第43話 未練と想い
リールside
追いかけっこに無事に?捕まり、色々聞かれた。
最も聞かれたのはエリスとの婚約についてなのだが、なぜあそこまで根掘り葉掘り聞かれるのか疑問で仕方ない。
リール『はぁ…。』
ラミ「そんなため息ついて、幸せ逃げるよ?」
リール『誰のせいだと思ってんだ?』ジトーッ
ラミ「あれは、凛怜が悪いんだよ。」
リール『いや、なんで?』
グラ「まあまあ、それより報告をしてもらおうかな?リール君?敵組織の人間を無断で保護にしろなんて、本当は許されないことだよ?」
リールと呼ばれ、自分の中でリールへ切り替える。
リール『…私が気に入っちゃったのよ。』
グラ「…はぁ、君は昔からそうだよ。振り回される僕の身にもなって欲しいんだけど?」
呆れたように俺に言葉を発するグラレスに。
リール『ごめんなさい、でもなんとかしてくれたんでしょ?』
世界一わがままな言葉で返した。
グラ「はぁ、君には迷惑をかけたから、今回はチャラで良いけど、次からはもう少し気をつけてね?」
リール『分かっているわ、ありがとうグラレス。それで、あの子達は今どうしてるの?』
今この場に例の子達はいない。
グラ「今は、療養室で休んでもらってるよ。もし会いたいならそこに行けばいいよ。」
リール『分かったわ。アイリ行くわよ。あなた達はどうする?』
アイリ「了解した。」
ラミ「私も行くよ。」
ステラ「私も行きます。」
グラ「僕は遠慮しとこうかな、武美君とラルク君は残ってくれるかい?」
武美「承知したでござる。」
ラルク「…了解した。」
リール『そう?ではまた後で。』
グラ「うん、また後でね。」
さて、どんな話をしようかな?そんな事を思いながら、療養室に足を運ぶのだった。
グラレスside
リール君達が部屋を出た後。
グラ「さて、2人とも君達の見解を聞きたい。」
人によっては何の?という問いをすると思うが、この2人は僕の意図を理解しているのだろう。
武美君から、口を開き、説明した。
武美「では、拙者からでござるな。今回の襲撃については完全にグローリー母娘を狙ったもので間違いはないでござる。そして今回の1件で、我々MIOへの警戒度が上がると断言するでござる。」
ラルク「…俺もそう思う、少し引っかかるのはいくらフリーエリアとはいえ、異常種2人だけを送り込んできたという点。作戦にしては単純すぎる。」
グラ「ふむ、なるほど。リールくんについては?」
そう2人に問うと、面を食らったような顔をしている、さすがに予想出来なかったかな?
武美「それはリール殿の事をどう思っているか、ということでござるか?」
グラ「うん、その認識で間違っていないよ。」
武美「…リール殿は昔と変わらず強いお人でござる。実力も然ることながら、心の在り方が特に強い。拙者はリール殿を裏切り者なんて思っていないし、何より与えられた恩に報いるのが侍でござる。」
ふむ、何とも武美くんらしいことだ。
ラルク「…あの人は温かい人。俺は敵対してると思っていない。あの頃と変わってない。」
簡潔に話しているが、その表情はとても温かいものだ。
グラ「君達の考えは分かった。ありがとう。引き続き任務を頼むよ。」
武美ラルク「了解でござる/…了解。」
そう言って僕は部屋を出る。
リールくん、いや凛怜君、どうやら僕の考えは杞憂に終わりそうだ。
君は、やはり凄いと言わざるを得えない。
君が去って、気を落としたのは何もステラくんだけじゃない。
特に酷かったのはいつも絡んでいた2人だ。
いつも飄々としていたラミくんが一時期何かを押し潰すように任務に行っていた。
いつも君に悪態をついていた杏華くんも寂しそうな顔をしていた。
裏切り者と嘘を流され、憤りを感じていたのは特務部隊の全員だ。
