ、ファイを連れて、滑走路を作り、凍る前に輸送機で飛び立つのだった。
ヨシノブがいなくなり、タケフミが嬉しそうにショウに近付いてくる。
「ショウ、これでヨシノブがいなくなったな!」
「タケフミ、何を嬉しそうにしているんだ?
これからは俺が仕切らないといけないから不安の方が強いけど。」
「何を言ってるんだ?あんなお目付け役がいたら何も出来ないじゃないか?」
「・・・俺がいるぞ。」
「な、なんだよ、怖い眼をするなよ、それより到着したんだから、歓迎会でもしようぜ。」
「歓迎会か・・・兵士の親睦もかねていいと思うが、タケフミお前は駄目だ。」
「な、何でだよ。」
「お前は今までしてきたことを忘れたのか?
日本には帰れるかも知れないが、自室で大人しくしてろ。」
「おまえ、冷たくないか、折角ヨシノブも子供もいないんだ、羽目をはずそうぜ。」
「そもそも、俺はお前と友人を止めたつもりだ、軽々しく話かけるな。」
「なっ!くそっ!彼女を作ったからって生意気になりやがって!」
「いや、それは関係無いだろ。
お前と友人を止めたのはお前が聞く耳を持たないからだ、俺がどれだけ必死に訴えても耳を傾けない相手を友と思えるか?」
「それは・・・昔の事じゃないか、俺もあの時はどうかしてたんだよ。」
「まあいい、日本に帰ったら会う事も無いだろうからな。」
「・・・なあ、何でお前は帰らないんだ?
お前の立場なら帰れただろ?」
「二人しか帰れないのに、女の子より先に帰ると言えるか?
俺はそんな恥ずかしい生き方をしたくない。」
「お、俺が恥ずかしい生き方だと!」
「・・・まあ、そうだな。俺はお前になりたくないと心から思っているよ。
たとえ日本に帰れなくても、この選択を後悔することはない。」
「くっ、こんな世界に来たのは俺の・・・俺達のせいじゃない!だから帰れるなら帰るのが当たり前だ!
他の奴が帰らないんだ、俺が先に帰って何が悪い!」
「考え方の違いだな、俺が帰るのは最後にしようと思う。
両親も俺の考えを受け入れてくれた。
まあ、親不孝なのは違いないかな。」
「くそっ!お前なんか知らねえよ!」
タケフミは自室に入っていった。
「帰れるなら帰りたいけどね・・・」
自身に正直なタケフミを少し羨ましくもあるが、そんな生き方を選べない自分を誇らしくも思うのだった。
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