第101話 青堀神社 18
最上階である展望室の獣人を倒し終え、逆側から岩石のある部屋へと戻ってきた。
「やっぱりこれがボスなんだろうか……」
少し広くなっている通路に岩石が散らばっており、明らかに不自然な状況だった。岩石を眺めながら俺は少し考える。
もしこの岩がボスだった場合、銃との相性は最悪だ。威力は上がっているとはいえ、硬く、形状的に弾かれる可能性が高い。そうなると『弾肥大』による衝撃の方がダメージは大きそうだ。
そう思った俺はショットガンを取り出し、『弾肥大』を付与する。弾は……普通の散弾で試してダメなら魔力弾に変更するとしよう。
「……よし、やってみるか」
手に持ったショットガンのフォアエンドをスライドして銃弾を装填。そして岩石の中心に狙いを定め——トリガーを引いた。
放たれた散弾が広範囲の岩石に当たるが、予想通り弾かれて砕けたりはしなかった。次弾を撃つ前に罠の可能性を考え様子を伺う。すると——。
ゆっくりと、岩石が動き始め集まり始めた。やはり、これは魔物なのだろう。
「『特性付与』、『衝撃』、「魔力弾」」
俺は付与を行い再度岩石へと発砲する。すると今度は岩の角をそれなりに砕く事ができた。
けど……岩一個壊すのに何発いるんだこれ。
発砲する度に岩の破片が周囲に飛び散るが、全く小さくなったようには見えなかった。
そしてそうこうしている内に集まった岩石が重なり始める。それは次第に人型に近づいていき動きが止まると……そこには、体長二メートル半位の石の巨人が立っていた。漫画等で言えばストーンゴーレムだろうか。
岩が人型になっただけで目や口、指は無いが、体長のせいか威圧感を感じる。
「……っと見てる場合じゃない。距離取らないと」
俺はゴーレムが動き始める前にその場を離れ、角を曲がり通路で待ち構える形を取った。
銃を構えながら暫く待つと、ストーンゴーレムは角からゆっくりと姿を見せる。
俺はそれと同時にショットガンを発射。ゴーレムは軽く衝撃を受けたように見えるが、よろめく事も無かった。
ダメージはほぼ無い。だが、幸いな事にストーンゴーレムの動きは遅く、人が歩くような速度で近づいてくる。俺はそのまま後方に下がりつつ引き撃ちを開始する。
「『特性付与』、『連射』『弾数増加』」
少しでもショットガンの威力を高める為、更に特性を増やす。『武器修復』で弾を補充しながら、ひたすら引き撃ち。
そして、気がつけば半周回ってエスカレーターの踊り場まで近づいていた。一撃毎に岩石は欠けてはいる……だが、削り切るのにどれだけの時間が掛かるかは検討が付かなかった。
「ボスによって武器、特性で対応しようと思ってたが……これは予想外すぎるだろ……」
どんな敵でも能力により対応する自信が有った。けれどその予想を上回る硬さ。俺の天敵……というよりも、これを倒せる奴、存在するのか?
ただひたすら時間だけが過ぎ、魔石の消費で鞄も軽くなってきた気がした。そこで俺はショットガンによる攻撃は諦め、距離を取りながら考える。
岩を割るイメージ……杭を火薬の勢いで打ち込むような武器が頭を過るが、実現は難しそうだ。なら、衝撃や爆破で吹き飛ばすのはどうだ?
爆弾が作れれば良いが、生憎触れたことなんて無い。なら火薬の代わりになりそうなもの、大量のエネルギー……そうか。
—— 俺が思い付いたエネルギーの塊、それは魔石。これを爆発に変換出来れば、あのストーンゴーレムを吹き飛ばせるかもしれない。
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