神崎ひなたのタイムスリッパー

「ちょっと待ちな。お二人さん」

 カーボーイハットを被った、えらい胡散臭い男が目の前に立ちふさがる。

「エンプティ、どうしてあなたがこの世界に」

 僕は思わずそう口にした。あり得ない。が間違っている。

「狐さんと俺には多少の縁があってね。それが理由でいち早くこの世界線にたどり着いたのさ」

 エンプティはリボルバーを構える。あので撃ち殺した相手とまた相まみえるとは思ってもみなかった。

「狐さんは俺が守る!!!!」

 神ひなさんの叫び声と同時に銃声がなった。しかし、銃弾は飛んで来ない。

時間飛ばしタイムスリッパーか、厄介だな」

 と、エンプティは呟いた。神崎ひなたの異能、時間飛ばしタイムスリッパーと言われたそれは、特定の空間の時間軸を任意の時に変える事ができる。エンプティが放った銃弾は時間旅行へと旅立ったのだ。

「また、死にたいのかな。エンプティ」

「今度は始めから強敵だとわかっている。やられないよ」

 僕はツリーダイアグラムを展開する。マイルストーンを確認。確定した運命までスキップする。

 僕は、エンプティの懐に飛び込むまでの過程を無くした。奴に肘打ちを食らわそうとしたが、額に銃口が当たる。そして、エンプティの手に収められていた自動拳銃オートマチックが火を吹いた。

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