第11話 生徒からの質問①


凛怜side


凛怜「…ってとこだ。」


俺は訓練所で起こった事を、理事長室にいるエリスに説明していた。


エリス「なるほどね、そういうことだったの…。」

凛怜「白々しい、こうなるって、わかってただろ?」

エリス「そんなことないわ、そんなの予想出来ないもの。」

そう言った、エリスの顔は分からないという顔ではなく、ニヤニヤとやっぱりこうなったと言わんばかりの顔になっている。


エリス「それより、あの子達はどう?」

凛怜「小生意気なクソガキ。」


紅葉「けど、見込みはある…でしょ?」

エリス「あら、いつからいたのかしら?」

紅葉「白々しいからよ。凛怜は気づいてたわよ?」

エリス「裏社会最強さんと比べられたくないわ。」

紅葉「それもそうね、比べるなんて凛怜に失礼よね。」

エリス「あら、随分と当たりが強いじゃない?紅葉。」ニコッ

紅葉「率直な感想を言っただけよ?エリス」ニコッ


はぁ、こいつらは…。


凛怜「なんで、お前らそんなに喧嘩好きなんだ?仲良しなのか?」


エリス/紅葉「「仲良くなんてないわ。」」

凛怜「仲良しじゃねえか。」


エリス「凛怜、そこは私の!婚約者として諌めるものよ?」

紅葉「あら、偽の婚約者の分際で何を言ってるのかしら?」

エリス「大体、紅葉は昔からいつもそばにいるじゃない!」

紅葉「あら、女の嫉妬ほど醜いものは無いわよ?」

エリス「貴女も人のこと言えないわよ。あの時の顔傑作だったわ。」ププッ

紅葉「…喧嘩なら買うわよ?バカエリス?」

エリス「久しぶりにやるのもいいかもしれないわね。アホ紅葉?」

そう言って、2人はお互いの頬をつねり出した。


紅葉「むかひひゃから、あなひゃはいつもしょお!(昔から、あなたはいつもそう!)」

エリス「あなひゃだってひょうびゃにゃい!(あなただってそうじゃない!)」


あぁ〜紅茶が美味しいなぁ…。

現実逃避というか、この2人の喧嘩は俺の中ではいつもの事だった。

俺と紅葉は、期間は短いが、エリスの家に住んでいた。大抵、この2人が喧嘩していたのだ。

理由は全くと言っていいほど分からないが、ガリスさん曰く、喧嘩するほど仲がいいとの事なので。

仲良しなんだなぁしか思わなくなった。

こう見ると、普段大人な2人が子供のようにはしゃいでるようにも見えて、逆に微笑ましいとも感じる。


キンコンカンコーン

チャイム鳴ったないくか。


凛怜「紅葉行くぞ。」

紅葉「」ギャーギャー

エリス「」ワーワー

凛怜「…聞いてねえなこりゃ、先いくか。」


俺は2人をほっといて、先に教室へ向かうのだった。



そして、教室に入ると、自分の目を疑った。


ファル「…なんだよ。」

凛怜「いや、なにしてんだ?」

シャロン「掃除ですわ。」


そう、特殊クラスの皆が掃除をしていた。

蜘蛛の巣だらけでほこりなどが酷く、見るも無惨な教室が綺麗になっていた。

凛怜「…今までやってたのか?」


レイン「…面倒くさかったけどね。」

セーラ「頑張った。」

気づいたら、俺の前にレインとセーラがいた。

凛怜「…そうか、ありがとな。」

そう言いながら、レインとセーラの頭を撫でる。


レイン「…別に。」

セーラ「」ムフフ

拒否されるかなと思ったが、意外にも、嫌がらず気持ちよさそうに、目を細めていた。


凛怜「お前らも、ありがとうな。今日は一旦終わりにして、席に座っていいぞ。」

というと、皆は掃除道具を片付け、席に着く。

それを確認した後、俺は教卓の後ろに行き、皆の前で今からやる事を皆に告げる。


凛怜「皆、お疲れさん。今から授業っていうのも味気ねえからな。俺に対しての質問タイムを設けようと思う。質問したい者は挙手してくれ。」

そう、質問タイム。これなら俺のことも知れるし、最近の子の趣向も知れる。なんて素晴らしいんだ!


シャロン「では、わたくしから。」ハイッ

凛怜「お、ヴァルクレア、質問はなんだ?」

シャロン「わたくしのことはシャロンで良くてよ。」

凛怜「わ、わかった。シャロン、それでなんだ?」

シャロン「何故そこまで強いんですの?」


ふむ、もっとこう、女の子らしい質問かと思ったが、最近の子はこんな感じなのか?


凛怜「あー、まぁ昔からそういう環境にいたからな。これでいいか?」

シャロン「えぇ、大丈夫ですわ。」

といって席に座るシャロンに続き。


ファル「じゃあ、次は俺だ。」

凛怜「お、ファルビル。いいぞ。」

ファル「俺たちの事は怖くないのか?」

異常種特有の質問か…。

凛怜「怖くねえよ。何があっても、お前達はまだ子供だ。怖がる要素なんざ、どこにもねえさ。」

ファル「…。」

俺が質問に答えると無言で席に座ってしまった。


サーシャ「じゃあ次は私!」

凛怜「お、元気がいいな!いいぞサーシャ。」

サーシャ「えーっとね、お肉好き?」

凛怜「大好きだぞ。特に牛肉が好きだ。」

サーシャ「それ、私も!同じだね!」

凛怜「ふふ、そうだな。」

なんかほっこりするなぁ、なんかお花が舞ってる感じだな。

ベルニカ「じ、じゃあ私からいいですか!」

凛怜「おぉ!いいぞ。」

ベルニカ「その、意中の男性はいらっしゃるのでしゅか?」

あ、噛んだ。そうこの質問だよ!なんだか最近の子って感じの質問!…ん?意中の男性?


凛怜「あー、ベルニカ?いないんだがな?」

ベルニカ「えーと、私、変なこと言っちゃいました?」

あ、これ本気で分かってないやつだ。

凛怜「えーとだな、俺は男なんだ。だから…な?」

ベルニカ「え!?す、すみません。」

凛怜「…そんなに男に見えないか?」

何人かを除いて、皆、驚いた表情をしていた。

悪意がない分、胸の奥深くに刺さるな…。


ベルニカ「わ、私なんてことを…。」

凛怜「いやいいんだ。そういう勘違いもあるよな…。」


あはは、はぁ…。




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