第27話 凛怜、女性になる?


愛凛side


あれから1週間。


準備は着々と進められている。

今日は護衛対象との顔合わせ…なんだが。


凛怜「やめろぉぉぉぉ!離せぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


と、この始末である。


紅葉「往生際が悪いわよ、凛怜?」

一葉「そうだよ、凛怜、任務なんだから。あ、このチョーカー型ボイスチェンジャーも渡しておくね。」

美桜「そうよ、凛怜、これは任務の為に仕方なくやる事なの。」

凛「そうだよ、凛怜にぃ!ちゃんと着ないと、だめだよ!」

怜「…兄さん、駄々っ子。」


凛怜「うるせぇぇぇぇぇぇぇ!お前らそんな理由は二の次だろ!一葉、自然と渡してんじゃねぇぇぇぇ!」


瑠衣「今日は顔合わせするんでしょ?ほら、早く着ないと。」

愛凛「兄さん、1度決めた事なんだ、ちゃんとやらないとダメだぞ。」

凛怜「くっ、、わぁった!わぁったよ!着れば良いんだろ!着れば!」


ぐふふふ、凛怜の女装姿、私はもう見たが、あれはかなり…ぐふふふふ。


おっと、暴走してはいけないな。

冷静に、冷静になれ、私は常に冷静だ。


スーハースーハー、よし!


※以降ボイスチェンジャーの声の時の凛怜は『』を使います。


凛怜『なぁ、これ…下の方がなんかスースーするんだが…。』


聞き覚えのない女性の声がした瞬間、私達は、その声がする方向へ目を向けた。

そこには…。


凛怜『な、なんか言えよ…。』

幹部s「…。」ポカーン


なんていうか、いけないものを見ているようなそんな気がするくらい、綺麗な女性がそこにいた。


女性用のスーツに身を包み、髪が白銀ということもあって、ほのかに紅く染った頬がさらに色気を演出している、元の肌の白さに、そこまで濃くないナチュラルメイク、中性的な顔も相まって、完全に大人の女性だ。


しかし、私達が黙っていたのはそれが理由じゃない、私を含めた、皆の視線はある一部分に集中している。

それは…。


凛怜『なぁ、この胸すげえ重いんだけど…?』


そう、凛怜の胸部にはとても立派な2つの山が出来上がっていたのだ。


紅葉「その、凛怜?その胸は何?」

凛怜『ん?あー、これはな一葉が発明した、擬似胸だ。』

瑠衣「擬似胸?」ジトー


とても、瑠衣の視線が怖いのは気のせいなのだろうか…。


一葉「それは私が説明するよ。これは、好きな大きさに設定出来るものでね、凛怜はこういうものが苦手だってわかってるから、今回は私が設定したよ。水耐性もあって、肌に直接くっついて、肌色にも合わせているから、脱いだ所を見られたとしても違和感なんて全く感じさせないんだよ!そしてこれの1番のポイントは、特殊な電磁波によって、付けている者の感覚とリンクする事、つまり!」モミモミ


凛怜『ひゃっ?!』

一葉「こういう事だ!」


なんと、一葉は凛怜の擬似胸を触り、凛怜の口から女の子のような声が出る。

ヤバい…鼻血が出そう…。

と、というかさすが一葉だ、こんな凄いものを発明してしまうなんて、やはり天才だ。


美桜「なるほどね。」ニヤニヤ


美桜がニヤニヤと何か企んでる顔で凛怜を見ている。

怜「兄さん、揉まれるといいの?」モミモミ


凛怜『ちょ、怜、やめ…んっ。』

怜「兄さん、可愛い…。」

凛「怜だけ、ずるい!」

凛怜『いや、ずるいとかじゃ…ひゃっ!?』

美桜「私もいるわよ。」モミモミ

凛怜『美桜まで?!なんで?!』

瑠衣「僕も触っていいのかな?」

紅葉「私も触ってみたいわ。」


わ、私も触りたい…だが、暴走してしまいそうになる。くっ、なんで私はこうなんだぁぁぁぁぁあぁ!


私は膝を着いた…。


凛怜『あ、愛凛?どうしたんだ?』


心配そうな目で見てくる女g、凛怜はとても神々しく、私はつい。


愛凛「お姉様…。」ダキッ

と、言いながら抱きつく。

凛怜『あ、愛凛?!』

一葉「あちゃー、これは出ちゃったね…。」

紅葉「こら!愛凛!」

瑠衣「愛凛、そんな事したら、凛怜が困っちゃうよ?」


そうなのだろうか…。もしかして迷惑…?


凛怜『…迷惑じゃないから、そんな顔するんじゃない愛凛。』ナデナデ

そう言って、私の頭を撫でてくれる凛怜に安心した気持ちになる。


紅葉『そういえば、なんでこの胸のサイズなの?戦闘の邪魔だと思うのだけれど…。』


一葉「それは、私と同じサイズにしたからだよ?」

凛怜『え、そうなのか?』

一葉「うん、私とお揃いだよ。嬉しいでしょ?」

凛怜『いや、どう答えればいいんだよ…。』


確かに一葉と凛怜の胸の大きさを見比べると同じに見える。


凛怜『…こんな形で妹の成長を知るというのはなかなか複雑だな…。』

一葉「まあまあ、ちゃんと私が渡した下着も着けた?」

凛怜『あぁ、部下に付けてもらったぞ、ピッタリだった。』

一葉「当然だよ、あれは私の下着だからね。」


一葉を除く全員「は?」

一葉「聞こえなかった?私の下着を渡したんだよ?」

凛怜『いや、え?いいのか?それ…。』

一葉「何が悪いんだい?」

紅葉「全部悪いわよ!凛怜!今すぐ脱ぎなさい!」

瑠衣「そうだよ!変態さんになってしまうよ!」

凛怜『いやいや、ここでは脱がないわ!』

一葉「もう合う下着も無いんだよ?買ってないでしょ?」

凛怜『まぁ、ないな。』

一葉「ならいいじゃん。外面だけなら、凛怜は完全に女性だよ?」

凛怜『言い方がなんかあれだが、まぁしょうがないと思って目をつぶってくれ。』


まぁそう言われたら、こちら側は何も言えなくなる。

コンコン

「ボス、入ります。」

部下が、入ってくる。


凛怜『どうした?』

「…え?ボス…ですか?」

戸惑い半分、見惚れ半分な顔をしている。


凛怜『あぁ、俺だが?』

「え、いや、ボス?それは一体…?」

凛怜『ん?あー、言ってなかったな。任務で女装することになってな。どうだ?女性に見えるか?』

「え?あ、はい、とてもお綺麗ですよ。」

凛怜『そうか、なら良かった。それで、なんだ?』

「あ、はい、お迎えが来ております。」

凛怜『もう時間か、分かった、すぐ行くと伝えてくれ。』

「り、了解です、ボス。」


凛怜『愛凛、行くぞ。』

愛凛「ふへへ、ハッ、り、了解した。」


凛怜『皆も留守を頼むぞ。』

愛凛を除く幹部s「…了解。」




凛怜side



はぁ、女性って凄いんだな、胸は重いし、スカートがスースーするし、こんなに苦労するのか。


凛怜『出迎え、ご苦労様。』

??「い、いえ、勿体なきお言葉です。」

凛怜『そんな事ないさ、久しぶりだな、ルーファス。』


※以後ルーと表記。


ルー「は、はい、ご無沙汰しております、凛怜殿。」


こいつはルーファス=エルシム、俺と紅葉がMIOに協力していた時からの仲だ。

若くして、特務隊に入っている人の1人であり、昔は無邪気だったのだが、今は好青年と言った感じになっているようだ。

ルー「では、車にお乗り下さい。」

凛怜『あぁ。』


俺はルーファスに促されて、愛凛と共に車に乗る。



ルー「それでは、出発致します。」

凛怜『あぁ、頼む。』


発進して、数分が経つと。


ルー「そういえば、そちらの方は初めてお会いしますね。」

愛凛「そうだな、私はクローバファミリーの1人で

アイリ=フィオーリだ。」

この名前は、任務の時に使われる偽名だ。


ルー「私は特務部隊所属、ルーファス=エルシムです。よろしくお願い致します。」

愛凛「あぁ、よろしく頼む。」

凛怜『おいおい、やめろよ、そんな畏まった感じにすんじゃねえよ。』

ルー「いえ、一応今は、上司ですし。」

凛怜『お前、そんなこと気にする性格だったか?』

ルー「それを言うならあなたですよ、随分変わられましたね。」

凛怜『そうか?』

ルー「えぇ、昔の貴方なら、そのように話してはいなかったです。」

愛凛「…それは、どういう意味だ?」

ルー「そのままの意味です。昔の凛怜殿は無表情で、その瞳に何も写していないようなお人でした。その力は絶対的であり、【銀髪の冷血姫】という2つ名で畏怖されていた。いや、今も畏怖をされている。そんな存在です。」


まぁ自覚はある、あの頃は紅葉以外、割とどうでもよかったしなぁ。



愛凛「貴殿が、どう思っているかは知らないが、凛怜は変わってはいないぞ。」

ルー「それは、理解出来ません。どこが変わっていないのですか?」

愛凛「優しさだ。凛怜の優しさは、昔から何も変わってはいない。」


思わず笑みを浮かべそうになってしまう。

ありがとうと、心の中で愛凛に言う。


ルー「…そうですか。」

どこか釈然としない様子でそう言うルーファスだったが、俺は話を変える為、ルーファスに話しかける。


凛怜『俺は、今日何をすればいい?』

ルー「そうですね、本日は護衛対象と我々特務部隊との顔合わせです。」

凛怜『そうか、分かった。この車を降りたら、口調を変える。任務の為だ、理解しておいてくれ。後、俺の女性としての名前は、リール=フィオーリだ、呼び方は任せる。』

ルー「承知致しました。」

凛怜『愛凛も、クローバファミリーとしてでは無く、1人の護衛人として振る舞うようにな。それと間違っても凛怜と呼ぶなよ?』

愛凛「了解した。」


まぁ、何かあったらグラレスに丸投げするか…。

そんな事を思いつつ、俺は顔合わせの場所へ向かうのだった…。

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