第2章 エピローグ


凛怜side


あれから3日が経ち、クローバファミリーの本部へ帰った俺は戦いの後処理のため、紅葉と瑠衣と共に書類仕事に追われていた。

ルードファミリーはボスがやられ、次の後継者選びが原因で内部抗争に発展した。

しかし、血の契約オメリードを反故にした事がほかのファミリーに伝わり、袋叩きにされ、壊滅した。

黒ローブの女が何者か、まだ分からない。

瑠衣に感情を読んでもらったところ。


瑠衣『なんだか、狂気じみた感じ。でも怨みというよりはむしろ…。』


なんでそんな勿体つけるのと言ってやりたい。

むしろ何!?殺気的な感じじゃないの!?

まぁ、マフィアのボスをやってる身だ。そういう類のものを向けられていても不思議ではない。


凛怜「あぁ、だりぃ。」

紅葉「凛怜、ちゃんとしなさいな。」

瑠衣「そうだよ、しっかりしないと威厳がないって言われちゃうよ。」

と、思わず出た言葉に対して、紅葉と瑠衣がツッコんでくる。心にダイレクトアタックなんだが…。


あの後、紅葉の身体は筋肉痛に似た症状が出ただけで、1日休んで仕事に復帰してきた。

もっと休めと言ったはずなのに。

紅葉「いいの、私がしたいんだから。」

と言って聞かない。色々言いたいことはあるが、そんな事を言ったらお説教が飛んでくるので言わないことにする。


瑠衣に関しても、まだ包帯も取れていないのに紅葉と同じタイミングで復帰してきた。


愛凛もそうだ。気絶してたのに次の日になったらもう鍛錬を始めている。休暇の意味よ。


とりあえず3人に言いたい、君たち社畜なのん?


コンコン

愛凛「凛怜、一葉を連れて来たぞ。」

凛怜「おお、来たか。」

一葉「やぁ凛怜、相変わらず、だらけたような感じだね。」

凛怜「おいおい一言余計だぞ。俺はだらけてるんじゃない、低燃費なだけだ、とてもエコだぞ。」

一葉「なるほど、じゃあ私が改造してもっとエコにしてあげようか?」

凛怜「やめてね?冗談に聞こえないからね?」

一葉「冗談じゃないからね。」

凛怜「タチ悪ぃ…。」


と、一葉が入った途端にいつものやり取りが始まる。なかなか終わらないのを見かねて。


愛凛「」オホンッ

愛凛が咳払いをし、中断させる。

愛凛「それで、私達を呼んだ理由はなんだ?凛怜。」


愛凛の言葉で皆の視線が俺の方に向く。


凛怜「察していると思うが、俺の能力についてだ。

紅葉は知っているが、俺自身この能力はあまり好きではない。俺はガキの時、親に捨てられスラム街にいた。だが、ある国によって誘拐され、人体実験をさせられた、その時に吸血鬼の細胞ヴァンパイア・セルと呼ばれる細胞を身体に埋め込まれた。埋め込まれた細胞の吸血鬼は1番強いらしくてな、被験者は沢山いたが、俺しか適用しなかった。それによって生じた能力が吸血鬼のロード・オブ・ヴァンパイアだ。そしてその能力が発現した時、俺は何人もの人を殺した。」

皆が静かになっている。

やっぱりそうなるよな…。と分かってはいたが、拒絶されるかもしれないという恐怖が俺にはある。


一葉「…吸血鬼ということは、日光とかは大丈夫なのかい?」

凛怜「え?あ、あぁ、大丈夫だ。吸血鬼化してる時も俺に弱点らしい弱点はない。」

瑠衣「もしかして、弱体化のやつはその能力のデメリット?」

凛怜「ま、まぁそうだな。」

愛凛「なるほど、弱体化はともかく、それくらいなら安心だな。」

凛怜「お、おう。」


皆はすんなりと事実を受け入れている。

凛怜「…怖くないのか?」

愛凛「怖がるなどありえないな。」

瑠衣「ほんと、変なとこで臆病だよね。」

一葉「はぁ、凛怜はばかだからね。」

3人は呆れ半分で言ってくる。あれ、なんか後半ディスられてる…。と考えていると。


紅葉「凛怜は心配しすぎなのよ。」

凛怜「…どうやら、そのようだ。」

と、安心から俺は笑顔を見せた。そして話を終わらせようとすると。


瑠衣「まって、そこまでは分かったけど、なんで紅葉姉さんがしっているんだい?」

と、瑠衣が切り出す。

凛怜「それは偶然だ。それ以下でもそれ以上でも無い。」

瑠衣「…ずるい。」

凛怜「え?」

瑠衣「紅葉姉さんだけずるい。」

愛凛「そうだ、ずるいな。」

一葉「確かにずるいね。」

紅葉「」フフン

ピキッ

あれ、なんだか空気が?あれ?おかしいな。

一触即発のムードに、これはまずいかもしれないと思い、

凛怜「お、おいおまえr…。」

コンコン

止めようとすると、部下が入ってきた。

「失礼します、ボス。」

凛怜「ん?なんだ?」

「はい、ボスにお客様です。なんでも、ボスのご友人だと言ってます。どうしますか?」

凛怜「…名前は?」

「たしか、エリス=リードベルグと名乗っております。」

紅葉「」ピクッ


その名前を聞いた瞬間、俺は頭を抱え、紅葉も反応した。確かに知り合いだ。友達かと言われたら違う気がするが、まぁ知り合いではある。あんまり会いたくないやつだが。


凛怜「あぁ、通してくれ。」


俺はそう言いながら、また何か厄介事の予感がすると、思いため息を吐くのだった。

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