第11話 作戦会議
瑠衣side
5日目の夜、僕達は次の日に向けて、最終確認という名目で会議を美桜を除いた幹部全員を集めた。
会議室に全員集まった事を確認すると、早速始める。
瑠衣「今から、我らがボス、黒葉 凛怜救出作戦の会議を行います。まず、今日得た情報を順番に教えてもらいたいから、1番隊から順番にお願いできるかな。」
そう言いながら、紅葉姉さんに視線を向ける。
紅葉姉さんは、少し頷いた後、立ち上がり。
紅葉「レギンスさんからそこの支部長官と接触する事が出来たわ。
予想通り、長官の耳には入っていなくて、副長官の独断だってことの裏が取れたわ。」
瑠衣「了解、ありがとう姉さん。」
愛凛「次は私だな。リードベルグ嬢に話を聞きに行き、証言も取れた。ちゃんとボイスレコーダーで録音済みだから、後で瑠衣姉さんに渡す事にする。」
瑠衣「分かったよ。」
凛「次は私達だね、私と怜は特殊監査官に話を聞いて、調べたけど、黒ローブの女が出入りしていたっていう証言があったよ。」
紅葉「…それは本当なの?」
怜「…間違いない。」
凛「凛怜にぃと話をしてたらしいんだけど、詳細は不明だって。」
紅葉「サラ…ね、なぜそこにいるのかしら…。」
瑠衣「…次で最後かな。」
一葉「私だね。副長官の汚職の事、調べたんだけど、笑っちゃうくらい出てきたよ。横領、不当逮捕、暗殺、書類偽装、それらの揉み消しetc…。」
愛凛「絵に描いたようなクズだな。」
一葉「あ、それと、匿名で送られてきたものもあるんだけど、これに心当たりある人いるかな?」
束になった書類をひらひらとさせながら、そう言う一葉に紅葉姉さんが反応する。
紅葉「…それ見せてもらえる?」
一葉「ん、はい。」
姉さんが書類を見ると、なるほどと言ったような表情をしながら。
紅葉「これは…あの子ね。」
一葉「あの子?それは誰のことだい?」
紅葉「詳細は言えないけど、とても信頼出来る子よ。」
一葉「…それは本当かい?」
紅葉「えぇ、凛怜が買った人だから。」
一葉「…なるほどね、見ただけで分かる、私より情報の質が高いよこれ。」
少し悔しそうにむくれてはいるが、一葉は情報のエキスパート、その一葉より質が高いとなると、相当な腕前なのだろう。
瑠衣「それは後で確認させてもらうね。」
一葉「ん、分かったよ。」
とりあえず、確認は終えたかな。
瑠衣「報告が終わった所で、当日の流れを説明するね。交渉は僕がするけど、その護衛として、紅葉姉さん、愛凛ついてきて欲しい。」
紅葉「了解よ。」
愛凛「了解した。」
瑠衣「凛はいつでも動けるようにしておいて、怜は能力で周りを警戒をしていて欲しいかな、何か異常があったら、すぐにインカムで知らせて。」
凛「分かった。」
怜「…了解。」
瑠衣「一葉は、車の中で待機、サポートに回ってね。」
一葉「分かったよ。まぁ、私の出番は無さそうだけど、インカムの情報は全て私に来るようにはしておくから、何かあったらサポートするよ。」
瑠衣「うん、よろしくね。」
一葉「幹部全員が出張るって事は、ここが手薄になるけど、私が作った迎撃兵器があるから、守りに関しても安心していいよ。」
瑠衣「了解、色々ありがとう。」
一葉「お安い御用だよ、皆で蝙蝠さんを迎えに行きたいしね。」
瑠衣「ふふ、そうだね。」
一葉の兵器は1部隊なら対抗出来るものばかりだから、安心出来る。
これで懸念材料である、守りはクリアしたね。
紅葉「部隊は動かさないの?」
瑠衣「今回は僕達だけで行くよ。僕達は戦いに行くわけじゃないし、もし何かあっても、僕達ならMIOを何とかできるからね。異論はあるかい?」
紅葉「私は特にないわ、油断はしちゃダメよ?」
瑠衣「分かってるさ、僕達の目的は凛怜を連れ戻すこと、決して戦いに行く訳じゃないんだ。それは、皆、頭に入れておいてね。」
皆、頷いたあとさらに僕は続けた。
瑠衣「こちらが来ることは向こうもわかっているから、罠を張っている可能性が大いにある、油断しないように。」
全員「了解!」
絶対に失敗は許されない、最後まで油断はしない、凛怜、もうすぐの辛抱だから、待っててね。
美桜side
夜も更けていき、瑠衣姉さんから、電話で明日直接MIOに出向く事が伝えられた。
当然、私も同席はするが、私の立場はギリギリまでMIO監査官として、参加する。
ただ、いるだけじゃない、ちゃんととびきりの爆弾を用意している。
徹底的に追い込んで、言い逃れも馬鹿な言い訳も出来ないようにしてあげる。
私達を怒らせる事がどんなことか、その身にこれでもかというくらい刻み込んで、地獄へ叩き落としてあげるわ!
