第4話 勘も頼れば吉
凛怜side
瑠衣と紅葉が泣き止んで俺から離れた頃、愛凛と一葉が丁度戻ってきた。さっきまで泣いていたのか、目が赤く腫れていて、その表情に笑顔はあるが、祝おうとしてくれてるのか無理やり笑っていることが分かる。
凛怜「愛凛、一葉、実はな…。」
俺は早速、事情を説明した。反応は。
愛凛・一葉「「は?」」
凛怜「ごめんなさい。」
ボスとしての威厳?そんなのクソ喰らえだと言わんばかりの勢いで、秒速で謝りました。
エリス「あーあー、言っちゃった。」
と、いじけているエリスに。
凛怜「いや根本原因お前だから…。」
エリス「あなたボスでしょ?別に言わなくてもいい事のはずなんだけれど?」
凛怜「隠しきれるものでは無いからな。それに…。」
エリス「…それに?」
凛怜「いや、なんでもねえ。」
俺は言いかけた言葉を飲み込んだ。
エリス「…何かあるのね?例の能力かしら?それとも完全な私情?」
凛怜「さてな。そう言えば、お前の婚約相手になるはずだったやつは誰なんだ?」
俺がそれを聞くと、エリスの表情が嫌悪感でいっぱいですと言いたげな顔になっている。
エリス「グリドール=アンセット。表社会で名を馳せてる財閥の息子よ。」
瑠衣「アンセット家か、最近名を上げている所だね。」
愛凛「私も聞いたことあるぞ。今まで無名だったが、急に名を上げ始めた財閥だとか。」
一葉「…どうにもきな臭いね。」
紅葉「そうね、凛怜どう思う?」
凛怜「んー、そうだな。きな臭いと言えばそうだが、これといった情報を俺たちは持っていない。これは調べてみる必要がありそうだな。」
エリス「お父様が調べているわよ?」
エリスの父親がそこを怠るはずは無いが…。
凛怜「それは表からだろ?こちとら裏社会の住人だぜ?」
エリス「私のとこも一応、裏社会の学校を開いているのだけれど?」
そう、エリスの実家は、裏社会の未来を担う若者を育てるための訓練学校を開いている。
俺が通った事はないが、エリスはそこの理事長をしているのだ。
そこでは、ファミリーのボスとしての教育やマフィアの心得など、様々なことが学べる。
マフィアの本格的な学び舎ということもあり、派閥に関係なく、様々な人が入るため、そこでも小規模ではあるが、様々な派閥ができていると聞く。
もちろん、
まぁそれはそれとして。
凛怜「恐らく、裏社会の繋がりを完璧に消している可能性はある。悪い噂は聞かないからな。」
エリス「なるほど、そこが薄くなるという訳ね。」
凛怜「あぁ。」
エリス「ちなみに、なんでそう思うの?」
凛怜「勘。」
俺がそう言うと、皆が呆れた表情でいる。
紅葉「凛怜、それだと何の確証も得られていないわよ?」
凛怜「こういう勘は当たるんだよ。」
一葉「意味の無い自信だね、相変わらずで安心するよ。」
愛凛「いや、安心するはするが、いいのか?」
瑠衣「まぁそこはもう諦めた方が良さそうだね。」
エリス「…貴女達、色々苦労してるのね。」
凛怜「…おい、泣くぞこら。」
なぜだろう、こんなボロくそ言われるんだ?俺の勘はわりと信用していいはずなんだがな…。
紅葉「まぁ、凛怜の勘だから、大丈夫よ。」
ここに来て、女神がいた。もうそれだけで、俺は救われた。それでテンションが昂っていたのだろう。
俺は、紅葉を抱きしめ。
凛怜「紅葉愛してる、お前は俺の女神だ。」
紅葉「え?え?り、り、り、り、凛怜?あのね?う、嬉しいのだけれどね?その、こういう事はまた後でというかね?その、私も愛してるわよ?でも妹達が見てるし、その…」オロオロ
何この可愛い生き物、ヤバいニヤける。
俺は絶対だらしない顔をしている。よしこの状況を堪能しy…。
瑠衣「凛怜。」ニコッ
愛凛「…やはり紅葉姉さんがいいのか?」ニコッ
一葉「この状況は頂けないなぁ…。」ニコッ
エリス「早速、婚約者の目の前で浮気?」ニコッ
あ、これはオワタ…。
俺はそっと、紅葉を離し、皆に向けて笑った。
凛怜「お、お手柔らかに…。」
紅葉を除く全員「「「「問答無用!」」」」
凛怜「ぎゃぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は地獄を見たのでした…。
しばらくして…。
エリス「そういえば、お父様に挨拶してもらう事になるけど、大丈夫?」
凛怜「それ、聞いてないんだが…いつなんだ?」
ボロボロの俺に、またこいつは追い打ちをかけるのか、まぁせいぜい1週間後だろと、タカをくくっていたが。
エリス「3日後よ。」
凛怜「…え?」
ステイだ、落ち着け凛怜、大丈夫だ。今のは聞き間違いに決まってるんだ。3週間後と言ったんだろう。よし、もう1回聞いてみよう。
凛怜「すまん、もう1回言ってくれないか?いつだって?」
エリス「だから、3日後よ。」
すまん、疑って悪かったな俺の耳よ。とりあえずこの変態に言っておくことがある。
凛怜「ふ…。」
エリス「ふ?」
凛怜「ふざけんなぁぁぁぁぁぁあ。」
俺の声は、部屋中いやクローバファミリーの本部中に俺の声が響き渡るのだった…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます