第40話 ナイフの価値?
剣を選び終え、酒の交換が終わった頃、ヒビキがやってくる。
彼は百本のウイスキーを手に入れたそうだ。
「ヨシノブ殿は剣を持たぬのか?」
「俺は剣を使えませんからね。」
「ふむ、ならばナイフぐらいはどうだ?」
「ナイフですか、それは良いですね。後で町でも見てきますよ。」
「何を言うか、ワシが打ってやろう。他に無いナイフが出来るであろう。」
「それならお願いします。そうですね、ウイスキーは沢山入手なされたようですから、日本酒はどうですか?」
「日本酒?」
「私の地元の酒ですよ。ちょっと待ってください、試飲してみませんか?」
「おう、試飲させてくれ!」
前のめりになるヒビキに引きながら倉庫から越乃○梅を取り出してくる。
「どうぞ。」
俺はグラスに注ぎ、差し出す。
ヒビキはグイッといく。
「これは・・・豊潤な香りと深い味わい・・・これを本当にいただけるのか?」
「ええ、もちろん、今飲んだ瓶じゃなく新しい瓶を用意しますね。」
「おぉぉぉぉ!一世一代のナイフを献上致そう。」
3日後、ヒビキがやって来た。
「これが今ワシに出来る最高のナイフだ、受け取ってくれ。」
俺はナイフを受け取ると刃を見てみる、それは吸い込まれそうになる程の芸術性にとんでいた。
何気なく近くにあった元々兵士が持っていた剣に当ててみると豆腐のようにスパッと切れた。
「これ程の物とは・・・」
「なに、あの酒の深い味わい、このナイフでは届かぬとは思うが・・・」
互いの価値観が一致しない。
俺は越○寒梅とウイスキーを5本ずつ用意した。
「これ程は貰えぬ!等価でなければ我が腕が無く!」
ヒビキはかたくなに受け取らないので互いに話し合い日本酒2本ウイスキー3本の折衷案で交換することとなる。
俺としては釣り合わないのだが、ヒビキは満足そうに帰って行った。
ドワーフ達の一件がすむと今度は病人が多数来ることになる、どうやら肺病の薬が此処で貰える事が近隣にも伝わり、集まって来たようだ。
俺はサリナと手分けして診察と薬を渡していく。
中には薬の独占販売を要求するものや薬の開発したのは自分だといい権利を主張する者も現れたが、常駐している兵士に捕縛され、ルクスに引き渡す、この国の法によって裁くとの事だった。
こうして、平穏無事に日々を過ごす事が出来ていた。
そんなある日、俺は一段落を終えて、街を歩く事にした。
艦はサリナに任せ、気ままに散策する。
まあ護衛はついているが・・・
護衛の兵士達も共に酒を飲み、日々を過ごす事でかなり打ち解けており、信用出来るようになっていた。
そんな中、一人の少年に後ろから声をかけられる。
「あんた、自衛隊か?」
その言葉に俺は振り返るのであった。
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