第77話

 強烈な閃光と爆風が止むと眼下に見える森の木々はなぎ倒され、燃え上がっていた。


悪魔城を見ると少し崩れ落ちて火災を起こしている。


なんだったんだ今のは?


「お、おおおおお、うそでしょ!

今の直撃だったのに生きてるわ!」


 なんかアレクサがキョロキョロ周りを見回しながら感動している。

そして俺の方を羨望の眼差しでみている。


「お、お母様!

 今のは何だったのですか!?」


「日輪の神槍を使ったわね。

 獣神と悪魔城の両方を狙った結果、ここも範囲に入ったようね」


なるほど、説明ありがと。

ちゃんと結界張ってて良かったな。


相棒、グッジョブだ。


『大したこと無いデス』


やっぱりここはとてもやばいことが判明したのでダンジョン奥に避難しよう。


ヒナタには悪いが急いで立ち上がって、家に向かう。


脱出と決めたら迷わない。

速やかに脱出『くぉおおらぁあああああ!

 クロスぅ!!』す・・・る?


獣神の女の子の声が響きわたる。


何事?

獣神ちゃん、何で怒ってるの?

俺、これから逃げるんですけど?

後、俺の名前を大声で叫ぶのはやめてほしい。


アレクサを見ると、何か諦めたように首を横に振っている。


『俺とジジイのタイマンに横やりいれるんじゃねぇえええええ!』


「横槍?」

何もしてないよね俺、っていうか俺ごときに何が出来るっていうの?


フィリアを見て俺何かしたの?って感じで聞いてみるとフルフルと首を横に振った。


「あのぉ、獣神様との戦いはお止め下さい。

 敵が妹様の反撃でかなり深手を負ったのでお怒りなのです」


は?

アレクサの娘はなに言ってるの?

反撃?

相棒、お前何かした?


『いつも通り反射結界を張っただけデス』


だよねぇ


ん?

・・・

・・・

・・・


えっと、さっきの攻撃を跳ね返したの?


『もちろんデス』


うわぁ・・・

あのね、相棒。

君が強いのは分かったから、あんまり目立つ行為は控えてほしいな。


俺、静かに目立たないように暮らしたいって言ったよね?


『受け止め、打ち消すより、跳ね返す方があなたへの負担が軽いデス』


俺への負担?

俺関係ないっしょ。


『あなたの力を使って結界を作ってるデス』


ぬぅ。

そうだったけ?

異世界アルアルだが、この体は高スペックなのか。

俺に使いこなす自信はないがな。

仕方ない、無視して逃げよう。


『このまま結界を修復、維持した方が安全デス』


そうなの?


『再び戦いが始まっているデス』


安全と言われたら仕方ないので、元の場所に戻り座ると手が勝手に動き結界を張り直したようだ。


木々がなぎ倒されたおかげで街が見えるようになったのでボーっと街の方を見る。


オーラ的なものを纏って淡く光る人達が闘っているようだ。


「流石にこちらには撃って来ないですね。」


「妹様の反撃を恐れているのよ。

 ただ、あの悪魔城が私達の頭上に居るのは不快だわ。」


上を見ると悪魔城がダンジョンの上で静止している。


明らかに相棒の結界を利用しているようだ。


しばらくすると、黒い鎧を来た一団がこちらにやってきて結界の前で膝をついた。


「クロス様・・・

ウラン城の城主、ダルク・ヴァレン様がお会いしたいとの事です。

ぜひ、ウラン城へお越し願いたく」


大きな八重歯が特徴的な吸血鬼的なおにーさんがにっこりと笑うと、黒バニー達が喜声を上げた。


ぶっちゃけ、イケメンは敵。


まぁそんな事より、ラピュタ的な空とぶお城ってめっちゃ興味あるんですけど、あんな所に行ったら絶対に巻きこまれるよね


『もう、巻き込まれてるデス』


むぅ。


「断る」


 これ以上巻き込まれるのはゴメンだ


「無礼者共が!

 この方は不滅の魔王、ルゥイ・ストラ・カッター様の妹君だぞ!

まずは頭上の城をどけた上で、ダルクがこちらに非礼を詫び来るのが筋であろうが!」


 アレクサさん、イケメンに反応しているようで、少し顔が赤らめながら怒鳴った。

別に俺は関係ないから詫びに来なくて良いのですが?


「ダルク様は城から離れられないのです。

実は、とてつもない強者達がいて、夜があける前に自ら戦いを挑まれます。

クロス様には城内で結界を維持していただきたく・・・」


 防衛に参加しろと。 無いわぁ。


「ふむ、リーマン爺の他にも強者がいるのか?」


 アレクサは興味を示した。

確かに爺さんの息子さんも強そうだったな。


「いかない」


なのではっきり断る事にする。


「久しぶり。ルゥイ・・・じゃなくて、クロス。」


ミリアさんが大きなスライムに乗りながら前に出てきた。


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