ユナさんとデート 前2
ルヴァン視点
「何てピンポイントな言葉を発動キーにしてんだよ。…てか、人の家に魔法陣を勝手に描くな!」
「ほにゅ…いふぁい、…べふに…いいふゃあん…わたしと…ルビャアン…にゃかなら」
「親しき仲にも礼儀ありだ!限度があるだろ。この馬鹿」
「いふぁい、いふぁい〜〜!」
両頬を強く引っ張られ涙目になるリュディ。俺の腕を叩いて何度もギブと伝えてくるが、駄目だ。この程度でこいつは反省しない。やるなら徹底的にである。俺は五分ほどリュディの頬をこねくり回してやった。
「役立つ物を持ってきたのに…酷い目にあった。はっ!?もしかして、これが賢者様の言っていた『デーブイ』」
「違うわ!そこまで俺達は親しい仲じゃないだろ!」
「酷い…私とは遊びだったのね。夜あんなことやこんなことしてあげたのに」
わざとらしく床に倒れ込み、オヨオヨと泣くリュディ。だが、涙を流す際に思いっきり魔法で『嘘泣き《レマキア》』と唱えるのが聞こえていたので、わざとだとバレバレだ。
「嘘言ってんじゃねぇよ。お前とそんなこと一度もしたことねぇだろが!」
「…えっ?嘘。…あの日はお酒が入ってたから忘れても…」
「マジっぽい反応するのやめろ!一瞬やったかと思うだろうが」
俺は体質的に酒に強く飲んでも記憶を失わないタイプだからそんなことはあり得ない。というか、逆にリュディの方が酒に弱くすぐに酔い潰れて寝ている。間違いなんて起きるはずがない。だから、キョトンとした顔をやめろ。
「ふぅ…そろそろルヴァンで遊ぶのをやめて…これの説明をしないと。…後二分で時間がきちゃう」
「そんなシンデレラ仕様あんのかよ?」
「…魔法陣の有効時間が五分。…その時間内は自由に行き来出来る。けど…切れると歩いて帰られきゃいけなくなる」
「それはだるいから説明をする」と、いつもの無表情になり、床に置いていた目覚まし時計をリュディは拾い上げ俺に手渡す。
「…裏側に魔石を入れると時計が動く。そして…ネジを回して起きたい時間に針を合わせれば…目覚ましセット完了。時間になれば…遮断されていた魔力回路が繋がって…光魔法が発動してかなり明るくなる」
「なるほど、音じゃなくて光が出るのか。スピーカーとかはまだ作れないから当たり前なんだが、こっちだと音出ると確実に近所迷惑になるから。これが一番いい形だな」
「…渾身の出来栄え。…大切に使ってくれたまえよ…ルヴァン君。そして…今度お礼の食事を所望する」
俺に褒められ、口元を少しだけ釣り上げ嬉しそうに胸を張る賢者の弟子。
その姿はまさに、親に褒められた子供だが彼女の年齢は俺と同じで十七歳。成人が十五歳のこの世界では立派な大人である。前世なら絶対に見れない小学生と見紛う童顔。流石、異世界というか創作の世界。美女や美少女だらけで来てよかったと思う。ありがとう、女神様。俺本当に感謝してるよ。日本に帰りたいとか嘘だから。全然異世界最高!合法ロリ巨乳バンザイっす。
「良い出来なのは認めるし、凄い物だと思う。が、渡し方がな。何であんな変な方法で家に来るんだよ?」
だが、リュディの姿が俺の性癖ドストレートパンチだとしても、人様の家に魔法陣を設置したのは流石に許せん。完全にプライバシーの侵害だ。
それを考慮すると、これを設置した理由がよほど重大なものじゃない限り、今あるマイナスは打ち消せない。
その理由を知るため、何故こんな方法で来たのかと尋ねた。
「…ルヴァンの反応が見たかったから。後、歩いていくのが面倒だから」
悪びれた様子もなく淡々と答えるリュディを見て、俺の中で判決が出た。
うん。お前ならそう言うって俺知ってたよ。お前はそう言う奴だって。だから、お前の判決は…。
「…
「なして!?」
「不法侵入罪と人の家に魔法陣を勝手に書くなんて普通に犯罪だ。当たり前だろ。まぁ、今回はこの時計を罰金代わりにして許してやる。次はないぞ、リュディ?」
「そんか横暴な!?…それ一個作るのに金貨二百枚もしたのに…有罪判決でもそれを渡せばご飯くらいのお釣りはあるはず」
「そんなこと知るか。犯罪者の言葉に耳を傾けるわけねぇだろ。てなわけで、またな」
俺はそう言って、リュディを魔法陣の上に入れ手を振る。
「…クソッこの鈍感主人公!」
リュディは最後に捨て台詞をそう残して、転移し姿をこの場から消した。
「ふわぁ〜ようやく寝れる。マジで疲れた〜」
俺は目覚ましをセットし、ベッドに再び飛び込み目を閉じた。
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