127試合目 ジェットなコースター
ピロロロロロ
「発射いたします。安全バーをしっかりとおろしてください」
発射前のアナウンスが鳴る。
「とうとう始まるね……」
「なんだか緊張してきたわ」
さくらが緊張しながらも少しワクワクしているのを隣に座る春馬はビシビシと感じていた。
「でもあれだね。先頭に座れるなんてさくらさん運がいいよ」
「そ、そうなの???」
「先頭が一番楽しいからね」
(まあ、私は春馬くんといるこの時間がすでに楽しいからどこでも大丈夫なんだけどね!)
どんどん上昇していく景色を見るのは何回乗った人でも興奮するであろう。それがもし初めての人間なら余計に楽しいに決まってる。
「すごい……すごいわ……」
さくらはあまりの高さに脅えるわけでもなく、ただ単純で純粋な感動を覚えていた。
「でももっとすごくなるからね!!!」
そう春馬が言った直後、急速落下した。
「きゃあああああああああああああ!!!!!」
「どうだった?? 初めてのジェットコースターは」
「そ、そうね……。かなり体力がいるってことだけわかったわ……」
「ははは……。そっか」
「あ。でもすごく楽しいってこともわかったわ。また来ましょう!」
「うん!!!」
さすがにいろいろ周って疲れた春馬たちは、レストランでランチを食べるついでに休憩することにした。
「すごい、料理まで世界観にあった物にしているのね……。ここまでこだわるのはさすがね……」
変なところに感心をしているさくらを横目に料理を真剣に春馬は選んでいた。
「ところで春馬君。進路ってもう決めたのかしら?」
「そうだなぁ……。まだ決まってないけど、俺はできれば西屋敷と一緒のところに行きたいなぁ……」
(出たな徹!!! でも今回は許してあげる。だって私は“彼女”なんだから♡)
「そうなの???」
「西屋敷はさ、彼女ほしいとか言いつつ実はほしくないんだよ」
「なんでなの???」
「自分の幸せより他人の幸せを見てる方が好きっていうやつでさ……。柚希ちゃんが言ってたんだけど、俺たちが付き合ったとき一番喜んでいたのは実は西屋敷なんだよね」
「そうなんだ……」
(ふ~ん。意外とあいつにもいいところはあるのね)
「もちろん俺もさくらと付き合えて幸せだよ?」
「そ、それはもちろん……。私もよ……」
(こういうことをナチュラルに言えちゃう春馬君イケメン!!!)
一人で悶え、叫びそうになったのを我慢しながら、さくらは少しの水を飲む。
「私、決めたわ」
「何を??」
「私も春馬君と同じ大学行くわ」
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