第28話 グローリー家との邂逅?
凛怜side
※女装凛怜の表記をリール、護衛任務中の愛凛の表記をアイリと表記します。
さて、口調は紅葉でいいか、1番わかりやすいしな。
ルー「着きました。」
リール『…愛凛、行くわよ。』
愛凛「あ、あぁ。なんだか、違和感が…。」
リール『慣れなさい。』
愛凛「…了解。」
ルー「では、どうぞ。」
リール『えぇ、ありがとう。』
俺達が車から降りると、グラレス、杏華、ラミが俺達を待っているように、立っていた。
リール『3人とも待たせて、ごめんなさいね。』
その3人に謝罪をしながら見ると、3人ともポカーンとしたような顔をしていた。
リール『…聞こえなかったのかしら?アイリはどう思う?』
無視されてる?泣いていい?つらいんだけど…。
アイリ「んー、そういうことじゃないと思うが…。」
リール『どういうことなの?』
アイリの反応は煮え切らないものだった。
アイリ「まぁ、もう1回呼んでみたらいいんじゃないか?」
これで無視されたら、どうしてやろうか…。
リール『グラレス=ドレスロース長官、天源 杏華特務隊員、ラミ=ノイド特務隊員。なぜそのように馬鹿面を晒しているのか、説明してくれないかしら?』
杏華「ハッ、ま、まさか、凛…怜…?」
ラミ「え?!凛怜なの?!」
リール『そうよ。この格好では無理はないけれど、普通、気づかないかしら?』
ラミ「いやいや、その胸はどこから?!っていうか、その声はどうやって出しているのさ!」
杏華「それにその口調は何!?」
リール『そんなの、一葉の開発したチョーカー型のボイスチェンジャーと、擬似胸よ。ちゃんと感覚もあるのよ、凄いでしょ?この口調は紅葉のを真似たわ。』
ラミ「なるほどねって、感覚もあるって、つまり、触られた時の感覚があるって事?すごい技術力だね…凛怜の所は。」
リール『あ、この姿の時はリール=フィオーリと名乗るから、リールと呼んでちょうだい。』
杏華「わ、わかったわ、リール。」
ラミ「り、了解だよ、リール。」
リール『まぁ、私も驚いているのだけれどね。』
本当に一葉は驚かされるものばかり発明する。たまに変なものを作る事はあるけど、実用性が高いものしかほぼ作らないのだ。
…さっきからグラレスの反応がない。
リール『分かった?グラレス長官?』
グラ「あ、うん、分かったよ、凛怜君。」
リール『分かってないじゃない、リール=フィオーリよ。聞いていなかったの?』
グラ「あ、あぁ、わ、分かったよ、リールさん。」
ん?なんでこうも、どもってるんだ?それにさんって。
リール『な、なによ、さん付けして、どうしたの?』
グラ「あ、いや、なんだか綺麗になったなぁと思ってね。すごく似合ってるよ?それにそれは…?」
そう言いながら、グラレスは俺の胸の部分を見る。
リール『ん?これも聞いてなかったのね。これは擬似胸よ。』
グラ「へ、へー…。」
な、なんだこの思春期の男子みたいな反応は、あ、そういう事か、ちょっとからかってみるか…。ウヒヒ
リール『そんな目で見るって事は興味あるの?グラレス?』
グラ「い、いや、そんなわけないじゃないか!」
リール『本当に…?』ダキッ
グラ「…っ!?」
杏華「な、なにやってるのよ、りらじゃなくて、リール?!」
杏華の声を無視して、明らかに動揺しているグラレスの耳元で。
リール『触ってみる?グラレス?』
と言った、正直、好奇心だ。グラレスは堅物な所があるから、まぁ俺程度に、そこまでの反応は期待できないとは思うがな。
グラ「…。」
グラレスの反応はやはり無反応だった。
ちぇ、つまらんな。
ラミ「…リール、その辺にしておいてあげて?」
リール『ん?』
アイリ「リール、今すぐ離れるべきだ。」
リール『あ、あぁ。』
杏華「リール、あなた、任務前にふざけてんじゃないわよ。」
リール『ちょっとグラレスの反応が気になっただけなんだよ。』
んー、皆の反応を見るに、何かやらかしてしまったのだろうが…?
