04 燻(くゆ)る
いつしか
「よ、
「何じゃ」
いつかこんなやり取りをしたな、と
「
「何!?」
方々から、燻ぶった匂い。
だが
館は炎上しており、さすがの
「……誰か出てくる?」
全身を焼かれながら、館から人影が飛び出して来た。
「……
「……不覚を取った、
「……頼む。どうかこの子を。
「
「情けなや。あれでも
「
「久しいの、兄上」
「
「知れたこと。郎等を煽って共倒れを狙ったが、駄目になったからよ」
「が、何だこれは。共倒れせぬとは」
そして
館には、生まれたばかりの子がいたからである。
「それで
「ついでだ。兄上、死んでくれ。その子と共に」
矢は
「……がっ」
「遅い。
向かうは、摂津。
「そして伝えなくては、この子の父が、どれだけ強く……そして、人たらんとしたかを」
*
時が経ち。
そしてその
――
【了】
夏が燻る ~ 源宛(みなもとのあつる)と平良文(たいらのよしふみ)と合戰(あひたたか)ふ語 ―「今昔物語集巻二十五第三」より― ~ 四谷軒 @gyro
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