第72話 再度集合ですか?
「元気そうじゃないか、アレク」
「ヘルド大総統!?」
「おう」
「え、えっと……自らお越しになるなんて……」
「ふん、お前は一度戻ると顔を出さなくなるからな」
「ま、まあ……ここが一番落ち着きますから」
ヘルドさんは領の街並みを眺める。
「確かに、ここは良い街だ。生活も安定しているし、ゴミ回収なんて一瞬だしな」
『ゴミ超収集』を使い、毎日ゴミ回収をしているから、ゴミがない街としても有名になっているものね。
「まあ、御託はいいわ。今日俺様がここに来た理由は……分かるな?」
ううっ……やっぱり僕にも来るのか……。
「んと……先日あった……爆炎ですか?」
「そうだ」
き、聞きたくなかったぁぁあああ!
「取り敢えず、アイリスとアイを集めろ。直ぐに発つぞ」
「えええええ!? 今日!? というか、もう!?」
「当たり前だ。俺様の平和な国が脅かされたんだ。許すわけないだろう?」
「ヘルドさんなら……やっぱり来ると思ってましたから、もう準備してますよ……」
「クックッ、やる気満々じゃねぇか!」
「…………アイリスが……」
「クハハハハッ! だろうな」
実は、アイリスが意外と好戦的な性格で、戦いがある場所には自ら行く程には好戦的だった。
いつも僕も連れ出されるから、『自由国』建国後、全ての戦いに駆り出されている。
アイちゃんも楽しそうに『ヴァレンシア』と共に、相手国を煽っていた。
拙い言葉で幼女が煽っていた様は、中々心に来るモノがあったよね…………。
普通の人のようになれるように、教育を頑張ったはずなのに、いつの間にか『ヴァレン教』なんてのを作っているし……。
と、その時。
向こうからスキップしながらこちらに向かってくるアイリスが見えた。
――――暫く、戦いがなかったから……楽しみなのかな?
「あー! やっぱりヘルドさんも来てるじゃん。ほら、アレク! ちゃんと準備しておいて良かったでしょう? それで? 今すぐ出発する?」
あ……うん。
そうね。
今すぐ出発するみたいだよ……はぁ。
いつの間に隣にアイちゃんも来ており、気づけばグレンにリラとリルまでいる。
皆、意外と暇をしていたからね。
平和は良いんだけど、暇過ぎる事によって、今回の遠征をピクニックと勘違いしているのかも知れない。
急いでシーマくんに報告して、僕達は『ヴァレンシア』に乗り込み、北へ目指して出発した。
因みに『ヴァレンシア』は、元々お城みたいな格好で、頭部分に立派な砲台が付いている構造だったんだけど、酒の席で「早く動ける乗り物が欲しいな~」とぼやいていたのをアイちゃんに聞かれ、次の日には魔改造され、スリムな船型になっていた。
勿論、ちゃんと砲台もあるし、僕の『ゴミのリサイクル』を使えば、無限に撃てちゃうのよね。
今まで一度も撃った事ないけどね。
こうして、僕達は再び戦いの地に向かう事になった。
『自由国』の北側にある山脈の向こう――
――――『魔王国』へ。
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