第4話 帰還

『ピンポ~ン』…アパートのベルが鳴った。


「ひと・はち・ひと・よん、帰還きっかん~」……部屋に入るなり、ユイが上機嫌で言った。 


 うしろから、やはり上機嫌の長瀬が顔を出し、「ジャンジャジャーン!」と言いながら金ピカのトロフィーを掲げた。


 ……まあ予測してはいたが、ユイにとってはサバイバルゲームなど児戯じぎ。チートになるのは気が引けたが、長瀬が本当に嬉しそうなので、まあ良いか。


 遠慮して帰ろうとする長瀬を引き留め、打ち上げをする事にした。優勝を見越して買っておいたビールが無駄にならなくて良かった。


 三人で乾杯する。ユイは、ストレートティーだ。


 話題は、サバイバルゲームでの長瀬のケアレスミスとユイのナイスフォロー、更にユイが敵チームにスカウトされた話などで、大いに盛り上がった。


 宴もたけなわでは御座いますが「では、そろそろ」と長瀬が立ち上がった。


「ここで就寝していけ」というユイに、照れながら「俺、明日デートなんですよ~」と言う長瀬。 ……え? お前彼女いるの?


「逆に、たいらさんは居ないんですか?」 ……ああ、居ないさ。それが何か?


 長瀬が「いい事教えましょうか……」と耳打ちしてきた。俺の反対の耳から聴こうと、ユイが背伸びして耳を付け、奇妙な団子三兄弟が出来ている。


「もうすぐ七夕ですよ! お祈りしたら?」


 ふざけろ!

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