91試合目 またか。
俺は考えていた。この状況をどうすればいいのかを。
体育倉庫に閉じ込められた俺、しかしながらそれに困っているのではない。問題は、その閉じ込められたときに完全にケダモノと化した鈴が俺を襲おうとしていることだ。
2時間前――
俺はいつも通りボランティア部の活動をしていた。
「おい歯車。ちゃんと働いているか? ゴミ」
こいつはゴリラこと呪文みたいな名前をしたビオラ先輩。生徒会副会長だ。
「一回一回悪口挟むなよ!!?」
「どうした? 口答えか。殺すぞ」
手をぽきぽきと鳴らし戦闘態勢に入る。
絶対こいつ生まれる国間違えただろ。
「結構です……」
「大体お前は鈴をみならえ。あいつはしっかりと働いているぞ」
「まあねえ! 早く終わらせたいし」
「いい心がけだ」
女には甘いな。この野郎。
「そうだ。悪いんだが二人にはこれから運動部の用具に破損がないか体育倉庫に確認に行ってほしい」
「え~」
「やらないのか、残念だ。お前の墓が決まっちまった」
「ごめんなさい。やります」
「鈴もそれでいいか」
「いいですよ~」
そして俺たちは体育倉庫に確認に行くことになった。
「意外と備品多くて時間かかりそうだな」
「そうだね~。とりあえず奥のものから見よっか」
鈴の提案を採用し、俺たちは体育倉庫の奥から確認を始めた……のだったがそれがまずかった。
「あれ~? ここまだあいてるなあ。誰だよ閉め忘れたの」
俺たちの存在に気付かなかったのか男子生徒が体育倉庫にカギをかけてしまった。
キィーガチャン。
ガチャン??
「おい鈴、今なんか音しなかったか?」
「確かにしたね。扉かな?」
いやいやまさかな。王道ラブコメじゃあるまいし。
俺はすぐさま扉を確認した。横にひいてみて、開かない。はは~ん? 実は前に押すタイプ! でもない……。
「くふっ!! はっはっはっは!!! どうだ鈴!!!」
「あはははは」
「ははは」
「あはは」
「「はあ……」」
「どうしてこうなった!?」
「いやまあミスは誰にでもあるけどね」
鈴は一周回って悟っていた。
「しかしだな! これはどうする」
「まあ……。考えても無駄でしょ?」
おいおい放棄をするな。
「あれ?? でも待って。いいこと思いついた!!」
「お!! 何か名案が思い付いたっていうのか!! 鈴」
「名案も名案!! 大名案よ!」
それは期待Maxだ!!
「それはいったい何なんだ!!」
「徹。エッチしよ?」
……。
「はあ!? てめえ何言ってやがる!!」
「だって今二人とも出れない。ならヤってしまおう!!」
「いやいやいや!!!! 意味わかんないし!!」
「私だって……。恥ずかしいんだから……」
「鈴……。だったら言うなよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます