召喚士が陰キャで何が悪い

作者 かみや

キャラクターひとりひとりの感情にのめり込む良作

  • ★★★ Excellent!!!

ステータス、スキル等のゲーム要素を取り入れた異世界転移もの。先にひと言断っておきますと、私はこのステータスオープンものが少々苦手でした。

ただ、この物語は私のイメージするそれとは、やや違っております。

異世界の存在がすでに当たり前で、異世界への転移は現実世界の経済にすっかり根付いている。異世界にある各要素や、異世界なのに現実世界の料理やらなにやらがゴロゴロしているのは、長年の異世界転移でこちら側の人間が利便性を追求してあれこれ手を回したものである。それでいて、異世界の文明が現実レベルに追い付いていない原因まで、きっちり物語の中で説明がつきます。ここが大変好感度の高いところです。

召喚士ながら、主人公藤間少年は序盤ひたすら採取に明け暮れます。この事情があまりに不憫で、『ぉ、ぉぉ藤間くん、がんばれよ』からスタート。彼の抱える過去、そこから生まれた彼の在り方や心情が、周囲と関係していく中で大変丁寧に描かれます。そのため、五、六章辺りまでは、このゲーム風な異世界を楽しみつつ藤間くんを追いかける人間ドラマがメインです。ここまでで、思い切り藤間くんのとりこになります。『おま、ふ、藤間……お前ってやつは』ってな具合で。藤間くんだけでなく、彼と行動をともにするアッシマちゃんにあかりちゃん、彼と対立的な位置付けである祁答院くん、薔薇のかほりのするダンベンジリのおっちゃんにもときめいて、

七章から、この物語は一気に『この異世界とは何物なるや』に突っ込んでいきます。

他サイトで先行で読んでしまっているのですが、アドバイスするならば、あとに控える八章、涙腺に自信のないかたは、ハンカチ、ティッシュ必携でお挑みくださるが良いかと思います。

ところで、私はひそかに海野くんが気に入っているのですが……彼、もう少し絡んできてくれないかなーなどと期待しつつ。これからも楽しみな作品です。

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