第38話城い巨頭

僕達は無事領都に着いた。

辿り着くまでに一度宿場町で一泊し、領都に入るのは次の日の昼過ぎになっていた。

僕は方向音痴だ。

松風にもナビがついていたらよかったのだが、残念ながらそうもいかない。

マイさんがいなかったら一生辿り着けなかっただろう。


最近マイさんに依存し過ぎているな。

このままだと情報屋に変な二つ名をつけられてしまう。


「二つ名が寄生虫とかになったらやだなぁ。」


「一人で何ぶつぶつ言ってるのよ。早く宿をとらないと日が暮れるわよ。」


「ま、まって下さい。僕はもうマイさん無しでは生きていけない身体になってしまったんです。寄生虫なんです!」

歩くのが速いマイさんを必死に追いかける。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「へぇー。これが領都ですか! なかなか賑わってますね!」


「そうね。ここは西方最大の都市ですもの。マッシュ王国の中でも一、二を争う規模よ。」

マッシュ王国とは人族の国の名前だ。

そしてここは西の都ナオーミという。

ちなみにオサカ ナオーミ侯爵がここの領主様だ。


「ほら、ツーティン城が見えて来たわ!」

マイさんの指の差す方を見ると、建物の上からお城の屋根の部分が見えた。

屋根の形はチンコの傘のようだ。

そのチンコが空に向かって2本突き出しているようになっている。

なるほど、だからツーティン城と言うのか。


「キノコの傘みたいに見えるでしょ?あれがここの城の特徴なの。」


「へぇー、そうなんですね!」

危うくチンコ言うところだった。

不敬罪で捕まらずに済んだ。


「しかし、凄い大きいですね!」


「そうね。わたしも初めてあの城をみた時は、凄いワクワクしわ!」


「ほぉー、ちなみにマイさんは、大きい方が好きなんですか?」


「そうだと思うわ。形が綺麗だと、それだけでもワクワクするけどやっぱり大きい方が夢がある感じがするじゃない?」


ーーニチャア


「僕もそう思います。」

微笑みながら答えた。マイさんは巨根がお好きなようだ。

今度機会があれば僕のも見せてあげよう。


「ところで、あなた病気を治しに来たのよね? ていうことは教会に行く、でいいのよね?」


「そうなりますね。」


「ここの教会は混むから明日の朝に行きましょ。」


「そうですね。でも、明日迷わないように先に場所だけ見ておきたいです。」


「大丈夫よ。わたしが案内するから。」


「え!?」

不味い! 教会について来られては僕が性病にかかってることがばれてしまうかも知れない。


「大丈夫ですよ。直ぐに治して戻りますから。」


「いいえ、ついていくわ。治して貰ったらすぐに帰るわよ。わたしがエイオンを離れると、色々不味いのよ。」

マイさんはエイオンに2人しかいないCランク冒険者だ。

しかも最近はもう1人のCランク冒険者のアナさんは依頼で街を離れている。

この2人は冒険者ギルドから結構な補助金が出ている。いわゆる囲い込みってやつだ。

マイさんとアナさんは一週間以上街を離れる場合は申請しなければならない。

なので余り長いことエイオンを離れられないのだ。

「事情はわかりますけど、時間に余裕は有りますし。ちゃんと戻って来ますって。」

しかし、なかなかマイさんはうんと言ってくれない。

仕方ないので今日は教会を見て、一人で教会に行く方法は後で考える事にした。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「ほら、ここが教会よ。」

教会は僕が想像していた物とほぼ同じだった。

二階建てのレンガ造りで、窓にはステンドグラスが使われている。


「ありがとうございます。覚えました。」


「じゃあ、宿を探しに行きましょ。」


「はい。」

歩き出したその時


忘れもしない忌々しい女を見た。


「あの、アマァ!!」

僕は女を睨めつけ、憎しみの込もった声をあげた。


「あら? 坊や久しぶりね。」

女は僕に近づいてきた。


シェリー。

僕にエイズを移した性悪女。僕から魔法使いの資格を奪った憎き女。


「おお、確かダイと言ったか。こんなところで会うとは、どうしたのだ?」

マリオまでいる。


ーーふざけやがって!!


「マリオさん、おそらく彼は病気の治療に来たのよ。ね、坊や?」

僕は殴りかかる寸前だった。


「なに? あの人たちあなたの知り合い?」

そうだ、ここにはマイさんがいる。怒りのあまり存在を忘れていた。


「あら? 坊やの彼女? ずいぶん可愛らしい子ね。」

僕はマイさんを見た。しかし、シェリーをじっと見ていて反応はない。


「もうやることヤったの? もしそうなら、貴方も1度教会に行った方がいいわよ?だってこの子……」

シェリーは僕とマイさんを交互に見た。


「……まあいいわ。今日はこれから領都を出なければいけないの。さようなら、またね。」

シェリーはそう言って投げキッスをし、マリオ達の元へ戻った。

マリオも僕に手を振り、一行はどこかに行ってしまった。


「なに、あの人。」

マイさんが言った。


「僕の宿敵です。」


「そうなの? でも殺したいと思ってるのならやめた方がいいわ。あの人、わたしたちよりよっぽど強いもの。」

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