『マスクの下』

やましん(テンパー)

『マスクの下』


 *これは、ホラ的フィクションです。悪意はございません。


            


  


某社の新商品発表会・・・



 『このたび、当社が発売いたしますマスクは、まさに、画期的な商品であります。


 それは、これです。


    (社長さん、マスクをつけて・・・)


 ほら、いかがですか?』



 『おわ~~~~~~~~~!』


 会場内から、驚嘆の叫び声が上がりました。


 なにしろ、マスクの表面に、社長さんの表情そのものが浮き上がったのですから。


 『ご覧の通り、このマスクは、内部のお顔の表情を、そのまま浮かび上がらせるのです。これは、一種の特殊な液晶画面でして、内側内部の様子を、外側から観察できるようになっております。患者様の表情も、マスクをしたまま、細かく観察できるわけです。プラスチック製とは異なり、むれたり曇ったりはしません。さまざまなデザインが可能です。ご質問は? 技術的な面は、専務からお話し、いたします。』


 『あの、さっそくですが、お値段は? 再利用できますか?』


 『はい、ひとセット3枚入り、1万円でございます。基本、使い捨てで、清潔です。』


 その時、後方の席で、きちんと、そのマスクをして座っていた専務さんの表情がカメラにしっかりと写ったのです。


 自作のマスクをしてきていることを、失念しておりましたような。



 《バーカ。んなもん、売れるわけないだろ。》  



 

            *****************


                       おわり 

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