第12話 戦いの火蓋

凛怜side


凛怜「紅葉、あいつを連れてこい。」

セグ「護衛は3人までが原則でs。」

凛怜「おーっと、俺が連れてくるのは護衛の奴じゃねえんだ。ちょっとした証人だよ。認めてくれよ。」

俺は、セグレットが言葉を言い切る前に、遮り、正当性があると、訴える。

セグ「…かしこまりました。それでは見て判断致しましょう。」

渋々といった様子だが、問題はないので、そのまま続ける。すると


ジェ「おいおい、そんなのありなのか?」

と、ドン・ルードは文句を言ってくる。


凛怜「護衛では無いのでな。見ればわかる。なんせ、あなた方と繋がりが深い仲だろうからな。」

そう言うと、少し困惑したような顔になるドン・ルードであったが、完全に優位であると確信しているのだろう。まだ余裕が窺える。

ジェ「良いだろう、連れてきてみろ!」

ドン・ルードも認めた。やはり、余裕の奴は警戒心も人並みに落ちるな。と思いながら待っていると。


コンコン

紅葉「ボス、連れてきました。」

凛怜「あぁ、入っていいぞ。」

扉が開き、そこに立っていたのは紅葉と1人の男。


その男を見た、瑠衣、愛凛そして、得監のセグレットは、誰だこの人と言いたげな顔をしていたが、

ドン・ルードだけは驚愕の表情をしていた。


ジェ「な!?どうしてお前がここに!?」

凛怜「おや?誰かご存知なんですか?」

ジェ「こいつは俺のとこの…。」ハッ


言いかけて気づいたようだ。まぁもう遅いが。

この男は紅葉が始末したはずの男だったのだ。


凛怜「ボロを出したな。聞いたか?特監さん?」

セグ「ええ、確かにこの耳で聞きました。」

ドン・ルードはそれを聞いて、必死に弁解しようとする。

ジェ「いや、違う!こんな男知らない!」

凛怜「おいおい、往生際が悪いぜ?てめえのケツをてめえで拭けねえようじゃ、この世界はやっていけない…そうだろ?ドン・ルード。」


ドン・ルードは観念したのか。膝を付いて、項垂れている……と思った瞬間、

瑠衣「ハッ!凛怜!避けて!」

瑠衣の声が響いたと同時に、

ジェ「くそが!」バンッバンッ

2つの銃声が、部屋全体に響く。


凛怜「」ゴフッ

俺は気づいたら、撃たれていた。

紅葉「凛怜…!」

愛凛「凛怜!大丈夫か!?貴様ァァァァァァ!」

瑠衣「あ…ぁ…に…い……さ…ん?」

3人からそれぞれ、切羽詰まった声や悲しみと怒りの声が俺の耳に届いてた。

凛怜「しくじっ…た…な。ハハッすま…ね…え…。」


その一言を最後に、俺の意識は無くなった…。


瑠衣side



兄さんが撃たれた。それだけで、気が動転しているが、僕はこれではだめだと思い、無理をしてでも、すぐ冷静になるように努めた。

すぐにでもこの男を殺したいが、今は凛怜を何とかしないと!

瑠衣「愛凛!すぐ別室に凛怜を!」

愛凛「…。」

愛凛は今まで以上の殺気であの男を睨んでいるのか、反応がない。

瑠衣「愛凛!」

そう大声で呼ぶと、愛凛は、ハッとなり。

愛凛「あぁ、分かった!」

と、担いで走り出そうとするが、

ジェ「おっと、そうはさせねえよ?」


と、さっきの切羽詰まった様子とはかけ離れた、余裕の表情の男がざっと20人くらいの部下を連れて、行く手を阻んでいた。


愛凛「貴様…どけぇぇぇぇぇぇ。」

愛凛は向かってくる敵を斬っていくが、思うように動けていない。そこに、セグレットが。


セグ「ドン・ルード様!これは血の契約を反故にしたと同じですよ!」

ジェ「それがどうした!俺は俺のやり方でこいつを殺しただけだ!実に、マフィアらしいだろ!」

と、言った瞬間、愛凛以上の殺気と威圧感が辺りを包んだ…。

その発生源を見ると、そこにいたのは血のような、紅いオーラを全身に纏った紅葉姉さんだった。


これは不味い…。姉さんを早く止めないと!


瑠衣「紅葉姉さん!だめだ!アレになってはいけない!姉さん!落ち着いて!」


僕が声をかけても聞こえてる様子はない。むしろさっきよりも、またオーラが大きくなっている。

こうなってしまえばもう僕にはどうにもできない。

凛怜…ごめんね…止められなかった…。

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