凛怜「美桜、眉間にシワが寄ってるぞ。」ツンツン
美桜「…レディーの眉間を不用意に触るものじゃないわよ?」
凛怜「それはすまんな、だが、怖い顔をしてたから少し気になってな。」
美桜「そんな顔してたかしら…?」
凛怜「あぁ、なんというか、人を1人殺しそうな顔してた。」
美桜「…このまま締めあげようかしら?」
凛怜「か、勘弁してくれ、悪かったよ。」
私ってそんなにも表情に出やすいのかしら?そうでも無いと思うのだけれど…。
凛怜「な、なぁ、美桜?」
美桜「何かしら?」
なんで、そんなに言い淀んでいるのかしら?
凛怜「あの、なんでこうなってんの?」
美桜「こうなってるって何が?」
凛怜「いやだから、なんで俺と一緒に寝るって事になってんだ?」
美桜「私がお願いしたからよ?何を言ってるの?」
今更何を言ってるのかしらね、この人は…。
凛怜「え?俺がおかしいの?」
美桜「そうね、あなたがおかしいのよ。」
凛怜「お、おう。他の人が来ちまったらどうすんだよ…?」
美桜「そこは抜かりないわ。」
他の人が来れないように根回しは完璧にしたし、誰か来る予定もない。
しかもここは独房だ、ほかの囚人もいない上に、見回る看守もいない。
美桜「大丈夫よ、他の看守が来る前にはいなくなるから。」
凛怜「そ、そうか、まぁいいならいいか。」
美桜「…嫌かしら?」
これで拒否されたらと少し不安になる。
凛怜「いや、俺は嬉しいぞ、美桜と寝るのは久しぶりだからなぁ。」
よかったと、心の中で安堵する。
美桜「…そうかしら?」
凛怜「あぁ、昔は一緒に寝たがってたのに、ここ最近は特になかったし、やっぱり大人になったんだなぁってな。」
美桜「そ、そうだったかしら?」
凛怜「これでも、寂しいなって思ってるんだぞ?」
なるほど、いいことを聞いた。
美桜「…なら。」
凛怜「ん?」
美桜「私達の家に帰っても、一緒に寝てあげるわ。」
凛怜「…少し気が早過ぎないか?」
美桜「なによ、私たちが失敗するとでも?」
凛怜「しないだろうな。」
美桜「だろうじゃないわ、しないのよ。」
凛怜「あはは、そうか。」
美桜「約束よ?」
凛怜「あぁ、約束だ。」
美桜「2人きりだからね?」
凛怜「お、おう?圧が凄いが、わかったぞ。」
美桜「今更なしとかだめだからね?」
凛怜「約束は守るぞ、っていうか、美桜さんや、なんか近くないかい?」
美桜「いいじゃない、このベッド狭いから、こうなるのよ。」
凛怜「…ならもっとこっちにおいで。」
美桜「なっ…え?」
す、すこしアプローチのつもりで寄ってみたのに、凛怜から寄せてくれるなんて、心臓張り裂けそうになるわ…。
凛怜「こ、これで少し余裕ができたんじゃないか?」
美桜「そ、そうね。」
顔が熱い、凛怜は…顔が赤くなってる。
これは意識してくれてるって事なのかしら?
う、嬉しいわ!だめよ、抑えなきゃ!
落ち着け、私!落ち着くのよ!
凛怜「お、おやすみ。」
美桜「え、えぇ…おやすみなさい。」
…寝れるかしら?あーもう本当こういうとこだわ!
でも、この温かさは昔を思い出すわ、そう思うと、瞼が重くなってきた…わ。
その後、私は温かさに身を任せ、瞼を閉じ、夢の中へと沈んで行くのだった…。
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