第9話ようこそ新しい世界へーー
清々しい朝だ。
身体を起こすと、そこは村長の家だった。
辺りを見回すと、すでに他の布団は畳まれていた。
僕の布団には、シェリーさんの寝ていた跡だけが残っていた。
「コーヒーが飲みたいな」
今ならば酸味が苦手で飲めなかったコーヒーもおいしく頂けるだろう。
僕は取り敢えず部屋を出ようとした、その時ーー
部屋の入り口横の壁に、口紅で文字が書かれている。
「エイズの世界へようこそ シェリー」
ーーやられたっ!
女奴隷に手を出さないマリオと奴隷二人、ただマンをさせるシェリー……
ーー全てのピースが埋まった
「まずいっ!!」
僕は身体強化を駆使して駆け出した。
ーーこういうのは初動が大事だ
エイズにかかった場合の対処方法はわからない。
しかし、殺菌の基本は
僕は厨房に向かった。
「おばさん、お湯下さい!」
厨房ではおばさんが朝ごはんの後片付けをしている。
「お湯なんてないよ。自分で沸かしな。」
そう言われた僕は大きな鍋を借り、井戸から水を組むと厨房でお湯を沸かし始めた。
そわそわする。
鍋が大きいので時間がかかる。
速くしなければ手遅れになるかも知れない。
「致し方ない!」
調理台に上がり、パンツをおろすと鍋にまたがり便所座りでムスコを鍋に突っ込んだ。
「っうわちゃあぁぁぁぁあっ!」
思ったより鍋の中の水は熱くなっていた。
僕はビックリして調理台から転げ落ちた。
ーー頭がチカチカする
でも、ここで諦めたら全てが終わるーー
「こんなところで、諦めきれるかよぉぉぉお!」
僕は立ち上がり、調理台に上がり鍋にムスコを突っ込んだ。
「っっっっつ!!」
言葉にならない悲鳴をあげながら、僕は必死に熱さに耐えた。
ーー自分に負けそうになる
もう……楽になりたい……
諦めようかなーー
『一緒に魔法使いになろうな!』
どや顔の渡邉が頭に浮かぶ。
「ごめんね、渡邉。僕は君を裏切ってしまった。テストマッチなんて言ったけど、そう思い込むのは僕には無理だ。ああ、僕は童貞卒業したよ。」
童貞がエイズにかかるなんて聞いた事がない。もう、認めるしかないだろう。
『今日の渡邉君、面白いね』
大水さんの笑顔が浮かぶ。
「ごめんね、大水さん。君に僕の病気を移すわけにはいかない。もう、君の処女を貰う事はできないんだ。」
誰でもいい。
どうか大水さんを幸せに、そして女にしてあげてくれ。
限界だった
だんだん意識が遠退いて来るーー
そして僕は意識を失った
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