第406話 勇者リスト
【勇者リスト】
①須藤雄一『拳闘士』 リディーナを襲っていたクズ野郎。
②本庄学『魔術師』 リディーナの耳をキモイと言ったホモ野郎。
③桐生隼人『勇者』 リディーナの義妹を犯そうとして殺したクズ野郎。
④高橋健斗『魔物使い』 色々吐いてくれた根性無しのクズ野郎。
⑤南星也『死霊術師』 死体を操り街を襲ったクズ。リディーナが殺害。
⑥山本ジェシカ『拳闘士』 イヴに殺られた不良女。後に巨大化(悪魔?)。
⑦加藤拓真『魔術師』 ナンパ野郎。吉岡に置いてかれ山本に踏み殺された。
⑧伊集院力也『聖騎士』 副担任。真正クズ。ペドのレイプ野郎。後に悪魔化。
⑨白石響『剣聖』 修羅に堕ちた新宮流門下生。師匠の曾孫。
⑩東条奈津美『???』 詳細不明。転移能力、エルフを吸血鬼化など謎多数。
⑪城直樹『魔法剣士』 ラーク王国のクーデターに加担。ブサイクレイプ野郎。
⑫藤崎亜衣『暗殺者』 ビッチ。能力と能力名に乖離あり。影使い?
⑬田中真也『狙撃手』 イキリ乱射野郎。リディーナが殺害。
⑭清水マリア『精霊使い』 リディーナの義妹を嵌めて売り飛ばしたクズ女。
⑮松崎里沙『蟲使い』 同上(林の死に関与?)。
⑯林香鈴『魔物使い』 蟲に内部から食い破られて死亡(松崎が関与?)。
⑰九条彰『鑑定士』『???』☆ 召喚の首謀者? 複数の能力持ち。
⑱川崎亜土夢『拳聖』☆ 中身は天使ザリオン。憑依された?
⑲佐藤優子『弓聖』☆ 新宮流門下生。白石の幼馴染。
⑳高槻祐樹『大賢者』 王都組。元アイドルのクラスのリーダー格。
㉑本田宗次『錬金術師』☆ 神聖国の暗部に捕まり拷問されるが逃亡。
㉒渡辺大輔『重騎士』 探索組。防御特化の騎士タイプ。
㉓吉岡莉奈『軽剣士』☆ 探索組。ゲンマを嬲り殺したサド女。
㉔赤城香織『回復術師』 王都組。再生魔法までは使えない。ただの回復師?
㉕近藤美紀『盗賊』 探索組。斥候系の能力。遺跡探索特化タイプ。
㉖太田典子『召喚士』 探索組。召喚獣を使役。詳細は不明。
㉗夏希・リュウ・スミルノフ『暗黒騎士』☆ 探索組リーダー。
㉘志摩恭子『???』☆ 担任教師。王都の勇者達から離反。
㉙関根雄太 行方不明
㉚森谷沙織 自殺?
㉛村上知子 魔物に襲われ死亡?
㉜小島彩名 冒険者とのトラブルで死亡?
※同名の『能力』でも個々人によって固有(系統?)の能力あり。魔力由来の一般的能力と神力由来の特殊能力あり。
※勇者それぞれの能力とは別に、自力で魔法を習得した者多数。
―――――
一夜明けた翌日。朝食を済ませたレイは、リビングのテーブルで紅茶を飲みながら召喚された『勇者』の名前と、今まで始末した勇者から聞き出した能力名、簡単なメモを書き出していた。上段に殺した者、中段が残っている者、下段が不明者のリストだ。メモにはレイの主観も大いに入っていたが、身内しか見ないので気にしない。
これまでのことに関しては、朝食前にリディーナ達と情報の共有は済ませている。松崎、清水、林の始末と志摩の存在。九条、川崎との一戦。その後の女神との会合までだ。リディーナ達からは屋上での戦闘の報告だ。
女神の話の内容については『次元時空間移動装置』と九条彰について、レイは全てを話していない。秘密の情報は「知っている」と言うだけで危険な為だ。
レイは昨日、敢えて女神に言及しなかったが、装置のことを知っているのが自分一人だけならば、口封じされるのは自分だけで済むだろうと考えていた。情報を聞いて装置を悪用するしないに関わらず、その可能性を排除するのは女神の立場からすれば当然だからだ。仕事を完遂すれば自分は始末されないと楽観するほど、レイは生温い世界で生きてない。
自分が女神の立場なら、全てが終われば真相を知る者の口を必ず塞ぐ。相手が神である以上、抗うことも逃げることもできないだろう。装置を利用して別の世界や過去、未来に逃げても一生狙われることには変わりない。
だが、レイはそのことについて考えるのを止めた。女神が自分を口封じするなら、戦うにしろ逃げるにしろ、自分一人が消えれば済むことだからだ。リディーナとイヴの安全を最優先に考えるなら、装置のことは二人に話すべきではない。
「何書いてるの?」
レイの隣で紅茶を飲んでいたリディーナが用紙を見て尋ねる。テーブルを挟んで向かい側に座っていたイヴも一緒に覗き込んできた。