リール『グラレス?おーい?』
グラ「ハッ、リール君、そういう事はするものじゃないよ?」
リール『ごめんごめん、気持ち悪かったな。』
グラ「いや、そういう事じゃなくてね…。」
ラミ「はぁ、本当に大丈夫なのかな?」
呆れるように、ラミはそう言う。
リール『任務は問題なく遂行するわ。その心配は杞憂というやつよ。』
杏華「そういうことじゃないと思うわ…。あなたやっぱり馬鹿ね…。」
リール『??』
何を言っているのか、全く分からん。
アイリ「はぁ、顔合わせするんだろ?待たせているのでは無いか?」
痺れを切らしたアイリが、そう言うと。
ラミ「そうだね、じゃあ会場に行くとしようか。」
杏華「えぇ、そうね。ほら、長官、鼻の下伸ばしてないで行くわよ!」
グラ「あ、あぁ、そうだね、じゃあ案内するよ。」
リール『えぇ、お願いね。』
俺達は、依頼人の待つ、グローリーファミリーの屋敷へと、足を進めたのだった…。
ラミside
本当に凛怜は、いや、リールは、困った事をしてくれる。
普段でさえ、女性と見間違える程なのに、今の格好から、もはや本来の姿がこれなのでは無いかと錯覚するほど、完璧な女性なのだ。
すらっと伸びた足に、腰はきゅっと締まり、存在感を主張するような胸。その胸は擬似胸らしいけど、そんなものを感じさせない。
正直、女である私が自信を無くしてしまう程だ。
リールは無反応だと思っているらしいが、グラレスの脳内では激しい理性との戦いが起こっていたと断言出来る。
そんな事も露知らず、呑気でいるリールに呆れる事は当然とも言える。
まぁ、仕事はちゃんとする人だから、そこの心配はしてないけどね。
そう考えていると、護衛対象のいる部屋の前に着いた。
グラ「ここだよ。皆、わかっているとは思うけど、気を引き締めておいてね。」
コンコン
??「どうぞ。」
グラ「失礼致します。」
部屋に入ると、グローリーファミリーの現ボスである、ボルムス=グローリーと奥さんのセレスティア=グローリー、そして、2人に挟まれている、護衛対象のニーナ=グローリーが立っていた。
※それぞれの表記をボル、セレス、ニーナとします。
ボル「遠路はるばるよくぞ、おいでくださいました。MIOの方々、私はボルムス=グローリー、このグローリーファミリーのボスをしております。隣にいるのが娘のニーナと妻のセレスティアです。」
グローリー夫妻は、噂の通り、とても穏やかで優しそうな印象を受けるが、その娘さんである、ニーナ嬢はなんだか、リールの方向をこれでもかという位みているが、チラッと私達の方を見ると、少しむっとしたようなっていた。
私達を見る目から、男嫌いや護衛嫌いなのは情報通りなのかもしれない。
グラ「ご丁寧にありがとうございます。私はMIO本部長官兼特務部隊隊長をしております、グラレス=ドレスロースと申します。」
ラミ「私は、MIO特務部隊所属、ラミ=ノイドと申します。」
杏華「同じく、MIO特務部隊所属、天源 杏華と言います。」
次は、リール達の番だ。
リール『ご指名の依頼を承りました、リール=フィオーリです。よろしくお願い致します。』
アイリ「リール=フィオーリのサポート役を勤めさせていただく、アイリ=フィオーリです。」
リール達の自己紹介を終えると、ニーナ嬢の表情が面白いくらい変わった。
なんというか、恋焦がれた人にようやく会えたみたいな表情と言うべきだろうか、リールと面識があるのだろうか。
グラ「それでは、今日はこの辺で失礼致します。」
ボル「そうだ、そちらのリール=フィオーリ殿には、残って頂きたいのですが、よろしいですか?」
軽い打ち合わせを済ませ、その場を後にしようとすると、ドン・グローリーが、リールを見て、そう言う。
グラ「リール君がよろしければ、構いませんが…。」
リール『…良いでしょう、私の隣にいるアイリも同席するなら…ですが。』
ボル「それでも構いませんよ。」
リール『アイリ。』
アイリ「あぁ、了解した。」
何か内緒話でもあるのかな?心無しか、リールの顔が少し懐かしそうなものを見る目をグローリー夫人に向けている気がする?
グラ「それでしたら、私達3名は部屋に出て待機しておきますので、何かあったらお知らせください、それでは。」
リール、アイリを残し、私、グラレス、杏華は一礼し、部屋から出たのだった…。
最後に見たリールの表情が印象的だった、今は任務に目を向けるべきだけど、少し気になる。
それはグラレスと杏華も同じみたい。まぁ、これは後ほど問い詰めるとしようかな…。
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