第五章 動乱!温泉宿!!

第68話 温泉に向かう

 待ちに待った週末。

 健流、姫乃、灯里、光は、レーアの運転する車で、土曜日から月曜日まで過ごす温泉旅館に向かっていた。


 何故レーアが来たか。

 それは、ドライバー兼保護者として来たのである・・・表向きは。

 実際には、先日の事件と、その際に出会った桜花とその彼氏?による気疲れを癒やすために立候補したのだ。


 当然、アンジェリカとレーアは揉めた。

 何故ならアンジェリカも今回の件で色々大変な思いをしたからだ。

 自分が行くと言い張ったアンジェリカ。

 だが、


「長!私は長期任務の明けだったのよ!ちょっとは休ませてよ!!」


 というレーアの心の叫びに屈し、許可を出すことにしたのだ。


 五人を乗せて車は進む。


「でも、良いの?私の分までお金出して貰っちゃって・・・」


 光が気まずい表情で言う。


「ああ、光さん、良いのよ。気にしないで。どうせ当たったチケットだもの。」


 お金を気にする光に運転するレーアはにこやかに言う。


「(・・・綺麗な人・・・健流や姫乃ちゃんとはどういう関係なんだろう?)」


 一応、姫乃の昔からの知り合いだという紹介を受けたが、どうもそれだけでは無いという空気を感じる光。

 何故なら、健流も灯里も普通に接しているからだ。


「(何か、私にはわからない関係性が四人にはあるのね・・・)」


 光はその事実に少しづつ気がついて行く。

 その事が後に致命的な状況になる事をまだ誰も知らない。




 温泉に到着した五人は、すぐにチェックインをする。

 そして、部屋割で問題が起きた。


「はっ!?なんで俺が!?」


 健流は衝撃を受けた。

 何故なら、レーアから出された部屋割りはというと、


「何かおかしいかしら?」

「おかしいでしょ!?なんで俺と姫乃と灯里と光の四人部屋なんすか!!」


というものだったからだ。


「だったら、私と相部屋にする?」

「いやいやいや、それもおかしいでしょう!?普通男部屋と女部屋でしょうが!?」

「む!じゃあ大和くんは私に狭い部屋に行けって言うの?」

「そう言うわけじゃあ・・・」

「私は広く部屋を使いたいのよ。ね?」

「・・・で、でも・・・」


 レーアの言葉にしどろもどろになる健流。。

 すると、そこに、


「別に良いじゃん。」


 という灯里の声が。


「だ、だけどよ?」

「別になんかするわけじゃ無いんでしょ?」

「そ、そりゃそうだが・・・」

「じゃあ良いじゃん。それともする?な・に・か?」

「!?するかっつーの!!」

「じゃあ良いよね。ヒメノもヒカリも良いでしょ?」


 そう言って、姫乃と光を見る灯里。

 当然の様に姫乃は頷き、


「私は健流くんを信じていますから。ですから、一緒の部屋でも問題ありませんよ?」

「わ、私も!私も健流を信じてるもん!だから大丈夫だもん!!」

「ほらね?健流。もう諦めなよ。」

「ぐぐぐ・・・はぁ。でもよ・・・」


 健流は肩をがくっと落としてそれでも抵抗を試みようとした時だった。

 そんな様子の健流を見て、レーアはにやっと笑った。


 そして、健流に近づくと、肩をガシッと抱き、顔を近づける。


「な、なんすか!?」

「ちょっとレーアさん!?近いわよ!?」

「レーアさん!?離れて!!」


 ドギマギしている健流と、引き剥がしにかかる姫乃と灯里。

 しかし、レーアは離れず、健流の耳にささやきかける。


「何?おねーさんと一緒の部屋が良いのかしら?しょうがないわね・・・子供とは違う所・・・味わってみる?これでも中々上手いって評判なのよ?味わっちゃったら・・・もう子供じゃ満足出来ないかも・・・」

「!?い、いや、俺は姫乃達と同じ部屋で良いっすよ!うん!」


 そう健流が叫ぶと、レーアはパッと離れて、健流の背中をバシンと叩いた。


「よし!それなら良いのよ。さて、それでは部屋に行きましょう?」


 そうしてスタスタと中に入って行く。

 呆然としている健流。


 そして、自分の言った言葉に我に返り、すぐに否定しようとした・・・が、


「健流・・・認めたわね(ニヤッ)」

「あら、健流くん。男性なら、自分で言ったことに責任・・・持てますよね?(ニヤッ)」

「(くっ!?こいつら・・・)はぁ、わかったよ。ほれ!行くぞ!」

「あっ!?待ちなさいよ!」

「そうです!待って下さい!」


 三人は中に入っていく。


「(やっぱり三人仲が良い・・・何か・・・何かがあったのね。私には無い何かが・・・でも、私も負けてられない!私だって健流が好きなんだから!!)ちょっと待って!私も行く!」


 光は駆け寄っていく。

 こうして、温泉での3日間が幕を開けるのだった。



********************************

この章は、息抜きです。

血なまぐさいバトルはありません。

恋愛バトルはありますが(笑)

若干の不穏はあります。

ですが、全ては次の章へ繋がる予定です。

お楽しみ下さい。

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