第30話 ハプニングの予感?
リールside
リール『さっきも言ったけど、私は、クローバファミリーのボスとしては動けないわ。それでかまわないかしら?』
ボル「あぁ、分かってるよ。リールちゃんの所は中立派だからね。」
俺の所は中立派、表立って穏便派のマフィアと協力したとなれば、過激派が黙ってない。
まぁ、ボル君の口振り的に、分かってはいるのだろう。
リール『とりあえず、今日のところはお暇するわ。何かあったら、連絡してきてちょうだい。』
ボル「あぁ、わかったよ。」
セレ「リールちゃんは、明後日、お時間はあるかしら?」
リール『明後日、そうね、何かあった?』
セレ「お買い物に行く予定なのよ。それにリールちゃんについてきて欲しいの。」
リール『…分かったわ。それじゃ明後日の朝にここに来るようにするわ。』
セレ「えぇ、お願いね。」
リール『それじゃ、私は行くわね、また来るわ。』
ボル「あぁ、また会おう、リールちゃん。」
セレ「またね、リールちゃん。」
俺はグローリー夫妻に見送られ、部屋を後にした。
さて、アイリと合流するか。
アイリside
リールを部屋に残し、私は、グローリー嬢と2人でいるのだが、初対面という事もあり、少しばかり気まづい雰囲気が流れている。
ニーナ「あの…。」
アイリ「…なんd…でしょうか?」
ニーナ「苦手でしたら、普通にしていただいて、よろしいですよ?
…そのですね、天使様は、なぜ私を追い出したのかなと思いまして…。」
天使様…?リールが聞いたら、否定しそうな言葉だな。
アイリ「じゃあ、遠慮なくいかせてもらうが、天使様というのはリールの事だろうか?」
ニーナ「は、はい、そうです!」
アイリ「まぁ、聞かせたくない事があるのだろうな。」
ニーナ「貴女様は天使様とどのような関係なのですか?」
そんなにもグイグイ来られると困るものがある。
アイリ「わ、わたしは妹だ。」
ニーナ「そ、そうですか…。」
なんだか、羨ましそうな顔をしているが…。
アイリ「どうしたんだ?グローリー嬢。」
ニーナ「ニーナとお呼びください。天使様とアイリ様にだけはそう、呼んでもらいたいのです。」
アイリ「そ、そうか。では、公共の場以外では、ニーナと呼ばせてもらおう。」
ニーナ「はい!」
アイリ「それで、どうしたんだ?」
ニーナ「いえ、少し憂鬱なだけです…。」
アイリ「…ふむ、確か、護衛嫌いだとか、聞いたが…。」
ニーナ「嫌い…という程ではないんです。ただ、信用出来ないのです。あの時、護衛の人が…あ、いえ、なんでもないです。」
…あの時というのは、クロリデルファミリーに誘拐された時の事を言うのだろう。
まぁ、分からなくはないが、護衛の奴が裏切り者だったという所か?
そう考えていると。
ラミ「あ、もう終わったの?」
ラミ達がこちらに来た。
アイリ「いや、リールが中で話している。」
ラミ「そっか…。まだかかりそうかな?一応制服を支給するから、1度MIOに来て欲しいんだけど…。特別ゲスト達も来てるよ。」
アイリ「??まぁ、もう来るだろう。」
リール『ごめんなさいね、お待たせして。』
タイミング良く、リールが来たようだ。
ニーナ「天使様!」
そう、ニーナが目をキラキラさせながらよっていくと。
私以外の皆が、面をくらったような表情になった。
リール『…それは私の事?』
ニーナ「はい、あの時は本当にありがとうございました。」
リール『覚えていたのね。私は天使ではないわよ?』
ニーナ「忘れた事など、ございません。貴女様は私の天使様なのです!」
リール「そ、そう、強引ね…、ま、まぁどういたしまして。」ニコッ
リールは少し戸惑いを見せたが、子供をあやす様に、微笑した。
ラミ「んんっ、もういいかな?」
ニーナ「あ、もう行かれるんですよね。」
リール『えぇ、そうね。』
ニーナ「また来てくれますか?」
リール『えぇ、当然よ、貴女の護衛だもの。アイリと一緒に全力で護るわ。』
アイリ「うむ、任せてくれ。」
ニーナ「はい!よろしくお願いします。またお会いしましょう!」
リール『えぇ。』
アイリ「うむ。」
ニーナは、明るい表情で、その場を去っていった。
ラミ「それじゃ、行こうか、MIOに、外でグラレス達が待ってるよ。」
リール『分かったわ。』
