第69話 新たな仲間と笑顔ですか?

 ヘルドさんが帰ってから僕は新たに増えた仲間? である『大型破壊兵器ヴァレンシア』をどうしようかと悩んでいると。


「マスター」


 守護神が声を掛けて来た。


 この子……意外としっかりとした自我があるようで、今の状態だと推定五~六歳の子供のような性格をしている。


「どうしたの? えっと……守護神と呼んだらいいのかな?」


 そう、困っているのは、まず名前である。


 今までは『守護神』と勝手に呼んでいたけど、そういう名前かな?


「マスター、ワタシノ、名前ヲ、クダサイ」


「ん? それは勝手に付けちゃっていいの?」


「ハイ、ワタシハ、マスターニ、名前ヲ、イタダキタイ、デス!」


 所々に人間味を出そうと頑張っている気がする。


 兎に角、名前だね。


 う~ん。


「ねえ、アレク」


「ん? アイリス、良い案でもある?」


「そうね。まず、その子が男の子が女の子かによ――――えええええ!?」


「ん? いきなり叫んでどうしたの?」


「う、う、う」


「う?」


「後ろ!」


 アイリスが物凄く驚いて、僕の後ろを指差した。


 後ろを振り向くと。




「えええええ!? 誰ですか!?」




 六歳くらいの……幼女? が一人。


 あれ? 守護神は何処に?


「マスター」


「えええええ!? 守護神!?」


「何か、急に身体がうにょうにょってなって、そんな姿に変わったの!」


 アイリスが身体をうにょうにょさせながら、説明してくれる。


 そのうにょうにょするの可愛い。


 こほん。


「あ、もしかして、女の子って言いたかったのかな?」


「え? あ~名前を決める時の性別を聞いてこうなったのか!」


「ハイ。マスター、オネガイ、シマス」


 う~ん、しかし、この子。


 何処かで見た事あるんだけど……。


「アレク、どうしたの? 難しい顔をして、いつもならぱーっと名前付けるのに」


「それがね。不思議な事に、この子、何処かで見た事あるんだよね」


「ハイ。ワタシノ、スガタハ、マスターノ、オモイデノナカカラ、ツクラレテマス」


 思い出?


 マスターってのは、僕を指しているいるだろうから、僕の思い……出……あっ。


 ま、まさか…………。


 あーなるほどね~よくよく見たら、確かにそのまさかなのね~。


 そうかそうか。


 僕の思い出の中で最も強い姿になるのか~


 不思議そうに僕を見つめる彼女と、無表情でエサを待っているかのような彼女を交互に見つめた。


「うん、君の名前はね」





「アイ。アイちゃんにするよ」


 僕の言葉に、無表情だったアイちゃんは、ぱーっと笑顔になった。


 ああ、うん。


 その笑顔ね。


 ずっと覚えているよ。



 僕は、すっかり大人・・になった彼女の顔を見て、懐かしく笑うと、彼女も不思議そうに笑顔になってくれた。


 やっぱり……昔から君の笑顔は変わらないね。

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