125試合目 いつもの日常へ??

 昼休み、俺はいつも通り春馬と一緒にいた。

「春馬君や?? 君は一体何をしているのかね?」

 春馬はずっと携帯を触っている。こんなことは今までなかった。かなり珍しい。

「えーっとね。さくらに連絡をしているんだ!!」

 笑顔で俺にスマホを見してきた。

「そうかそうか。でもさ…………お前ら同じ教室にいるだろ!??」

 そう、ここは教室。普通に話せばいいのにも関わらず、なぜか二人はSNSで会話をしていた。

「だって……さくらがそうしたいって言ったから……」

「ほほう……」

 俺はそっと席を立ち。さくらの方に向かう。

「は~い、そこのにやにやしているさくらさんや」

「ぐふふふ……ッは! 何かしら??」

 今更取り繕ってももう遅い。

「なんで直接話さないんだ??」

「だ、だって! 春馬君の顔見ながら同じ空気を吸って話すなんて……心臓が破裂してしまうわ!!!!」

 やっべ。変態度が増してやがる。

「何言ってんだ。直接話さないカップルがいるか」

「ぐぬ……」

「大体春馬は話すのが好きな奴だぞ?? どう考えても直接話すべきだろ?」

「ぐぬぬぬぬ……! 私だってわかってはいるのよ……。でも緊張するというか……なんというか……」

 口をもごもごしながらどんどんダンゴムシのように丸くなっていく。

「デートはもうしたのか??」

「ぐへえ!!!! し、してない……」

 マジかこれ?? 主人公カップルとは思えないほどの奥手だぞ??? このままでは明るい未来はないと見た。

「そうだろうと思ったよ。だからこれ」 

 俺はそういってポケットに入れていた二枚のチケットをさくらに渡した。

「なにこれ??」

「これは遊園地のチケットだ。さくらから誘ってやれ」

「わわわわ私から!??? そんなのむりむりむりむり」

「なら今の関係のままずっといるんだな」

「わ、わかったわよ……」

 何とか受け取ってくれてよかった。さくらは経済的余裕がすごいから、ぶっちゃけ受け取らないんじゃないかと不安だった。

 そんなことを考えているとさくらは自分の席を立って油が刺さってないロボット化の如くがちがちで春馬の席に向かった。

「あああああ、あの!! 春馬!!!」

「どうしたの?? さくら」

 春馬の方は緊張感のかけらもない。なんて奴だ……。

「わわわわ私と……っすー……デート! 行きませんか!!!」

 さくらの手は震えていた。よくそれで付き合えたものだ。しかし……

「もちろん!!!」

 春馬は顔をぱあっと明るくしてそういった。


 さくらは少しはねて顔をにんまりとさせた後、俺の方を見てこういった。

「今日だけは神と呼んでもいいわ」

「はいはい……。遠慮しまーす」

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