第4章 黒葉と闇への一歩

第1話 最後の家族


凛怜side



学園から戻ってきて、一息ついていた俺だったんだが。


??「ドン・クローバの護送、完了致しました。」

??「うむ、ご苦労。」

凛怜「…。」

俺は今、MIOの本部に来ていた。

俺は罪人として、裁かれるようだ。


なんでこうなったのかというと…。


12時間前


凛怜「あー、書類が終わらねえ!」

瑠衣「もう、ダメだよ。ちゃんとやらないと、ほらこの書類にも目を通してね。」


凛「凛怜にぃぃぃぃ!」バゴーン


凛怜「あ、扉が…。」

扉「」チーン

瑠衣「凛?」

凛「あ、しまった…。」

怜「凛…どんまい。」


瑠衣「凛、正座!!」


10分後


凛「うぅ、ごめんなさい…。」

凛怜「ま、まぁもうそのくらいにしておいてくれ。な?」

瑠衣「ほんと、甘いんだから…。」

凛怜「それで、凛?慌ててどうしたんだ?」

凛「あ、そうだった!あのね、MIOの人達が来てるの!」

瑠衣「え?今誰が対応してるの?」

怜「応接室で紅葉姉さんと愛凛姉さんが対応してる。」

凛怜「分かった、すぐ行く。」


俺は急いで、応接室へと向かう。


応接室


紅葉「おかしいわ!」

愛凛「あぁ!それは横暴というやつではないか!?」

セグ「いいえ、これは正式な手順で行われています。」

愛凛「それにしてもだ!凛怜は被害者のはずだろう?!」


ん?なんだか言い合いしてる?


凛怜「待たせてしまい申し訳ない…。ん?セグレットじゃねえか。何かあったのか?」

セグ「…はぁ、あなたは相変わらずですね。」

凛怜「これが俺だ。それで?お茶をしに来た…ってわけじゃねえんだろ?ご丁寧に部下を2人連れてくるなんざ、穏やかじゃねえな?」

セグ「えぇ、もちろんティータイムまでは時間がありますしね。」

愛凛「凛怜からも言ってやってくれ!凛怜は被害者だったのだろう?!」

凛怜「…なるほどな。」

セグ「その察しの良さ、能力が故のものなのか、それとも元々持っているものなのか…。」

紅葉「話してる場合じゃないわよ?!」

愛凛「そうだぞ!真面目にやらないか!」

凛怜「2人とも落ち着け。」

愛凛「なんでそこまで落ち着いているんだ?!」



セグ「まぁいいです。ドン・クローバ、フリーエリアにて、他ファミリーに手を出した容疑がかかってます。来ていただけますね?」

凛怜「…拒否権はねえんだろ?早く行くぞ。」

セグ「ご理解が早くて助かります。」

紅葉「ちょ、凛怜!?」

愛凛「凛怜、なんで…?」


紅葉「その罪なら連れていかれるのは私のはずでしょ!?なんで凛怜が連れていかれるのよ!」


凛怜「それを指示したのは俺だ。ほら行くんだろ?早く連れてけよ。」

セグ「気が済んだのなら、それでいいです。連れて行け。」

「「はっ、承知しました。」」


紅葉「凛怜…。」

愛凛「…。」


凛怜「紅葉、愛凛、あいつらの事、頼んだ。」ニカッ


回想終了



という訳で、今連れられているんだが。

俺もどうなるかは分からないけど、悪い事にはならないと俺の勘が告げている。

だからこんなに落ち着いているのかなと我ながら思っている。


セグ「ここです、入ってください。」


そう言って案内されたのは、取り調べ室だ。


セグ「では、座ってください。今から担当者が参りますので、それまでお待ちください。」

凛怜「…ヤケに警戒度高いな。俺はそこまで危険人物じゃねえぞ?」

セグ「世界一と言われているファミリーのボスが何を言ってるんです?こちらとしては当然の措置です。」

凛怜「そんな大層なものじゃねえんだがな。」苦笑

セグ「はぁ、まったく、あなたの適当さにはほとほと呆れます。」

凛怜「ねえ、なんでディスられんの?泣くぞこら。」

セグ「褒めてるんですよ、私は真似したくありませんが。」

凛怜「あ、それで嘘だって分かったぞ!嘘つくような子に育てた覚えはないぞ!」

セグ「あなたに育てられた覚えはありませんよ。あなたに育てられるより虫に育てられた方がマシです。」

凛怜「あー!言ったな!言っちゃったな!泣いてやるぞ!いい大人が号泣してやるぞ!」

セグ「はぁ、ほんとこんな人が本当に1ファミリーのボスだなんて信じられませんよ。」

凛怜「それは今更だぞ、諦めろ。」

セグ「自分で言うことですかそれ…。まぁいいです。」

呆れ気味のセグレットは外に出ようと、扉のノブに手をかけるが、振り返り。


セグ「一つだけ聞かせてください。」

凛怜「なんだ?」

セグ「なぜ、素直に従ってここに来たんですか?貴方ほどの力があるなら、簡単に逃げる事も可能だったはずです。」

凛怜「それを知ってどうするんだ?」

セグ「なにも、ただの興味です。」

凛怜「…仕事から抜け出したかったから…だ。書類ばかりで飽き飽きしてたからな。」

セグ「あなたは!っ!?…いえ、そうですか、あなたらしい理由です。それでは。」

凛怜「あぁ。」


セグレットの奴、なんやかんや良い奴だよなぁ…。

はぁ、もうなるようになれだな…。




セグレットside


凛怜さんを取り調べ室へ連れていき、部屋を出たあと、私は拳を握りしめていた。

私自身、この決定は反対だ。

MIOは公平でなければならない。しかし、今回の件は、公平とは言い難い。


凛怜が連行される前日


副長官「ドン・クローバを連行してこい。」

セグ「は?いまなんと?」

副長官「聞こえなかったのか?ドン・クローバを連行してこいと言ったんだ。」

セグ「なぜですか、彼は被害者ですよ?!どんな罪だと言うのです?!」

副長官「書類に記載されていることが全てだ。」

セグ「こんな事が通るとでもお思いですか?!」

副長官「黙れ、副長官のワシの命令だ。貴様は黙って連れてくればいい、命令が聞けないのなら他の者にやらせるだけだ。」

セグ「くっ…承知…致しました。」

副長官「うむ、下がっていいぞ。」


副長官に言われてから、事件を見直した、やはりどこにも彼が悪い点が見当たらない。

こんな事あっていいのか…。


凛怜「…仕事から抜け出したかったから…だ。書類ばかりで飽き飽きしてたからな。」


あなたがこう言った時の顔は、そんな馬鹿馬鹿しい理由を語る顔ではなかった。

なぜ、あなたという人間は自分を犠牲にするんですか。

私はあなたが嫌いです。

でも、完全には嫌いになれないから困ってしまうんですよ?

本当に、あなたにあんな顔をさせないように、私は私が出来る事をします。

なのでどうか、待っていてください…凛怜さん。




凛怜side


俺が取り調べ室に来て、数十分、扉が開いた。


女性のMIO職員が入ってきた。


??「失礼するね、お待たせ、凛怜。」

凛怜「そんな待ってませんよ、担当さん。」

??「そう他人行儀にならないで、私たちしかいないから…ね?」

凛怜「…はぁ、それでもダメじゃないのか?美桜みお?」

美桜「いいんじゃない?2人っきりだもん。」


入ってきたのは、クローバファミリーの一員で俺の妹の黒葉 美桜くろば みおだった…。











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