今でも、皆で特訓したあの光景を覚えている。
こう言ってはダメなのかもしれないけど、僕は…。
自分の感情の奥底に眠っているものを押し殺すように、僕は前を向き、歩き出したのだった…。
アイリside
リール達と療養室に向かっている途中、すれ違う人は皆、私たちに奇怪な視線を送っている。
ラミ「気にしない方がいいよ。いつもの事だし。」
アイリ「…そうなのか?」
ステラ「はい、私達は全てにおいて秘匿とされてきました。ここにいること自体、私たちは珍しいんです。それだけじゃありませんが…。」
アイリ「…どういう事だ?」
杏華「私たちは強いのよ。特務隊員は秘匿とされてるけど、それなりの地位もあり、強さもあるわ。それは味方にも影響するのよ。他の人にとっては近くに脅威となる何者かがいる。そんな認識なのよ。」
なるほど、それに特務隊員は異常種という事も付随していると考えると、そういう目で見る人もいるのだろう。
ラミ「まぁ、慣れちゃえば、別にどうってことないよ。」
杏華「そうね、むしろ来られても迷惑だもの。」
閉鎖的な感じなのだろうか、そう思っていると。
ステラ「お二人共、あの容姿に強さなので、とても言い寄られる事が多いんです。視線の理由も目を引く容姿ということもありますが、憧れを抱かれる人も多いのですよ。」コッソリ
アイリ「…なるほど。」コッソリ
こういう人を私は知っている。ずっと身近にいる人だから。と思いつつ、その人物に視線を向ける。
リール『どうしたの?アイリ?』
アイリ「…いや、なんでもない。」
ステラ「…。」
ステラは、私の考えが読めたのだろう。
なんとも言えない表情で私を見てくる。
アイリ「お互い、大変なんだな。」
ステラ「…えぇ、そうですね。」
…この2人は知らない。
リール『相変わらず、お前らへの視線やばいな。』
ラミ「そうかな?さっきも言ったけど、もう慣れたよ。」
杏華「そうね、私たちより、ステラの方が人気なのよ?にも関わらず、あの子自覚無いのよ。」
リール『あー、ステラは昔から自分の人気だとか、無頓着だったなぁ。うちのアイリというか、妹達みんなそうなんだよ。もう少し自覚を持って欲しいもんだ…。』
ラミ「それは君もじゃない?」
杏華「そうよ、どの口が言ってんのよバカ。」
リール『ひでぇなおい、俺避けられてたろ。皆紅葉目当てで近寄ってはきてたけど。』
ラミ・杏華「はぁ…。」
リール『なんだよ…。まぁともかくアイツらの無自覚さには困ったもんだ。』
ラミ「そうだね、どこかの誰かさんみたいにね。」
杏華「どこかのバカよりはマシになってもらわないとね。」
リール『おかしいなぁ、なんか罵倒されてる気がする。』
杏華「自意識過剰なんじゃない?キモイわよ。」
ラミ「あはは、そうだね。凛怜の事じゃないよ?多分。」
リール 『ボロくそ言ってくれやがって…。』
なんという、お互い似た様な会話があったことに。
そんなこんなで…。
例の2人がいるであろう療養室へ着いた。
リール『あ、そうだ。少しおっさんに用事あるの忘れてた。ちょっと行ってくるわ。』
アイリ「私も行こうか?」
リール『いや、俺一人で行ってくる。ここは頼むわ。』
アイリ「了解した。」
ラミ「まったく、早く戻ってくるんだよ?」
杏華「ほんと、慌ただしいわね、あなた。」
ステラ「ここはおまかせください。」
リール『わりぃわりぃ、んじゃちょっと行ってくるわ!』
そう言って、凛怜は、早歩きで、廊下を歩いていった。
ラミ「さぁ、入ろうか。」
アイリ「あぁ。」
少し凛怜の態度に違和感があったが、直ぐに戻るだろうと、考え、とりあえずは例の2人がいる療養室に視線を戻すのだった。
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