第9話 ゴミですか?いいえ、宝です

 僕とピエルくんはシーマくんの指示で、あるモノを集め回った。


 しかし、そう都合良く、見つかるはずもなく……。



 僕は探しモノをしながら、一つ望みを掛けて、スキル『ゴミ収集』を使っていた。


 ゴミ収集で収集したゴミは二度と出せない。


 それは分かっている。


 だから悔しかった。


 だって――――シーマくんから言われた『モノ』は全て僕の『ゴミ箱』の中に入っているから。



 夜になり、僕達は待ち合わせ場所に集まった。


 しかし……僕達は例のモノを見つける事が出来なかった。



 そんな中――――。



「アレクはいるか!!」


 外からアースさんの声がした。


「アースさん!!」


 外に出るとアースさんがいた。


「おう! 例のモノ、集まっているぜ!」


「本当ですか! 今すぐいきましょう!」




 ◇




 アースさんに案内された場所には――。


 『デッドゴミ』の山があった。


 僕がさっきほど、真っ先にお願いしたのは、アースさんに「どうか、出来る限り、デッドゴミを集めてください!」とお願いしていた。


 多くの大人達が大量に集めてくれていた。


「アースさん! 皆さん! ありがとうございます!!」


「おう! アレクの頼みだからな!」


 アースさんと大人達が親指を立ててくれた。



 うん! やっぱり僕はこの町が――――大好きだ!!


 だから、お願い。


 これで、どうか!




 ――――そして、僕は全ての『デッドゴミ』を収集・・した。











 - 能力『ゴミ箱』のレベルが上がりました。-


 - 能力『ゴミ箱』のレベル3により、スキル『ゴミ召喚』を獲得しました。-



〈ステータス〉――――――――


 能力 - ゴミ箱lv3


 体力 - D

 魔力 - C

 力 - D

 素早さ - C

 精神力 - A

 運 - SS


 [スキル]

 ゴミ収集

 クリーン

 ゴミ召喚


―――――――――――――――



 よっしゃ!! 遂にレベルが上がった!


 そして僕が一番欲しかったスキル……。


 僕の『ゴミ箱』に入っているゴミ・・を召喚するのだ。


 それは最早、ゴミではない。


 この町の皆さんと同じだ。


 確かに、ここはゴミの山の町かも知れない。


 しかし、ここに住んでいる僕達は、みんな固い絆で繋がっている。


 皆さん、綺麗な心の持ち主だ。


 皮だけ綺麗でも、誰も本物の笑顔をしていなかったあの屋敷。


 だから僕は、心から笑って、心から心配して、心から助け合う、この町が大好きだ。


 我々はゴミ・・ではない。


 僕達は――――。





 宝だ!!!





「スキル! 『ゴミ召喚』!!!」






 ◇






「シーマくん!!! これ!!」


 僕は『ゴミ箱』から取り出した、例のモノをシーマくんに渡した。


「アレクくん!? 見つけてくれたのか!」


「ううん! 町の皆さんの協力で、レベルが上がったの! それで僕のから取り出せたんだ!」


「そうか! うん、これなら大丈夫だ!」


 そう言いながら、シーマくんは渡されたモノを見つめた。


「本当に、良く集めてくれたよ。この『グリフォンの羽』と『ポイズンフロッグの内臓』を」


「ああ! だって、ここは宝の山だからね! 僕の宝の箱には何でも入ってるんだから!」


「宝か――――、ははっ! アレクくん、それいいね! うん、僕も決心したよ」


 それを眺めていたピエルくんと僕は一緒に拳を前に出した。


「アレク、シーマ、俺達でこの町を守るんだ。我々探索隊として!」


 そして僕達三人は拳をぶつけ合った。

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