「始末した勇者と残りの勇者のリストだ」
「「……」」
名前と能力以外の辛辣なメモ書きに、二人は何とも言えない顔になる。
「クズばかりね」
「志摩恭子は洗脳だか操られてるだか言ってたが、これまで始末した連中はとてもそうには思えなかったがな。第一、洗脳されてたとしたらあそこまで行動的なのはおかしい。願望や欲望を抑制するタガが外れてる感じだ。まあ、何かされたのかもしれんが、被害者がいる以上、洗脳されてたとしても言い訳にならんがな」
「そうね。……ところで、この☆って何?」
「要注意人物だ。能力が厄介そうな奴も含めてな。顔を知ってる者も多いが、二人共注意してくれ」
「サトウユウコ、それにヨシオカリナ……」
吉岡莉奈は、メルギドの鍛治師ゲンマを嬲り殺し、リディーナが仕留めきれずに逃した勇者だ。当時と今ではリディーナの実力は大分違うが、それでもあの超速の動きに正面から対応できるかリディーナは確信が持てなかった。それと、佐藤優子はレイと白石響の戦いに水を差した女だ。佐藤が途中で参戦しなければ、レイが重傷を負うことなく白石を仕留めていた。リディーナは佐藤の顔を忘れてはいない。
リディーナはその二人だけは自分で始末をつけたいと密かに決意を新たにする。
「この???というのは能力が分かっていないということでしょうか?」
「そうだ。九条彰に関しては『鑑定士』の能力以外にも得体の知れない複数の能力がある。東条奈津美はすでに始末してるし、志摩恭子はこれから分かるが、あくまでも能力名が分からないというだけだ」
「能力名が分かっていても、能力自体の特徴が不明という訳ですね……」
「名前から推測するしかない。尋問して聞き出した能力もあるが、鵜呑みは危険だからな」
「最後の四人は?」
「俺がこの世界に来る前に死んだり行方不明になった奴らは、直接死体を確認したわけじゃないからコイツらも一応リストに入れてる」
「どうして?」
「俺が女神から依頼を受けた時、標的は三十二人だと女神は言った。俺が来る前には既に三人は死亡していたにも関わらずだ」
「死んでいないということでしょうか? それとも……」
「女神が嘘を言っている……とは思えない。何か隠す気なら初めから二十九人と言えばいいんだしな。だが、尋問した勇者共は皆同じ証言だった。少なくとも勇者共の間では三人は死んでることになってるが、女神はそう見てないってことだ。不死化してる可能性と、悪魔化、もしくは天使化してることもあり得るが、不死化してる可能性の方が高そうだ」
「なんか気になるわね……」
「まあ、今は考えても仕方ない。生きている、もしくは存在してるかもしれないってだけ頭にいれておけばいい」
「わかったわ」
「わかりました」
…
「そう言えば、オリビアはどうした?」
「出かけたわよ? 報酬を貰いに一緒にギルドに行くから昼には戻るって言ってたわ。置いてかないでよっ! だって」
「あっそ。まあ、今日行くとは言ってあるが時間は決めてないし、それまでゆっくりしてよう。装備も点検したいしな」
「それにしても、トリスタンが勇者の一人を匿ってたなんて何考えてんのかしら?」
「志摩恭子か。あの女には聞かなきゃならんことがあるからまだ殺すなよ?」
「それは分かってるけど、大丈夫なの?」
「今までの様なクズ野郎とは少し毛色が違ったな。ガキにも懐かれてたみたいだし、腹を裂かれたトリスタンを率先して治療してた。魔法か能力かは知らんが、回復スピードは俺より上だ。一撃で即死させないと殺すのは厳しい。物理が効かない結界も張れるが、動きは素人だから問題無い」
「聞く限り無害そうですが……それに、アリア様が憑依されたのですよね? 始末するのですか?」
「女神からは殺すなとは言われていない。それにな、俺達はこれから志摩の教え子を殺しにいくんだぞ? 今は無害でも、生かしておいてこの先俺達にとって無害な存在でいると思うのか?」
「「……」」
レイの言葉に、二人は無言で返答する。この世界で「教師」という言葉は一般的ではないが、二人はニュアンスで理解していた。自分の教えた人間が全員殺されて、残された者は殺した者を恨まないでいられるだろうか? 二人の経験上、その可能性は限りなく低かった。
「そういうことだ」
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