第198話 夢の中・・・
マツ達が暮らし易いようにウメが色々説明をし、基地で暮らす人達との橋渡しを行った事で、直ぐに馴染んでいった。
そんなある夜・・・
俺が寝ていると夢に美しい女性が出てきた。
初めて見る人のハズなのに何故か懐かしく、そして、温かい気持ちになれた。
「あなたは?」
「私はアマテラス、日の本を統治する者である。」
「アマテラス・・・天照大神ですか!」
俺は夢の中ながら頭をさげる。
「よい、頭をおあげなさい。」
俺は頭を上げる。
「すまない、貴方には苦労をさせてます。アーアの奴が世界を管理しないせいで我が子たる、日の本の民が拐われてしまい・・・」
アマテラスの瞳には涙が浮かんでいた。
「いえ、私は苦労などしておりません、トートさんのお陰でこちらでも暮らしていけてます。
それによき伴侶も見つけました、アマテラス様が心を痛める事はございません。」
「ええ、彼女は自身のミスを挽回したようですが・・・
許すまじはルールとか言う下級神ですね。」
アマテラスから怒りの感情が伝わってくる。
「アマテラス様、あなた様に一つ謝らねばならない事がございます。」
「なんでしょう?」
「アマテラス様の子たる、ツバサを私は始末することになると思います。
その事を先に謝罪させていただきたい。」
「あの子ですか・・・あの子も不幸な子ですが・・・自身の欲望で現地の人に迷惑をかけた以上仕方ないのでしょう。
ただ、出来れば命だけでも助けて貰いたいのは母の願いなのですが・・・」
「お約束できかねます・・・」
「いえ、私のワガママなのはわかってます。
ただ、そういう思いが有ることだけ知っておいてください。」
「・・・はい。」
「それより、此処に現れたのは他でも有りません、あなた達、いえ、この表現は違いますね、あなた以外の日本人の内、二人を私の力で日本に呼び戻す事が出来ます。」
「二人ですか?」
「はい、私の権限では二人しか呼び戻せないのです。
不甲斐ない私を許してください。」
「いえ、二人でも帰れるだけでもいいと思います。」
「ただし、二人を呼び戻すには少し厳しい手順があるのです。」
「それは?」
「貴方のいる地より遥か南に氷に閉ざされた島があります。
そこはアーアの力の影響が少ない場所となり、そこなら私の力で二人を呼び戻せるのです。
詳しい位置は貴方の力でも有る、地図に印してあります。」
「わかりました。そして、他の手順は?」
「その地で帰る者に3ヶ月過ごしてもらいます、そうする事でその大地に満ちているアーアの神力が抜けるのです。
そして、抜けた状態になり初めて二人を戻せるのです。」
「誰を帰すかはありますか?」
「いえ、人選は貴方に任せます。
貴方に頼むしかない事を許してください・・・」
その言葉を最後にアマテラスの姿が消えていく・・・
「アマテラス様!」
俺は自身の声で目が覚める。
「ヨシノブさん、どうしたのですか?」
「ごめんサリナ、起こしてしまったね。」
「いえ、いいんです。
でも、どうしたのですか?涙が流れてますよ?」
サリナに言われてはじめて自分の目に涙が出ていることに気付いた。
「たぶん俺は祖国の神に会ったんだと思う。
少し確認したい事があるから俺はこのまま起きるよ。」
俺は寝室を出て、基地の司令部に向かった。
そして、地図を確認すると未開地で表示はされていない場所に赤い点がついていた。
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