106試合目 再告白 4
どういうことだ……?? 告白は失敗……? それほどに彼女は怒っているのだろうか……。
もちろん俺と同じ、いやそれ以上に動揺していたのは告白した近藤君自信だった。
「そ、それは……まさか別れる……っていう……」
喉が詰まったような声で話す彼の声を遮るように大橋は言う。
「ごめんなさい! そういうわけではないの……。私は勘違いをしていたことに気が付いて、あなたのことを信じてなかったことにも同時に気が付いたの……。あなたを私の勘違いでずっと……。ずっと傷つけた!!! だからそれを私は謝りたかったの……」
そういうことだったのか。タイミング悪すぎて悪魔的な空気になるところだったぞ……。
「で、でもなんで気づいてくれたの??」
確かにそうだ。本人が言ってもあんなに信じなかったんだ。どうしてだ……??
「それは……。生徒会長のおかげなの……」
凛……!??
「私が怒っているところに生徒会長が来てくださった。そうして私に経緯を説明してくれた……。実はこのサプライズも生徒会長から聞いたの。それで会長は『そこまであなたのことを考えてくれる人が浮気なんてするわけないでしょ』って……。そこからは冷静になって、あなたが優しいことをすぐに思い出した……。
許してくれるかどうかはわからないけど……。本当にごめんなさい……」
ったくあいつ……余計な事しやがって。
そう考える俺の口角は自然と上がっていた。
「もちろん!! 僕も言いすぎた。ごめん……。それと……好きだ」
「私も」
この発言に会場は今年一番の大盛り上がりを見せた。
この後の二人のことは皆まで言わずともわかるだろう……。
俺はこの二人を祝福しつつ凛の元に向かうことにした。
その途中俺のクラスの男女もお互いに謝っている姿を確認した。後日確認したところ、なんやかんやで春馬が解決したらしい。さすがイケメンだ。
生徒会室の扉を開けると外の様子を微笑ましくみている凛の姿があった。
「凛……」
「何かしら?? まさか褒めてくれるの?!」
「馬鹿。お前なんでサプライズ言っちゃうんだよ」
「いいじゃない成功したんだから。あとバカ!! この牝豚がって罵ってほしいわ?」
「ふざけんな。俺にそんな趣味はない」
そんな冗談(?)も言いつつ残りの時間は凛と二人で経緯を話しながら漫談を楽しんだ。
「あ……。私もとおくんのことは大好きよ?」
「ははっ。知ってる」
こんなに清々しい文化祭は初めてだったかもな。
次の日、大橋と近藤はイチャイチャを見せつけながら俺に感謝をしてきた。
「結構根回ししてくれたんですってね! ありがとう」
「僕も感謝している。本当に!!」
少し主重いくらいに感謝を一日中された。まじで重い……。
でも……
「よかったな!」
「「うん!!!」」
こうして文化祭は幕を下ろした。
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