131試合目 三年
「しかし本当に早いものだな……」
俺は今日ボランティア部の使っている教室で春馬たちと残って話していた。
最近、春馬の勉強するためここの教室を利用させてもらっている。そして今はその勉強の休憩中。
とりあえずペンを置いた俺たちは特に何かするわけでもなく、ただ一緒に話していた。
「そうだね~。そうだね~」
春馬は勉強で頭が壊れていた。
「ダメだこいつ」
俺は三年になってとうとう諦めることを覚えた。
春馬を厳しく俺が教え、横のさくらが甘やかす。
「春馬‼ よくできてるね!! 今日作ってきたクッキーを一緒に食べましょう!」
バッグから手のひらサイズの袋に入ったクッキーを取り出して、春馬に一枚差し出した。
「ありが……とう……」
春馬は死にそうな声でお礼をいう。そして小さく口を開け頬張ろうとしたその時だった。
がらららら!
大きな音を立て教室の扉が開いた。
「たのもー!!」
そこに入ってきたのは見るからに運動部といわんばかりの引き締まった足腰のボーイッシュ女子がはいっていた。
「ハイ……??」
俺は突然の出来事にカタコトでしか返事ができなかった。
「ここってボランティア部っすか!」
「そうですけど……」
見た目通りハツラツとした話し方をする彼女はどんどん俺の方に迫ってきた。
「え……? なに、あの……」
「僕も入部させてください!!!」
取り出して俺に渡してきたのは入部届だった。
「えぇ!??」
(この見た目でまさかの入部希望者!?? いや、ありえないわけではないわけではないけどそれなら運動部入ると思うじゃん!!)
「な、なんでこの部活に???」
これは聞かなければいけない。
「なんで……っていわれても、僕! 誰かのためになることをしたいんっす!!」
(そっちのパターンの運動部系か!! なるほど納得だ!!!)
「それはいい心がけだね?? 何年生なの???」
「1年っス!! よろしくお願いします」
とりあえず受け取った入部届を見る。
(どれどれえーっと名前は……)
「京極彩花さんか。強そうな名前だね……」
「一応黒帯です!!」
(やべえ。京極って苗字の人みんなそうなの?? マフィアとか武闘家とか……)
「とりあえず……よろしく!」
「うっす!!!」
わかったからその柔道のポーズはやめろ。
こうして新しいメンバーが加わった。
「でも、運動部とかじゃなくてよかったのか?」
「まあこの見た目だとそうっすよねえ……。でも僕は周りのためになんかするのが好きなんで!!!」
「そうか。それならよかった」
なんだか少し、俺に似ている気がした。
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