第18話 過去と誘拐


凛怜side


あれから一月が経過し、俺と紅葉は順調な講師ライフを送っていた。

特殊クラスの生徒達はよく俺に話しかけてくれているし、エリスからの提案で他クラスでの講義を担当したことをきっかけに他クラスとの交流も増えた。


そして紅葉にファンクラブが出来た。紅葉も紅葉で慕われている。

あの美貌の持ち主だし、面倒見もいい、教え方も上手いという完璧要素しかなく、校内での女子生徒から、学園で1番人気があると言っても過言ではない。

さすが俺の妹だと、鼻を高くしている。



ファンクラブの生徒達に是非入って欲しいと言われ、俺も入っている。

なんと、紅葉ファンクラブの顧問をしているのだ、これ紅葉には内緒だが…。


ちゃんとした掟もある。例としては、写真などの流出に関しては校内のもの限定で、卑猥な写真は無しなど、清く正しくを心情に活動している。(マフィアなのにというツッコミはなしだ。)


ちなみに特殊クラスの面々も入っている。

というか、創立した人が特殊クラスの生徒達だ。

こんなに行動力があったのかと、驚いたが、それを通じて、普通クラスとの交流を深くしていることにも驚かされる。

特殊クラスの生徒と普通クラスの生徒が皆仲良くするのは学園設立以来、全く無かったこともあり、エリスも驚いている。

まぁ、よく思わない連中もいるが、そんな事は些細な事で、お互いの偏見を無くしつつあることを、俺としては本当に嬉しく思う。


モブ女子生徒A「紅葉先生!ここ教えてください!」

モブ女子生徒B「私も私も!」

紅葉「ふふ、わかったから、そこまで慌てないの。」ニコッ

女子生徒達\キャー/


ほら、また聞こえた、ずっとこんな調子だ。

笑顔ひとつで落としてしまうのは我が妹ながら末恐ろしいものがある。

え?俺にファンクラブはないのかって?ある訳ないだろ…。

自分で言ってて辛くなるから、この話はやめておこう…ハァ

俺がため息を吐いていると。


セーラ「凛怜先生…。」

凛怜「ん?どうした?セーラ。」

セーラが、深刻な顔で俺に話しかけてきた。


セーラ「ちょっと話があって…。」

凛怜「…分かった、準備室に来な。」


俺は準備室にセーラを通した後、座らせ、お茶を出しながら言った。

凛怜「それで、どうしたんだ?」

セーラ「実は…」


話を要約すると、セーラが監禁されていた場所に何回か来た男がいて、その男はグリドール=アンセットにどこか似ているということ。それで、あの時のトラウマの記憶が思い出されて、怯えていたということだった。

セーラを助け出したのが数年前だった事もあり、セーラも似てるだけかもしれないと言ってはいるが、それはそれで引っかかる部分がある、それに俺の勘が似てるだけではないと言っている。


やはり、ほぼ黒と見て間違いは無いだろう。

話を聞いてると、俺の携帯に着信が入る。

凛怜「おっと、少しすまない、席を外す。」

セーラ「…はい。」

俺はそう言い、一旦準備室から退室し、通話に出る。


凛怜「俺だ。」

一葉『やぁ、私だよ。』

凛怜「調査が終わったのか?」

一葉『うん、そんなところ。今資料をデータとして送るから、確認しておいて。』

凛怜「分かった、確認するから待っててくれ。」


一葉から送られてきた、データを確認すると、驚くべきことが分かった。


凛怜「一葉、お手柄だ。」

一葉『ふふ、私は調べてって言われたことを調べただけに過ぎないよ。』

凛怜「いや、期待以上の成果だ、ありがとうな。」

一葉『悪い気はしないね、どういたしまして。あ、それと、ワルムン研究所についてなんだけど----。』

凛怜「やはり、そうか…。これを紅葉にも送っておいてくれ。」

一葉『うん、分かったよ。』

凛怜「ありがとう。また何かあったら連絡するが、大丈夫か?」

一葉『うん、構わないよ。凛怜と喋ると落ち着くから。早く帰ってきてね?』

凛怜「まぁ、ここの事が片付いたら帰るさ。」

一葉『うん、わかった。それじゃまたね。』

凛怜「あぁ、またな。」


と、言って通話を切り、セーラの元へ戻ろうかと思った瞬間。


「お前が黒葉 凛怜だな?」

と、どこから入ってきたのか、5人ほどの黒スーツを来た男が俺を取り囲んだ。

凛怜「そうだが…。何者だ?」

「名乗る必要はない。それより、我々と来てもらおうか。」

凛怜「嫌だと言ったら?」

「力づくで来てもらうしかないな。」

凛怜「やってみろよ。」

2人の黒スーツの男が俺に襲いかかってくる。

それを、簡単にいなして、相手を気絶させる。


「貴様、やはり只者ではないのだな。」

凛怜「だったら、どうするんだ?諦めるか?」

そう言うと、黒スーツの男はニヤニヤした笑みを浮かべて。


「準備室にいた、青髪の少女、セーラだったか?我々が捕らえている…と言ったら?」

凛怜「…は?あいつに何かしてみろ。生きて帰れると思うなよ?」

「そういきり立つな。我々の要求に従ってくれさえしたら良いんだ。」

凛怜「ちっ、分かった。お前らと一緒に行けば良いんだな?」

「あぁ、それでいい、賢明な判断だ。」

凛怜「勘違いするな。セーラになにかした瞬間、お前らの首がないものと思え。」

「それじゃ、一旦、眠ってもらう。」パシュッ


男から針のようなものが撃たれ、俺は気を失った。


「すまない。」

最後に聞いた言葉に、俺は?を浮かべながら、気絶してしまうのだった…。

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