アイリ「了解した。」
そうして、グラレスと合流し、MIO本部へと、車で向かったのだった。
リールside
MIO本部へ着くと、グラレスに案内され、今回護衛を担当する者たちが集まり所へ行く前に、私達の制服があるという事で、着替えに行くことになった。
グラ「えーと、これだね、はい、女性用の制服。」
渡された物は、昔、着ていた黒のカッターと白の点コートなのだが、昔と違うのは、白のスカートという事だけだ。
リール『…本当に履かなきゃだめか?』
嫌すぎて、素が出てしまった。
グラ「何を言ってるんだい?ちゃんと履かないと女装だってバレるよ?」
ラミ「そうだよ。」
杏華「良いじゃない、もうスカート履いてるんだし。」
アイリ「観念した方が身のためだ、リール。」
こ、こいつら、絶対楽しんでやがる。
リール『はぁ…。』ヌギ
俺は観念して、制服に着替えるため服を脱ぎ始めた。
すると…。
グラ・ラミ「「っ!?」」
アイリ「凛怜!ここで脱ぐんじゃない!」
リール『え?』
杏華「そ、そうよ!隊長が見てるでしょうが!隊長もガン見しないの!変態!」
グラレスとラミは、驚きの視線をこちらに向け、慌てた様子のアイリは俺を抑え、アイリと同じく慌てて、杏華は、俺の前に壁になるように立っていた。
リール『いや、別に見られて減るもんじゃないだろ…。』
そもそも俺は男だ。流石に、下半身はダメなのは理解できるが、上半身なんて、疑似胸があるだけで、見られた所で恥ずかしいなんて感じない。
アイリ「減るんだ!」
杏華「貴女はいま、リールなの!だから、そこはちゃんとしないといけないのよ!」
お、おう、なんかすごい言われてるな…。
リール『いや、その、脱いでも疑似胸があるだけで、大体は男の身体だぞ…?』
この一言がいけなかったのかもしれない…。
アイリside
本当に何を言っているんだ!?
リールは自分の身体がどれだけ華奢なのか分かっていないと思う。
男らしい所もあるといえばあるが、そんなもの関係なしに、綺麗な所ばかりだ。
現にこのグラレスとかいう男が、ガン見しているぞ!
なんだその下着は!一葉め!こんな際どいものを…。黒って、最強かァァァァ!
ヤバい、落ち着け…落ち着け…。
ラミ「はぁ、リール、君はもうちょっと気遣いというものを覚えた方がいい。いくら女装だとはいえ、今のリールは女性の姿だ。隊長、だって、戸惑うんだよ?」
リール『…グラレス、そうなのか?』
グラ「…え?あ、いや、まぁ…ね?」
あんなにたじたじとなっている男の視点はどのように見えているのだろうか。
私でさえも、キラキラしているように見えるのだ、グラレスにはひとたまりもないだろう。
杏華「とりあえず、グラレス!あんたは出ていきなさい!」
グラ「あ、うん、そうだね。それじゃ、待っているよ。」
杏華が、大声を出し、あの男は慌てるようにして部屋を出ていった。
ラミ「ともかく、早く着替えることいいね!アイリちゃんも!」
アイリ「あ、あぁ。」
わたしにもリールと同じものを渡され、着替えることにした…もちろん別室で。
リール『これを着るのも久しぶりだわ…。』
リールは先に着替えていた事もあって、私より早く終わったようだ。
リール『アイリ、似合いすぎているわ。悪い虫が付きそうね…。』
アイリ「…そういうリールも似合っているぞ。」
やった、褒めて貰えた!うれしいのだが!うれしいのだがな!悪い虫が付きそうなのは、どちらかというとリールの方だ!
ラミ「なんだか、懐かしく感じるね。」
リール『そうね…。なんだか、胸が少し苦しいわ。』
ラミ「まぁ、多少は我慢してよ。アイリちゃんも、なかなか似合ってるじゃないか。」
アイリ「あぁ、とても動きやすいな。」
ラミ「当然だよ、私たちは、戦闘が主だからね。動きやすいようにデザインされているのさ。」
なるほど、さすがMIOだ。
それにしても、疑似胸だが、リールの胸の所が異常に強調されてないか?
これは、後で写真を…ではなく、変な輩からリールを守らないとな。
ラミ「じゃあ、案内するね。」
私は先程の決意を胸の中に秘め、顔合わせの場へと赴くのだった。
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