リュデイと相談と秘密と


 ルヴァン視点


「いや!これはちがっ……違うんだ。ルヴァン殿のことが嫌というわけじゃ。本当に。……違うんだ」


 泣きそうな顔で自分の手を見つめながら、弁明する王女様。

 俺はそれを見て、軽はずみな行動をした自分を殴りたくなった。

 彼女は俺が、何故こんなに震えているのか分からないと思って罪悪感を感じているのだろう。

 だが、それは違う。俺は大体だが、彼女が震えている理由が分かっている。その筈なのに、これくらい大丈夫だと思って行動をした俺の責任だ。


「……ごめん」


  再度謝罪の言葉を口にする。彼女がして欲しくないと分かっていても。言わなければ、罪悪感で押し潰されてしまいそうだったから。

 俺は彼女から逃げるように近くで現れたモンスターの元へ向かった。



 「で…女の子が落ち着くまでモンスターを倒して……安全な所まで行ったのを見届けて…私の所に来たと…… いつの間に私とあの女以外にフラグを建てるの…ルヴァンのラブコメ鈍感主人公っぷりにも呆れるね」

「建ててねぇよ。どう見ても、俺は失恋した女の子に追い討ちをかけたクソ男だろ」


 迷宮から帰ってすぐ、俺は酒場にリュディを呼び姫様についてぼかしながら今日のことを相談していた。毎日顔を合わせるのに、気まずいままだと困るからだ。

 リュデイは弄っても、あまり良い反応が返ってこず溜息を吐くと、ジョッキに入ったジュースを見つめながら真面目なトーンで話し始めた。


「真面目な話……ルヴァンが気に病む必要はないと思う……」

「いや、それはないだろう。俺は彼女が傷付いていることを知ってたんだぞ?」

「それはあまり関係ない……あーいう心の傷はいつまで経っても中々治らないよ…周りに何を言われようと、されようとも傷は癒えない。…脳裏にいつも嫌な記憶が脳裏にこべりついて…何ヶ月、下手したら何年も離れない。いくら仲を深めても一度は…絶対に同じようなことが起きる」

「……そうか」


やけに実感の籠ったリュデイのアドバイスを聞き、俺は天井を仰いだ。


(だとしても、俺が傷つけてしまったことは変わらない)


 それは、変えようもない事実で俺の胸にある罪悪感は未だに燻り続けたまま。


「俺はどうしたらいい?」


 これをどうにかする方法を俺は知らない。だから、リュデイに尋ねた。


「…何事もないように振る舞うのが一番……気にされてると申し訳なくるから」

「今日の明日で出来る気がしないな」

「…そこは仕方ない。……人間だもん。そう簡単に切り替えられないよ」

「そうだよな」


俺は主人公のように強くはない。普通の人間だ。気の利いた言葉も掛けられないし、気の利いた行動も出来るわけがない。悩んで、悩んでゆっくりと進めるのが似合ってる。


「ありがとな、リュデイ。相談に乗ってくれて」

「……〜〜。別に…奢ってもらった分の仕事をしただけ」

「何照れてるんだよ」

「うっさい…本当デリカシーがない。だから彼女が出来ないんだよ(…私的にはそれで構わないけど)」

「うぐっ!」


昔、ユナさんにも同じ事を言われたのを思い出し古傷が痛む。

 仕方ないじゃん。ユナさんとリュディと会うまで女と絡む機会なんてあんまりない人生送ってたんだから。女の扱いなんて分かるはずないだろ。


「本当に…ルヴァンは駄目だよね…まず女の子と相談する事をするのに…酒場って…あり得ない」

「いや、周りが騒がしいから聞かれないから逆に良いかなと」

「その発想が駄目…ゴミ…こういうのは…個室があるこじんまりとしたレストランでするのが普通」

「すんません」

「他にも…注文勝手に私のも頼むし…まぁ、食べたい物頼むから良いけど…私以外だったら嫌がられるよ」

「反省します」

「後───────」


リュディの駄目だしはその後も続き、俺のメンタルは別の意味でボロボロになるのだった。



「じゃあ、今日は解散ということで」

「…うん」


ある程度飲み食いした俺達は、会計を終わらせた所で帰り道が真逆のためここで解散する。


「なぁ、リュデイ最後に一つ聞きたいんだけどさ。リュデイの話はやけに実感篭ってたよな。どうやって乗り越えたんだ?」


あまり話したくない話かもしれないだけど、姫様が前を向くのに参考になるのならと俺は問いかけた。


「乗り越えてないよ……私の場合は……ズルしたから……」


そう言うと、リュデイは俺の方を振り向くと笑顔を浮かべた。


「…神様が願い事を叶えてくれたからね」

「?どういうことだ」

「…時が来たらいつか、話すよ。だから……待ってて。バイバイ」


リュデイはその言葉を最後に、俺から顔を背け帰路に着いた。




 



 


 






 


 

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