137試合目 決勝3

 そこからは怒涛の戦いだった。取りとられを繰り返し、お互いリーダー以外は疲弊で体や顔に疲れがどっぷりと出ていた。

「はあはあ……」

「大丈夫??」

「正直やばいかも」

 そんな会話が彩花たちからは聴こえてくる。

 しかしチームアマゾネスは、

「気合い入れ直せ!!」

「「イエッサー!!」」

 さすが軍隊アマゾネスといったところだろうか。

「でも大丈夫かしら」

 さくらは眉を少し寄せ、腕組みをする。

「何がだ?」

「いや。私が……というか誰が見てもそうかもしれないんだけど、あの彩花さんの方……かなり疲弊しているわよね」

「ああ、そうだな」

「だけど実は筋肉がもう動かないんじゃないかしら?」

 さくらは表情を変えることなく淡々という。

「どういうことだ」

「さすが徹、バカね」

「な!!!!」

「だからあれほどの攻撃を受けるのは毎回彩花さんだけ、それは狙われてるってのもあるし少し個人プレイをしているってのもあるわ。

 それに疲弊が加わって動けるわけがないじゃない」

「それでも……」

 大丈夫だと言いかけて俺はその口を閉じた。

 それは彼女の表情を見たらわかった。

 瞳の奥に映る疲弊と焦りがそこには出ていた。

(正直僕は勝てる気がしない……。でも負けられない!!! 気持ちで負けたらそれでおしまいなんだ!!!)

 彩花は自分を奮い立たせたが、体はちっとも良くはならない。しかしアドレナリンのせいだろう。軋む体に彼女は気づかない。

「うおおおおおおおお!!!!!!」

 急な咆哮とも取れる叫び声にたるんだ空気にピリつきが電撃のように走る。

「今何点??」

 春馬もそれを察しながらのいつも通り俺に振る舞う。

「15-17だ。普通に行けば彩花たちの負けにつながるが、どう動くか見ものだな」

「そーなんだ? でもあの球打ち返せばいいのに?」

「化け物春馬と一緒にするな。ボケ」

 確かにさっきも言った通り春馬なら打ち返すか弾き返して終わり。だが彩花は化け物と言っても一般人だ(相手はアマゾネスだが)。そんな彼女が今も立っていられるのはあくまで気持ちがイカれてるからであって、体が強いわけではない。

「化け物って俺のこと??」

「相手の球を見もせずに打ち返すことのできるお前を化け物と呼ばず何という」

「イケメンスポーツマン」

「さくらは黙ってろ」

 急に会話に入ってきたさくらを適当にあしらい、俺はまた試合の観戦に戻る。

 点数は変動 18-23に差は広がっていた。

「く……。はあっはあ!!!」

 流石にアドレナリンによる軽減を上回るほどの痛みを受け続けた彩花はその場で立ちすくむ。

 (大丈夫かよ……おい)

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