第5話 とある男子高校生たちの話

「腹減ったー。マジ監督厳しすぎんだろ。」

「くっそあちい。めっちゃ走ったなー。」

「マジ冷房は神様だわ」

グチグチ言いながら歩いている今どきの高校生達。


「あ、短冊あるぞ。なんか書いてこうぜ。」

ふざけ合って書いている。

『世界征服』『彼女が欲しい』『金をくれ』

ぎゃいぎゃいやりたい放題な様子な中、1人黙々と書いている。


「お前真剣に何書いてんだよ。」

周りの子たちがその子の短冊を覗き込み出した。

『マネージャーを国体に連れて行く』

「ヒュー!さすがキャプテン!カッコいー!」

「なあ。お前、やっぱマネージャーと付き合ってんの?」

「付き合ってねーよ。ただ、毎日遅くまで俺らのためにいろいろしてくれてんじゃん。マネージャーの努力に見合った結果が欲しいなと。」

囃し立てられる中、素直に語る高校生。


横で聞いていた男子が一人、つぶやいた。

「お前なー。短冊に祈ってないで実力で連れて行けよ。」

「・・・練習行くか。」

「よっしゃー!みんなで行こうぜ。」

「こいつのためにも、一肌脱ぎますかね。」

来る時と同じように、ぎゃいぎゃい言いながら歩いていく今どきの高校生達。

でも、顔つきは先ほどよりずっと凛々しい。


彼らの熱意がいつも直向きなマネージャーに届きますように。

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