63試合目 WHY!
「もしもし、こちら西屋敷です」
俺は観念して春馬から電話を借り和倉凛と話すことにした。
『もしもしこちら和倉です。先ほどお家に電話をしたのですが、なぜ間違いといって切ったのですか?」
なんでばれてるんや。
「いやあ、とっさのことに脳がフリーズしてました」
「大体、学校に来てるんですか??? いつも教室を覗いてもあなたの席にはワカラさんしか座ってませんし……」
まじで信じてるんだ。この人もしかしてピュアなのでは???
「そんなことよりなぜ電話を?」
「それはですね。明日の放課後に生徒会室に来るようにと連絡するためです」
「生徒会室??」
「ええ? 破ったらどうなるか……。わかっていますよね」
少し和倉凛の声のトーンが下がるのを耳元で感じると、即座に背中に鳥肌が立った。
「あいさぁ……」
俺は和倉の威圧に負けて、思わず返事をしてしまった。
「よろしい。明日待っていますからね」
そういうと電話は切れた。
(幼なじみの凛はもっとかわいかった。絶対にこいつではない!!)
俺は電話が終わるとそう確信した。
「こりゃ昔の凛じゃないな。別人だ」
「でも兄さんの勘はよく外れるからなぁ……」
柚希はひそかに心配していた。
「しかしだ……。よくもやってくれたな!!!! 春馬ぁぁぁぁぁぁ!!!」
この原因は春馬なのを忘れてはいけない。
「え~。だって電話はでないと……」
「くっ! ちょっと正論だからなんもいえねえ」
「兄さん、とりあえず明日は気を付けてくださいね」
「ワカリマシタ」
「なんで片言??」
そして次の日の放課後——
「兄さん、頑張ってくださいね」
俺は春馬、柚希が帰るのを下駄箱で見送った後生徒会室に向かった。
「はあ、ついた」
俺は生徒会室の扉の前までたつと急に腹痛が襲ってきた。緊張からのものだろう。
「ぐぬぬ……。これは早く終わらせてしまうのが吉!」
そう思った俺は扉をコンコンコンとノックした。
「どうぞ」
独特の背筋が凍るような声色が俺を震わせる。
(この声間違いない……。会長だ)
「失礼します」
俺は地獄への門を重々しく開けた。
「君は……。ワカリさんじゃないか。何か用か」
いやまだその設定信じてるのかよ。
「いや俺はワカリって名前じゃないんです」
「そうなのか??! じゃあ君は一体……」
「俺の名前は西屋敷……徹です……」
俺は俯き、目をぎゅっと閉じながらそう一言小さな声で言った。
「え!??? とおくん!???」
そうです……。僕がとおくんなんで……。ん???
「とお……くん……??」
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