第200話 リーナの御茶会、家族をそえて
「お母様、これも美味しいですよ。」
リーナは久々に会う、母親イルーゼにおすすめのケーキを差し出す。
「あら、本当に美味しいわね。こんなの食べたことないわ。」
イルーゼはケーキが美味しい事もあるが、可愛い娘が自分の為にケーキを持ってきてくれたことが嬉しく、更に美味しく感じるのだった。
まあ、顔中にクリームをつけていることは何処かで叱らないといけないと思いつつ・・・
「リーナ、これ美味しい、他に無いの?」
「ありますよ、リズ姉様にはこのモンブランをおすすめします!」
リーナは次女のリズにモンブランを渡す。
リズは一口食べて、
「リーナありがとう、美味しいわ。」
「どういたしましてです。」
リーナはシュークリームを頬張りながらリズに答えた。
「リーナ、はしたないですよ。もっと上品に食べなさい。」
長女のライナは妹をたしなめるが・・・
「うー、それならライナ姉様は食べなくていいですぅ~」
「いや、それとは話が別でしょ!」
「同じだもん!返して!」
「いやよ!これは私のよ!」
そんな話をしているなか、ルーズに案内され俺が中に入る、入った途端、ルーズは頭に手をやる。
「お前達、はしたないぞ!」
「「お父様!」」
「客人を連れて来ておるのだ、少しはマナーを守らんか!」
「これは・・・」
姉妹三人はシュンとなる。
「ルーズ王、私は気にしませんから、皆さんに喜んでいただけて何よりです。」
「お恥ずかしい話だ・・・」
「それにリーナさんで慣れてますから。」
「本当に恥ずかしい・・・」
ルーズは顔を両手で隠す。
「ヨシノブさん、娘がお世話になっております。
私がリーナの母、イルーゼにございます。」
イルーゼは挨拶をしてくる。
「これはお初にお目にかかります。
ヨシノブと申します。
そうだ、王妃様には手土産として化粧品を贈らせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「化粧品ですか?」
イルーゼは贈り物としてあまり向かないであろう品に首を傾げる。
「お母様、絶対喜ぶと思います。試してみてください。」
リーナは横でイルーゼに受け取るように言う。
まあ、客人であるヨシノブの手土産を断る理由など無かった。
「ありがとうございます。喜んで受け取らせてもらいます。」
俺はルナが薦める最高級品に俺の魔力を充分にこめた特製品をイルーゼに贈った。
「輝いていますね?」
「ええ、女性いわく肌が生まれ変わるそうです。」
「そうなのですか?少し試してみても?」
「ええ、どうぞ。」
イルーゼは言葉が気になり、奥に向かい試す事にする。
暫く、三人姉妹とルーズ王とお茶をしていると・・・
「きゃぁぁぁぁ!何なのこれは!」
イルーゼの悲鳴が聞こえてくる。
俺以外の全員が慌てたように奥に向かおうとするが、それよりも早くイルーゼがやってきた。
来るなりイルーゼは俺に質問してくる。
「ヨシノブさん!これは何処で手に入るの!」
「落ち着いてください。これは私が作った物です。」
「そう?ならお願いしたら再度作ってくれるのかしら?」
「ええ、大量には難しいかもしれませんが、作りますよ。」
「落ちつけイルーゼ、客人にはしたないぞ。」
ルーズは妻を叱るが・・・
「あなたにはわからないのよ、この化粧品は女の命綱になるのよ!」
逆にルーズが叱られる。
「お母様、それ程よかったのですか?」
リズの質問に・・・
「良いなんて物じゃないわ、これを使えば他の物なんて使えなくなってしまうわ。」
「それ程ですか?」
まだ16歳のリズにとっては化粧品の良さを実感出来ていなかったが・・・
「お母様、私にも分けてくださいますよね?」
25歳のライナは母の肌の潤いが違っていることに気付き、目を輝かせている。
「駄目よ、これは私の物なの、ヨシノブさんが次にいつくれるかわからないのに、分けれる訳ないでしょ。
それにあなたはまだ若いのだから、これは必要ないわ。」
「それを言ったら、お母様こそ必要ないのでは?もうお歳もお歳なのですから・・・」
「あら、酷い事を言う娘ね、女は幾つになっても女なのよ、自身の美に妥協はないわ。
必要ならあなたは夫にでもねだれば良いのよ。」
「お母様、それを手に入れれるのはヨシノブさんだけとわかって言ってますよね?
私は夫じゃなくてお父様におねだりする方法を取らせてもらいますわ。」
ライナはルーズの方を向き、
「お父様もヨシノブさんにお願いしていただけませんか?」
「・・・お前達、いい加減にしろ!どれだけ恥ずかしい事をすればいいんだ!」
ルーズは妻と娘を叱りつける。
「ヨシノブ、すまない。妻と娘が節操の無い願いをしてしまった。」
ルーズは頭を下げた。
「いえいえ、お土産をそれ程喜んでいただき光栄ですよ、化粧品ぐらいなら連絡くださればご家族分ぐらいは御用意いたします。
俺もルクスに世話になってますからね。
それぐらいは気にせずに連絡ください。」
イルーゼとライナは目を輝かせるが・・・
「本当にありがとう。」
ルーズは恥ずかしそうに御礼を言ってくれる。
「ヨシノブ様、私はケーキがいいです。」
ルーズが頭を抱える横でリズが袖を引っ張り頼んでくるのだった・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます