第19話 元仲間が来た?



瑠衣side


凛怜「あー、書類書類書類書類、なんでこんなにも書類あるんだよ!」

一葉「しょうがないよ、何日もここを空けてたからね。」グデー

凛怜「んあー、だるいな…。」

瑠衣「…。」


凛怜が帰って来て3日、仕事を再開した。

凛怜専用の書類は当然、机いっぱいに何個も山を作るほど溜まっている。

いつもは紅葉姉さんも手伝ってくれるはずなんだけど、今は愛凛と一緒に戦闘訓練をしている。

ちなみに、凛と怜は町に買い物へ出かけているらしい。



美桜「ずっと、捕まってたんだもの、しょうがないわよ。」グデー

凛怜「あの二人とも、手伝ってくれたりは…?」

美桜・一葉「「無理でーす。」」

凛怜「だよなぁ、はぁ…。」

瑠衣「…。」


凛怜「にしてもデカめのソファ買って正解だったな。」

美桜「そうね。」グデー

一葉「そうだね。」グデー


凛怜「な?瑠衣もそう思わないか?」


瑠衣「…そうだね、それでさ、少し聞きたいんだけど、いいかな、凛怜?」

凛怜「ん?なんだ?」


瑠衣「な…んで。」

凛怜「ん?」

瑠衣「なんで、美桜と一葉を膝枕してるんだい?」


そうさっきから僕が喋らなかった理由はこの状況に対してだ。

大きなソファに座って仕事をする、ここまではいいんだけど、問題は、なんで凛怜の膝の上に2人がいるのかだ。

最初はそりゃツッコみたかったよ?なんでかな?って、でも、凄く自然にこの状況が完成されたから、言うに言えなかったよ。


凛怜「え?あ、まぁ利子を返してるだけ?」

瑠衣「利子?」

一葉「んー、まぁ色々あったんだよね?」

美桜「色々あったみたいよ。」

凛怜「てか、美桜、あれ聞いてたのか?」

美桜「まぁね、あんな熱烈な告白みたいなセリフ、私にも言って欲しいわ。」

凛怜「なっ!?」

瑠衣「え?!こ、こ、こ、こ、告白?!どういうことなの?!凛怜!」

凛怜「いやあの、なんと言いますか、えーと。」

美桜「ふふふ、私はいつでもいいわよ?」

そう言いながら美桜が、横から凛怜に抱きつく。

凛怜「ちょ、美桜?この状態は仕事が出来ないんだが…。」

美桜「あら、ごめんなさい。」チラッ


チラリと僕を見てくる美桜の表情は得意気だ。

僕だって膝枕してほしいのに…。

瑠衣「…むぅ。」ピコッ

美桜、一葉と凛怜に何があったんだろうか、非常に面白くない。


凛怜「…瑠衣?耳出てるぞ?」

瑠衣「あう…。」ピコッ

凛怜「…美桜。」

美桜「んー?あー、はいはい。この埋め合わせはきちんとしてもらうからね?」

凛怜「はいよ。」


ん?美桜が凛怜から離れた?


凛怜「瑠衣、おいで。」ポンポン

瑠衣「…。」トコトコ

凛怜「ん。」

瑠衣(膝の上に頭を乗せる。)

凛怜「」ナデナデ

ふへへ、やっぱり凛怜に頭を撫でられるのはいいなぁ…。

安心する…。


一葉「むぅ、凛怜、こちらが疎かになってるよ。」

凛怜「はいはい。こりゃ休憩だなぁ。」苦笑


凛怜には申し訳ないけど、もう少しだけこのままでいたいな…。

久しぶりの凛怜なんだし、これくらいのわがままは許してくれるよね…?




紅葉side


愛凛「はぁぁぁぁぁぁ!」

紅葉「そこ!」


ガキッバキッ


薙刀と刀がぶつかり合う音と火花が散る音、そして私と愛凛の叫び声が響き渡る。


愛凛「相変わらず、隙がないな、姉さん!」

紅葉「あなたこそ、腕を上げたんじゃない?」

愛凛「そう言ってくれるとは嬉しい…な!」


愛凛はそう言いながら、身体を大きく沈ませ、足のバネを使い、一気に距離を詰めて、横へ薙ぎ払うように刀を振るう、私はそれをギリギリでガードし、薙刀で反撃する。

愛凛はそれを避け、距離を取りながらも隙を作らないように立ち回る。


愛凛「まだまだいくぞ、姉さん。」チャキッ

紅葉「えぇ、来なさい!」ジャキッ


愛凛「たぁぁぁぁぁぁあ!」ブォン

紅葉「くっ、いい一撃ね。でも!」カキンッ


私は身体を回転させ、その力を利用し、愛凛に攻撃を仕掛ける。

愛凛「くっ、まだまだ!」

それをガードし、刀を上段から下段へ振り下ろす。

紅葉「やるわね、でも!」

それを避け、薙刀で刀を抑える。


愛凛「なっ!?」

それに動揺している所に、薙刀を首元へ突き付けた。


紅葉「チェックメイトよ。」


愛凛「…負けたな。」

紅葉「今回は少しヒヤッとしたわね。」


愛凛「そう言ってもらえて良かったよ。」

紅葉「今回は、能力を一切使わなかったけど、次はありでやってみるのもいいかもしれないわね?」

愛凛「いや、それはやめておいた方がいいだろう。」

紅葉「あら、それはまたなんで?」

愛凛「昔なら良かったが、今なら間違いなく、ここが更地になる。」

紅葉「あ、それもそうね。」


そうなったら、凛怜が確実に怒ってしまうからね…。

凛怜って怒ると怖いのよ…。


特訓も一区切りつき、シャワーを浴び終わって、愛凛と凛怜の執務室へ移動していると。


??「だから!ここのボスに会わせろって言ってんの!」

「アポを取っていない方には会わせられません。お引き取り下さい。」

??「古くからの知り合いだって、言ってるでしょうが!」

??「まあまあ落ち着いて…ね?」


なんだか、出入口の方が騒がしい。

愛凛と顔を見合せ、とりあえず、出入口の方へ向かうことにした。

気配を探ると、相当な実力者だとわかるけど、なんだか、この感じ懐かしい気も…。

愛凛「姉さん…?」

紅葉「あ、いいえ、なんでもないわ。」


近づくにつれて、その姿が段々と鮮明に見えてくる、誰なのかわかった時には、私の思考は停止していた。


愛凛「なんだ!騒々しいぞ!」

「あ、紅葉様!愛凛様!」

愛凛「どうしたというのだ?」

「それがこちらの方々が…。」

愛凛「…誰なのか、説明していただいても?」

??「私たちは、そちらのボスさんと古い仲だって言ってるでしょ?!」

そういった所で、私の思考が動き出し。

紅葉「あ、あなた達は…。」


??「あら?紅葉じゃないの!久しぶり!」

??「紅葉ちゃん、お久ー。」


紅葉「久しぶりね、杏華きょうか、ラミ。」


紫髪ツインテールのキリッとした、少しきつい印象の美少女が杏華、おっとりとした雰囲気に昔から変わらずのおかっぱ頭の美少女がラミ。


愛凛「知り合いか?姉さん。」

紅葉「えぇ、ちょっとね?どちらかというと、凛怜なんだけど…。」

杏華「それで、誤解は解けたのかしら?もう入っていいわよね?」

「…どういたしましょう??」

紅葉「いいわ、入れてあげて。あなたも持ち場に戻っていいわよ。」

「はい、分かりました、ご友人様、ごゆっくりお寛ぎ下さい。それでは失礼致します。」ペコッ



ラミ「凛怜の所は、礼儀正しい子が多いようだね。」

紅葉「当然よ、私がいるんですもの。」

杏華「ほーん、それで…。」チラッ

杏華は愛凛の方を見て、様子を伺っているようだ。


愛凛「失礼した、私は黒葉 愛凛。クローバファミリー第2部隊隊長をしている。」

ラミ「へー、君が愛凛ちゃんか、確かに強いね、私はラミ=ノイドだよ。よろしくー。」

杏華「…天源 杏華てんげん きょうかよ、よろしく。」

ラミのマイペースさと杏華の無愛想さは変わってないわね…。

愛凛「よろしく頼む。私の事は愛凛で、かまわない。」

ラミ「私の事はラミでいいよ。」

杏華「杏華でいいわ。」


紅葉「それで、何の用なの?ここまでわざわざ来て。」

そう聞くと、ラミが質問に答える。


ラミ「それは、凛怜に会った時にでも伝えるよ。とりあえず、凛怜の所まで案内してくれないかな?」

紅葉「はぁ、分かったわ。わかってると思うけど、変なことしたら、あなた達でも容赦はしないわよ?」

杏華「分かってるわよ。」


なんだか、嫌な予感がするわ…。

そう思いながら、凛怜の元へ2人を案内するのだった…。

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