第3話 誰か………


 中学二年生になった時、私はもう少しだけ、学校生活と言うものが息苦しくなっていた。

 友人との噛み合わない価値観。

 渚の熱烈なファンに目の敵にされたことも手伝って、朝になると決まってお腹が痛くなる。渚や勇志には先に行ってて、と伝える日が増えて、遂には一緒に登下校をしなくなった。

 友人と居ても家に帰っても、まるで同じだった。

 ただ、孤独。寧ろ、人と一緒にいる時に、笑いたくもないことに笑っている時ほど、孤独感は増す。


 学校行きたくないな…。


 そんな時、自分から学校に連絡する日も増えた。担任は私がほぼ一人暮らしのように生活をしていることを知っていたので、保護者からの連絡じゃなくても許してくれた。

 行くつもりだったけれど、通学路で「やっぱり今日は行くのやめよう」と思うことも多々あって、そんな時は学校に連絡をした後に近くの河川敷で時間を潰すこともあった。

 石の階段に座り込み、空や川を眺めた。それらでさえ、自由に流れているのに、私は何処へも辿り着けない。私の時間は止まってしまっている。ーーーそんなことさえ、考えてしまっていた。ポエムとか書き残してなくて良かったと思う。

 やがて、学校に行かない日の方が楽しいと思うようになり、そんな日も堂々と出掛けたりしていたので、遂に母にばれてしまった。

「行きたくなったら行きなさい」ーーー母は、何も聞かなかった。

 それが無性に寂しくて、その日は布団を被って息を押し殺して泣いた。

 誰にも、自分を分かって貰えなくて。私は本当の自分の心を殺して、嘘の中を生きていかなきゃいけないような気持ちになった。


 或いは誰も、私を愛してくれないのだろうかと、そんな絶望を感じていた。

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