第59話 漢
船にはマルドラド王国からの五百の兵にくわえ、マインズ王国から二千の兵を預かる事になる。
その為、いずもから大和に変更して出港した。
「すげぇー!大和だよ!ヨシノブさん!俺、大和に乗っているよ!」
ショウは興奮している。
マイ達はそれを冷めた目で見ていたが・・・
「わかるか!やっぱり漢なら大和だよな!」
「そうですよ!」
「よし、色々案内しよう!」
「お願いします!」
俺はショウと2人で盛り上がっていた。
「あれ?ヨシノブさん、妙にテンションが高くないですか?」
騒ぐ2人を見てマイは驚いていた。
普段穏和に話しているヨシノブが素を見せていた。
「ヨシノブさん、この船に乗ると何故か、テンション高いんですよね。
何か思い入れがあるんですか?」
サリナが不思議そうにマイ達に聞く、
「この船は私達の国で昔あった船なんですけど、なんであの2人は盛り上がっているのでしょう?」
マイには漢の浪漫が理解出来ていなかった。
「マイ、男の子はいくつになっても子供ということだよ。
男の子がそうなった時は温かく見守ってあげるのがいい女なんだって、
お母さんが言ってたよ。」
カエデは何処か達観していた。
ショウを案内しながら兵士達とも挨拶をかわしていく。
「ヨシノブさん、この船は広いですね。」
「俺の自慢の船だよ、到着までは休んでくれよ。
代わりに、着いたら働いてもらうよ。」
俺は多くはないが酒と菓子、アイスなどを提供し、休んでもらっていた。
「任せてください!旨いものをいただいた分は仕事で返しますぜ。」
兵の士気も高かった。
ショウの案内した後、自室に戻るとステータスを確認する。
いや、もう階級の確認か?
そう思いながら、ステータスを出すと。
中尉
よし、上がっている。
となると副官をもう一人選ぶ事が出来る・・・
俺は少し悩む、現状で信じれる者は誰か、任せられるのは・・・
これからの行動も考え、選んだのは・・・
「ショウくん、少しいいかい?」
「ヨシノブさん、なんでしょうか?」
俺は事情を説明して、副官を引き受けてくれるか聞いてみる。
「俺でいいんですか?こんな足ですよ。」
ショウは自身の足を見せる、確かに動きは悪いだろう。
「ショウくんには船を管理してもらいたい。
このスキルを使えば、船全体を自分の考えで動かせる。
たとえ動けなくても関係ない。」
「動けなくても・・・」
「ショウくんには失礼な話しになるとは思っている。
だけど、俺は調査に出るつもりだし、サリナも故国の苦難を助けたいと考えているだろう。
でも、俺達2人が動くと船を守る人がいなくなるんだ。
ショウくんには留守を守ってもらいたい。」
「俺に出来ますか?」
「君にしか頼めない。
いいかい、いざとなれば武器を人に向ける必要がある。
俺のエゴになるけど、マイちゃん達にはさせたくない。
そして、ルクスやルイス達、王族にこの力を預けるのも危険だと思う。
まだ、子供のショウくんに頼むのも違う事はわかっているつもりだ、だが任せていいと思うのはショウくんなんだ、
マイちゃん達を守る意味でも引き受けてくれないか?」
俺は真剣な目でショウを見る、
ショウも俺の思いが通じたのか、身を正し、俺に答える。
「ヨシノブさん、お引き受けします。
安心して艦を離れてください。
どんな事があってもみんなを守り抜きます。
どんな事があってもです!」
ショウの目は覚悟を決めた漢の眼だった。
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