第16話 全員からの説教
凛怜side
訳も分からないまま、俺は紅葉に抱きしめられ、気づいたら、あの男もいなくなっていた。
そして、今の俺はと言うと…。
凛怜「…。」汗ダラダラ
正座をさせられていた。俺の周りには、物凄い形相の紅葉とエリスを始め、凛や怜など、ほぼ全員が俺をじっと、怖い形相で見ている。
とても居心地が悪い…。俺は何かしてしまったのだろうと、思い。
凛怜「あ、あの…。」
紅葉「なに?」
凛怜「…なんでもない…です。」
こ、怖い…。何をそんなに怒っているのだろうか。その原因が本当に分からない…。
俺の考えが見透かされているのか。
紅葉「本当に分からないって顔ね。」ハァ
エリス「仕方ないわよ、凛怜だもの。」ハァ
凛「ほんとにね…。」ハァ
怜「…馬鹿。」ハァ
なんかすごい言われようだな。怜に関してはもはや悪口だけしか言ってない…、泣きそう…。
原因が分からないからこそ、自分がどうするべきなのかも分からないと、俺は必死に思考を巡らせていると…。
ファル「…んで。」
凛怜「ん?」
ファル「なんでやり返さなかったんだよ!あんだけ強えのに、なんであんなやつ、凛怜先生なら1発だろ!なんで従うなんて事したんだよ!」
シャロン「そうですわ!貴方なら一捻りでやれたはずですわ!?」
レイン「…説明を求める。」
ファルビルが発言したあと次々にもっと自分を大切にしてや、俺が殴ってやりたいなど、俺を説教するだけでなく、あの男への文句を言っていた。
なんでこんなにも躍起になっているのか、皆が怒っているのか、俺は気づいた。
この子達はやはりいい子なのだと、確信出来たし、俺は嬉しかった。この子達は他の子達と何も変わらない。やはり人なんだと、思った。
紅葉「何ニヤニヤしているの?こっちは怒っているのだけれど?」
凛怜「あ、いや。」
そう言われて、初めて、自分がどんな表情をしているのか気づいた。
しかし、この嬉しいという感情もエリスから言われた一言で血の気が引いていく。
エリス「はぁ、まったく、これはきついお仕置きが必要なようね?」
紅葉「もちろん、私も付き合うわ。」
凛「私も参戦する!」
怜「…私も。」
凛怜「え、えー…。」
エリス「さぁ、行くわよ🎶」
凛怜「え?行くってどこに?」
エリス「ふふ。」
凛怜「え、怖い。てか、引き摺ってる!どっからその力出てんの?え、嫌だァァァァァ。」
紅葉「…はぁ。」
セーラ「」カタカタ
俺は駄々っ子のように言ったが、エリスは容赦なく俺を連れ出し、助けてという目線を皆に無視され、諦めた。
最後に見た、セーラの怯えようが印象的に残った。
それより今は、この状況をどう打開すべきかと考えを巡らせたが、俺は理事長室へと連行され、エリス達から2時間近くお説教を頂くことになった。
そのお説教を聞いた夜の事。
俺は、リードベルグ邸へと来ていた。
ガリス「凛怜君、エリスから聞いたよ。アンセット君に会ったんだって?」
凛怜「会いましたね。」
エリシア「凛怜君、服を脱がされそうになったと聞いたわ。私は心配で心配で…。」
ガリス「詳しい話を凛怜君から聞かせて貰えないかね?」
俺はガリスさんにそう言われ、事の顛末を事細かく、ありのままに話した。
ガリス「…なるほど。」
エリシア「…。」
話終えると、ガリスさんは落ち着いた様子で納得してくれたようだった。しかしエリシアさんの周りの空気が若干重いように感じる。
凛怜「…エリシアさん?」
エリシア「あら?なぁに?」
とても笑顔な筈なのに、怒っているように感じた。
凛怜「…怒ってます?」
と、俺が尋ねると。
エリシア「あらあら、凛怜君には怒ってませんよ?」
ガリス「え、エリシア?少し落ち着きなさい。」
エリシアさんを慌てた様子でなだめるガリスさんを見ながら、そういえばエリシアさんって怒るとすごく怖かったなぁ…と考えていると。
ガリス「それよりも、凛怜君。君も君だよ?自分の身体は大切にしなさいと、あれほど言ったのだぞ?」
凛怜「はい…。」
ガリス「まったく、君という子は本当に昔から良い意味でも悪い意味でも変わらないようだ。」
と、苦笑いまじりに俺に言ってくる。
反論が出来ない…。この人達は俺の親のような存在でもあるから、頭が上がらない。
エリシア「凛怜君も反省すべき点は反省なさい?
アンセット殿には反省以上の事をして頂かないといけませんね?」
ガリス「そうだね、家の
エリシア「ええ、そうね。私も久しぶりに血が騒ぎそうですわ、うふふ。」
凛怜「お、おう。」
2人の雰囲気に圧倒されている。
ガリスさんも、エリシアさんも、昔は腕の立つ殺し屋だったらしいのだが、2人が出会って結婚を期に殺し屋家業からは足を洗ったらしい。
けど、度々殺し屋の頃の名残りが出てきて、その時は決まって、家族のための時だけだ。
俺は家族だと思ってくれる事に喜びを感じていた。
あと、少しの気恥ずかしさを感じ、ニヤニヤしないように耐えた。
ガリス「早速、調査をするか。」
凛怜「その事なんだけど、調査は俺達に任せてもらえない?」
ガリス「ほぉ?何かあてがあるのかい?」
凛怜「まぁちょっとね…。まだ確信段階には至ってないけど、俺達でやるよ。」
ガリス「…ふむ、分かった。私が出来ることがあったらなんでも言ってくれよ?」
凛怜「分かった。それじゃ、俺は早速行動するから、おやすみ。」
ガリス「あぁ、おやすみ。」
エリシア「ええ、おやすみなさい。」
ガリスさん達の部屋を出たあと、俺はある所に電話をかけた。
数回のコール音の後、もしもしと言う声が聞こえてくる。
その電話の相手とは…。
凛怜「もしもし、一葉か?少し頼みたいことがあるんだが…。」
一葉『何かの調査かな?』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます